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B-WINGS

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B-WINGS』は、データイーストから1984年に稼動されたアーケードゲームであり、ジャンルは縦スクロールのシューティングゲーム1986年ファミリーコンピュータ版に移植された。

日本国内での一般的な呼称は「ビー・ウィング」。なお。ファミコン版では「B-ウィング」とも表記されている[1]。タイトルのBはBattleの意味である[2]

解説

自機FX-1(メイン・ファイター)を操り、自機のパワーアップパーツとしての各種WINGを装着して戦いを有利に進め、各ステージの最後に待ち構えるゴブナスと呼ばれる重機動要塞を破壊し、最終的にはゴブナスの総大将デス・ゴブナス」の撃破を目指す。

8方向レバーと2つのを用いて操作する。レバーで自機の移動、ボタン1で攻撃、ボタン2はWING装着時はWING解除、非装着時は降下を行なう。自機を横方向へ操作すると、背景は上空・地上ともつられて無限にスクロールする。

上下2階層の構成となっている。自機は通常は上空におり、WINGを装着していないときにボタン2を押すことで地上へ降下する。地上への降下時には上空の敵機・敵機攻撃からは無敵となる。ただし、地上降下を行うと一定時間経過後に強制的に上空飛行に戻ってしまう。また、地上にも敵機や、破壊不可能な上ほとんど壁状で地上の3分の1ほどを占める巨大な地上障害物が存在する。壁は回避は可能だが、それに沿った動きしか出来なくなるため、降下中は移動が大きく制限される。

アーケード版は全45ステージ、FC版は全30ステージ構成。

同社の『ザビガ』と同じ敵が一種類のみだが登場するため、『ザビカ』の続編とする雑誌記事もあった。

FC版バックグラウンドストーリー

宇宙防衛軍により開発された多目的戦闘機、通称"B-WING"ことFX-1。Fは戦闘機(ファイター)、X-1は試作機1号機の略(メイン・ファイターとも呼ぶ)。オプションパーツであるWINGを装備することで多彩な攻撃能力を発揮できる機体である。試験飛行の日、1種類のWINGを装備したFX-1にエリートパイロットの"テレオ・ラ・コース"が搭乗する。テストの結果はおおむね高評価。しかし帰還したテレオを待っていたのは何者かに襲撃され壊滅した基地だった。他のWINGも全て奪われていた。残されたメッセージは「ゴブナス」という名前のみ。WING奪還のためテレオはFX-1でゴブナスに立ち向かう[3]

パワーアップパーツ

アーケード版のWING

敵機の出現、軌道、弱点などに合わせ、自機の攻撃方法を変化させるパーツとして以下の8種のWINGが用意される。WINGを運ぶ輸送機2機を破壊することで、自機にWINGを装着できる状態となる。

  1. A-WING:後方への攻撃が可能となる。Anti(アンチ)のA(企画時はBackだった[2]。FC版では♥型の弾を前後2連射の各2組まで発射する。
  2. C-WING:前面への強化弾攻撃が可能となる。Cannon(キャノン)のC。FC版では□型と♥型の弾を前方3連射の2組まで発射し、弾速が非常に速い。
  3. G-WING:地上(低空)への攻撃が可能となる。Ground(グラウンド)のG。G-WINGで破壊可能な敵は、直後に現れる敵が低空を移動している姿であり、倒せば上空には現れない。
  4. J-WING:上空よりもさらに高度の高い弾道を描き、障害物を飛び越して再び上空に着弾する。Jump(ジャンプ)のJ。FC版では♥型の弾2発と◆型の「ジャンプミサイル」1発を前方3連射の2組まで発射する。ジャンプミサイルが障害物通過能力を持ち、これが無ければ突破できないエリアも存在する。
  5. M-WING:砲台が前・横・後と180°の往復をし、多方向への攻撃が可能となる。Multiple(FC版はMulti)(マルチ)のM。FC版ではWING無し状態での弾1発と、□型の弾2発を3連射の2組まで発射。□型の弾は撃つたびに前方→斜め前→斜め横→真横→前方…と射角が変わり(後方は不可)、常に正面へ撃つ1発と合わせて9方向への攻撃になる。
  6. S-WING:自機の左右への攻撃が可能となる。Side(サイド)のS。FC版ではハート型の弾を前方と左右の7方向に1組まで発射する。
  7. V-WING:前、斜め前、横の5方向に幅が広く長さが1ドットのビームを発射する。W-WINGとは違いビームの射程は短く、一定距離に達するか、1方向でも敵機・障害物に着弾すると消滅する。本来はBarrier(バリア)のBだったが、タイトルとの重複を避けてVとなった[2]。FC版ではVan(バン)のV。
  8. W-WING:横一列に並んだ5発のビーム(V-WINGと同型)を前方に放射状に斉射する。どれかひとつのビームが敵機・障害物に着弾すると、他のビームも消滅する。Wide(ワイド)のW。

