拡張式寒冷地被服システム
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(ECWCSから転送)
拡張式寒冷地被服システム、ECWCS(エクワックス)(英: Extended Cold Weather Clothing System)は、マサチューセッツ州にあるアメリカ陸軍ネイティック研究・開発・技術・センター(英: the U.S. Army Natick Research, Development and Engineering Center)によって1980年代に開発された保護服システムである。
第1世代
[編集]華氏40度(摂氏4.4度)から華氏-60度(摂氏-51.1度)までの気温の中で適切な環境保護を維持することを目指している。
上下被服のセットを1つのレイヤーとしてまとめたものを5つ設定し、気温に合わせて薄手のものから順番に重ね着することで対応する。
- レイヤー1:吸汗拡散生地のアンダーシャツとズボン下
- レイヤー2:パイル織物のジャケットとオーバーオール(ベアスーツ)、ズボン型キルティングライナー
- レイヤー3:ジャケット型キルティングライナーとナイロンコットンズボン
- レイヤー4:防水透湿生地のパーカ(ECWCSパーカ)とズボン
- レイヤー5:雪迷彩のギリースーツ
小物は次の通り。
- 皮革製とウール製の手袋、皮革製とウール製の3本指(トリガーフィンガー)ミトン、脱着可能なライナーつきミトン、雪迷彩のミトン
- 耳当てつき帽子と目出し帽
- 2重底ブーツ(ミッキーマウスブーツ)と外気排出バルブつき2重底ブーツ(バニーブーツ)、靴下
- サスペンダー
第2世代
[編集]2006年頃から。第1世代から大きな変更はない。
- レイヤー1に薄手の吸汗拡散生地のアンダーシャツとズボン下が追加され、選択可能に
- レイヤー2のパイル織物のジャケットとオーバーオールをフリースのジャケットとオーバーオールに変更
第3世代
[編集]2008年頃から。華氏45度(摂氏7.2度)から華氏-50度(摂氏-45.6度)までの気温の中で適切な環境保護を維持することを目指している。
第3世代は保護戦闘服(英: Protective Combat Uniform)を参考にし、レベルという分類をした上半身7種類(アンダーシャツ2種、ジャケット4種、パーカ1種)・下半身5種類(ズボン下2種、ズボン2種、オーバーパンツ1種)を組み合わせたシステムとなっている。
- レベル1:薄手の吸汗拡散生地のアンダーシャツとズボン下
- レベル2:やや厚手の吸汗拡散生地のアンダーシャツとズボン下
- レベル3:フリースジャケット
- レベル4:ウインドジャケット
- レベル5:撥水生地のジャケットとズボン
- レベル6:防水透湿生地のジャケットとズボン
- レベル7:中綿入りパーカとオーバーパンツ(マシュマロスーツ)
動き | 気温 | 上下 | レベル | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||||
活動 | 華氏-21度(摂氏-32度)から華氏0度(摂氏-18度) | 上 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
下 | ○ | ○ | ○ | |||||||
華氏-0度(摂氏-18度)から華氏30度(摂氏-1度) | 上 | ○ | ○ | ○ | ||||||
下 | ○ | ○ | ○ | |||||||
華氏30度(摂氏-1度)から華氏50度(摂氏10度) | 上 | ○ | ○ | |||||||
下 | ○ | ○ | ||||||||
華氏35度(摂氏1度)から華氏45度(摂氏7度) | 上 | ○ | ○ | |||||||
下 | ○ | ○ | ||||||||
待機 | 華氏-50度(摂氏-46度)から華氏0度(摂氏-18度) | 上 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
華氏-0度(摂氏-18度)から華氏30度(摂氏-1度) | 上 | ○ | ○ | ○ | ||||||
下 | ○ | ○ | ||||||||
華氏30度(摂氏-1度)から華氏45度(摂氏7度) | 上 | ○ | ○ | ○ | ||||||
下 | ○ | ○ | ||||||||
華氏45度(摂氏7度)超 | 上 | ○ | ○ | ○ | ||||||
下 | ○ | ○ |
小物は次の通り。
- 目出し帽とフリースキャップ、ネックウォーマー、スキーゴーグルとサングラス、フードのファー
- 2重底ブーツ(ミッキーマウスブーツ)と外気排出バルブつき2重底ブーツ(バニーブーツ)と防水ブーティー、ナイロン製とポリプロピレン製とウール製の靴下
- 雪迷彩のギリースーツとサスペンダー
軍事目的以外での使用
[編集]2017年頃に俳優の菅田将暉や坂口健太郎が、第3世代レベル7上を着用した画像をインターネット上で公開[1]したことで話題になった。