イヌブナ
イヌブナ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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イヌブナ
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Fagus japonica Maxim. (1886)[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
イヌブナ、クロブナ[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Japanese Blue Beech |
イヌブナ(犬橅[4]・犬椈[4]・犬山毛欅[5]、学名: Fagus japonica)は、ブナ科ブナ属の落葉高木である。山地に生える。和名の由来は、ブナに似るが材質が劣ることから名付けられている[6]。樹皮の色がブナよりも黒っぽいのでクロブナとも呼ばれている[6][7][5]。
分布
[編集]分布が確認されているのは日本のみである[1][8]。日本の本州(岩手県花巻市以南、石川県以西)、四国、九州に分布する[6][5]。日本の山地に自生し[6]、中部地方より寒さの厳しい地域の日本海側では、ほとんどみられない。ブナより低標高に分布する[4][5]。
特徴
[編集]落葉広葉樹の高木で[6]、樹高約25メートル (m) であり、幹の直径は70センチメートル (cm) にもなる。樹皮は暗灰褐色であり、細かいいぼ状の突起(皮目)が多く、波状の縦筋になり、ブナよりも黒っぽい[6][5]。幹の周りにはひこばえがよく出る[5]。本年枝(一年枝)は褐色[5]、はじめ暗紫色で淡褐色の軟毛が密生するが、すぐに無毛となる。前年枝(二年枝)は黒紫色で、一年枝との間に芽鱗痕が多数ある[5]。
葉は互生で、葉身の形は楕円形で、先端は尖り、葉縁は針のように尖ったギザギザである。ブナよりも葉身は薄く、裏面に多くの白い毛がある[6]。秋には紅葉し、黄色から橙色に色づき、褐色を帯びやすい[4]。冬でも枯れ葉が枝に残ることが多い[5]。
花期は晩春(4 - 5月ごろ)[6][5]。雌雄同株[6]。花序は尾状花序である。雌花は長い柄に2個つく[6]。果実は長さ1.5 cmで露出し、垂れ下がってつく。果実の形状はブナに似るが、柱頭がブナより花皮から長く飛び出している。殻斗は、熟すると4裂し、2個の果実が露出する。
冬芽は披針形で細長い鱗芽で、芽鱗は褐色で多数つく[5]。枝先に仮頂芽がつき、側芽は開出して枝につき短い柄がついて互生する[5]。葉痕は半円形で両端に托葉痕があり筋状で長い[5]。葉痕には維管束痕が多数つく[5]。
利用
[編集]木材として、建築材、器具材、船舶材に利用される。
ブナとの見分け方
[編集]- 樹皮
- イヌブナの樹皮は、暗灰褐色でイボ状の皮目が目立つ。一方、ブナは、灰白色でイヌブナほどの凹凸はみられない。
- 葉
- イヌブナの葉は、側脈は9~14本で裏面は灰白色で白い毛が残る。一方、ブナは、側脈は7~11本で、葉柄には、はじめ白く長い毛があるが、やがてわずかに脈上のみとなる。
- 殻斗
- イヌブナの殻斗は、短い鱗片に被われるが、ブナは、線状の鱗片が密生する。
国指定文化財
[編集]日本では以下が、天然記念物として国の文化財の指定を受けている。
脚注
[編集]- ^ a b Botanic Gardens Conservation International (BGCI) & IUCN SSC Global Tree Specialist Group. (2019). Fagus japonica. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T138593408A143486022. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-1.RLTS.T138593408A143486022.en. Downloaded on 19 June 2021.
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fagus japonica Maxim. イヌブナ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月10日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Fagus japonica Maxim. var. pleiosperma Hayashi イヌブナ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月10日閲覧。
- ^ a b c d 林将之 2008, p. 18.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 148
- ^ a b c d e f g h i j 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 234.
- ^ 筑波実験植物園. “イヌブナ”. 2014年7月27日閲覧。
- ^ POWO (2019). Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:295601-1 Retrieved 19 June 2021
参考文献
[編集]- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、148頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、234頁。ISBN 4-522-21557-6。
- 平野隆久『よくわかる樹木大図鑑』永岡書店。ISBN 978-4-522-42397-4。
- 菱山忠三郎 監修『樹皮・葉でわかる樹木図鑑』。ISBN 978-4-415-31018-3。
- 伊藤ふくお 著、北川尚史 監修 編『どんぐりの図鑑』トンボ出版。ISBN 978-4-88716-144-3。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- “樹木図鑑(イヌブナ)”. 2014年7月27日閲覧。
- “ブナとイヌブナの見分け方”. 2014年7月27日閲覧。
- 岡山理科大学生物地球学部生物地球学科 植物生態研究室. “イヌブナ”. 2014年7月27日閲覧。
- 東京都農林総合研究センター. “ブナとイヌブナの種から大きな木になるまで” (pdf). 2014年7月27日閲覧。
- ^ 葛巻町. “七滝・北限のイヌブナ”. 2014年7月27日閲覧。