4面ごとに、ステージ開始前に次に現れるWINGを選択できる。他の面では出てくるWINGが決まっている。基本的に攻略に有利となるようなWINGが現れるが、必ずしもそのWINGを装着しなくてもゲームを進行できる。ただし、横からしか攻撃できない位置に弱点が付いているゴブナスはS-WINGかV-WING、M-WINGが必要で、弱点が上向きに付いているゴブナスにはJ-WINGが必須である。ボス攻略に失敗するとあらためて攻略用のWINGを取得できる段階まで戻っての再スタートとなる。

ファミコン版独自のWING

FC版では地上の敵が存在しないためG-WINGが削除され、代わって追加された3種類のWINGが選択できるようになった。他にも特定のステージで、特定の障害物を破壊すると出現する隠しWINGが存在する。基本10種類と隠し3種類で、計13種類となっている。

  1. D-WING:前方に大きな三日月型の波動弾を発射。空中敵機なら貫通するが射程は短く、連射が効かない。生物系のボス敵に大きな効果がある。Dyna(ダイナ)のD。
  2. F-WING:前方に火炎を噴射する。射程は短く、範囲も狭いものの威力が非常に高く、全WING中で最大。ボス敵を数秒で撃破することも可能。Fire(ファイア)のF。
  3. H-WING:自機周囲を●型をした2個の鉄球が回転し、敵機や弾から自機を守る。この回転する鉄球は空中敵機や障害物を貫通する。また攻撃を受けてWINGが外れてもステージ中は鉄球の回転が持続する。前方にも射程無限の鉄球を2連射で3組撃てる。なおH-WING自体のデザインも両翼部に鉄球がついたものとなっている。Hammer(ハンマー)のH。
  4. SS-WING:隠しWINGのひとつ。射程無限でY字に拡散するリング状ビームを前方に2連1組で発射する。空中敵機ならD-WING同様に貫通する。またH-WING同様に自機周囲を2個の鉄球が回転する。Staring-Silver(スターリング・シルヴァー)のSS。H-WINGやSS-WING装備中の回転する鉄球は画面端に行くと消えてしまう。ボス戦時以外では常に自機は横方向に対し画面中央に位置するためこのような事は起こらないが、ボス戦時のみに起こりうる現象で2個のうち1個だけ消えてしまうことがあり、こうなると防御が薄くなって撃破されてやすくなる。対処法はもう一度画面端に行き残りの鉄球を消した後、すぐ画面中央に戻り、鉄球(ビーム)を撃てば復活する。またWINGを外された後、H-WINGやSS-WING以外の新たなWINGを取得した場合も鉄球は消滅する。
  5. AH-WING:隠しWINGのひとつ。前後左右4方向に射程無限の縄状ビームを発射する。こちらも空中敵機ならD-WING同様に貫通する。強力だが連射能力に欠ける。Aurora-Harrier(オーロラ・ハリアー)のAH。攻略本にはOH-WINGと紹介されているが、英文のスペル上これは誤りである。
  6. OB-WING:隠しWINGのひとつ。前後左右斜め8方向に射程無限の鉄球を8連1組発射する。全方向に有効だが、弾速がやや遅い。Oct-Blaster(オクト・ブラスター)のOB。

