RKG-3

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RKG-3
種類 手榴弾
原開発国 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
運用史
配備期間 1950年
諸元
重量 1.07kg
全長 362mm

有効射程 15mから20m
弾頭 TNT/RDX、鋼製ライナーつき成形炸薬。RHA換算で220mmを貫通。
炸薬量 567g
信管 着発
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RKG-3E手榴弾の断面

RKG-3(РКГ-3)とはソビエト連邦で製造された一連の対戦車手榴弾対戦車擲弾)の呼称である。この手榴弾はRPG-43手榴弾RPG-40手榴弾RPG-6といった手榴弾シリーズを代替した。

設計[編集]

RKGは「Ruchnaya Kumulyativnaya Granata」(携行成形炸薬手榴弾)の意である。安全ピンが引き抜かれ、手榴弾が投擲されると、4枚パネルのドラッグシュートが展開して緩衝として働く。このドラッグシュートは手榴弾の飛行姿勢を安定させ、手榴弾が90度の角度で目標に命中するのを補助し、成形炸薬の効果を最大化する。ドラッグシュートが展開する際に撃発装置が使用可能状態となり、着弾するなど衝撃が加わると、撃針が慣性力で作動して撃発が行われる。

銅製(RKG-3ЕM)円錐形ライナーを持つバージョンなど、各型の手榴弾の貫徹能力は鋼板に対して170mmから220mmである。

歴史[編集]

RKG-3は1950年に軍用として採用された。数年後、この手榴弾はRKG-3EおよびRKG-3EMに更新された。1970年代の初期、ソ連地上軍はこれらをRPG-18に更新したが、他の多くの国家やゲリラ組織は、自身の武力組織において未だにRKG-3を用いている。本手榴弾は1973年の第四次中東戦争で広く用いられた。

RKG-3はまた、イラク武装勢力によって多国籍軍に対し投入された。2006年6月1日、RKG-3がアメリカ軍ハンヴィーを攻撃するため用いられ[1]、またアンバール県の武装勢力からRKG-3がアメリカ海兵隊によって接収された[2]。攻撃の大半はバグダード県で生じているが、RKG-3はイラクのどこでも使われてきた。他、いくつかの攻撃例はティクリート、バイジ、モースルなどを含むバグダードの北部で報告されている。この攻撃は主にアメリカ陸軍ストライカー装甲車、またMRAPに対して為されたものであるが、M1117装甲警備車やM1151増加装甲型ハンヴィーなどにも攻撃が及び、限られてはいない。またRKG-3はイラクのサーマッラー第101空挺師団第25歩兵師団、さらに第3歩兵師団のMRAPやハンヴィーに搭乗する兵士に対して投入された。2008年中頃から2009年初期にかけ、イラクのサーマッラーではRKG-3はやや広く行き渡った兵器だった。武装勢力が使用するための訓練用機材とともに、大きな貯蔵所が発見されている。

現代のTTP(Tactics Technique and Procedures、戦術的な技術及び手段)では、戦場でこの兵器を使うに当たってドラッグシュートを除去している。そこでこの手榴弾は車輌の側面や後部に、じかに投げつけられている。

各型式[編集]

RKG-3
貫徹能力はRHA換算で150mm。
RKG-3Е
貫徹能力はRHA換算で170mm。
RKG-3EM
成形炸薬のライナーを銅製に変更。貫徹能力はRHA換算で220mm。
UPG-8
訓練用の手榴弾。
M79
セルビア・モンテネグロのYugoimport-SPDRによるコピー生産品。

RKG1600

R18ドローンウクライナ語版によるRKG-1600の投下テスト(2020年、ウクライナ)

  ウクライナでドローンからの投下用にフィンを追加する改造を受けた物。

登場作品[編集]

アメリカン・スナイパー
冒頭にて、掃討作戦を行っているアメリカ海兵隊に対し、ゲリラに加担する子供とその母親が使用しようとするが、クリス・カイル狙撃によって阻止される。

参考文献[編集]

脚注[編集]

文献[編集]

  • Hogg, Ian V. (1991). Jane's Infantry Weapons 1991-92. Jane's Information Group. ISBN 0-7106-0963-9 
  • Jones, Richard D. (2005). Jane's Infantry Weapons 2005-2006. Jane's Information Group 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]