DFFITS

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DFFITS統計学回帰分析において、ある点の影響度を示す統計量である。1980年に出版されたベルスレー、クー、ウェルシュ共著の『回帰診断:影響の強いデータと共線形性の源泉を同定する』[1]で提案された。

DFFITS は 問題の点を回帰から外した場合の予測(回帰)値の変化 "DFFIT" を問題の点での当てはめの標準偏差の推定値で割って(スチューデント化、'S')したものである。

ここで は点 i が回帰に含まれた場合と除かれた場合の予測値である。 は問題の点を含まずに推定された標準誤差の値である。 は その点のてこ値 である。

DFFITS は外部スチューデント化残差に似ている。実はそれを 倍したものである[2]。誤差が正規分布するとき、外部スチューデント化残差はスチューデントのt分布自由度は(残差の自由度−1))する。ある点での DFFITS とその点でのテコ因子 との積は同じt分布をする。したがって、テコ値の小さい点では DFFITS は小さいことが期待され、テコ値が 1 に近づくと DFFITS 値の分布は無限に広がる。

完全に均衡のとれた実験計画、たとえば(因子計画英語版や均衡部分因子計画)の場合、各点でのテコ値は 、すなわち母数の個数を点の個数で割ったものである。これは DFFITS 値が(正規分布の場合) と t 変数の積である。したがって、同書の著者は DFFITS が より大きい場合を外れ点としてチェックすることを薦めている。

類似の量にクックの距離英語版がある。

文献[編集]

  1. ^ Belsley, David A.; Edwin Kuh, Roy E. Welsch (1980). Regression diagnostics : identifying influential data and sources of collinearity. Wiley series in probability and mathematical statistics. New York: John Wiley & Sons. ISBN 0471058564 
  2. ^ Montogomery, Douglas C.; Elizabeth A. Peck (1992). “Appendix C.4” (English). Introduction to Linear Regression Analysis (2nd ed. ed.). New York: John Wiley & Sons. pp. 504-505. ISBN 0-471-53387-4