ファミコン版

アーケード版からの移植だが、WING設定の違いに留まらず、敵機・ボス機のデザイン、攻撃パターン・スクロール速度の低下など、アーケード版とは内容が大きく異なる。また、ノリの良いBGMの追加、アーケード版は単発だったメインショットの連射性の向上、金色に光る空中浮遊物やゴブナスの金属的な質感をはじめとした画面のきらびやかな雰囲気、ステージにより生物型のボスが現れる演出があった。前述の隠しウイング3種類をはじめとして、ワープやバリアなどの隠し要素がいくつか盛り込まれていた。エンディングでは、当時の時勢を意識してか「これからの君の使命は勉強だ」「いじめはだめだよ」(実際の画面ではローマ字で表示される)とゲームを遊びすぎる子供に対しての戒めのメッセージも見られる。

FC版のその他アイテム

FC版ではAC版に無い隠しアイテムがあり、取得することでパワーアップしたり、1UPするなどの要素がある。

  1. ボルテージ:1,3,5,7…の奇数ステージに登場する、"VOL"と書かれたロゴマークのようなアイテム。特に条件を満たす必要なく、ステージ中盤辺りに自機正面から現れる。取るとスタートボタンでポーズを掛けている間に、セレクトボタンでWINGを基本10種類から任意に1つ選択できるようになる。ボルテージ1つにつき1回だけ使用でき、取った個数分ストックが可能。取る前に攻撃を当ててしまうと"白い傘"に変化し無効となってしまう。よく大量の空中敵機にまぎれて出現する。
  2. ブラックダイヤ:2,4,6,8…の偶数ステージ(最終面を除く)に登場する、黒い菱型にアルファベットの表示されたアイテム。こちらも特に条件なくステージ中盤に現れる。攻撃を当てるとアルファベットが変わり、取るとそのアルファベットに対応するWINGを装備できる。ブラックダイヤが出現する初期状態ではアルファベットは必ずSとなっており、何も攻撃を当てないまま接触すればS-WINGが装着される。
  3. トランプ:4,8,12・・・の4の倍数ステージに登場する。特定の障害物に隠されており、障害物を破壊すると出現する。最初はスペード、ハート、ダイヤ、クラブの4種類がシャッフルされた状態で、攻撃を当てると4つのどれかに決定される。それぞれ効果が異なる。
    1. スペード:ボルテージと同様の効果で、3回分のストック。
    2. ハート:1UPアイテム。
    3. ダイヤ:障害物(光っている部分)への接触に対し3回まで耐えられる。ただし光っていない(破壊不能)部分への接触には無効。取得中は機体の形状が変わる。
    4. クラブ:空中敵機や弾に対し3回まで耐えられる。こちらも取得中は機体の形状が変わり、ダイヤとは少しデザインが異なる。ダイヤとクラブの両方を取得した場合はさらに異なる機体形状となる。
  4. チェス:馬の顔のようなアイテム。トランプ同様、4の倍数ステージ(ステージ4は除く)に登場する。これも障害物に隠されており、破壊すると出現する。効果はハートと同じで1UP。ただしボルテージ同様、出現後に攻撃を当てると"白い傘"に変わり無効となるため、H-WING(SS-WING)の回転する鉄球やF-WINGなどを装備している間は取得が困難である。
  5. ハレー彗星:星に翼のついたアイテム。2,6,10…の4の倍数-2ステージ(ステージ26と30は除く)に登場する。障害物に隠されており、破壊すると出現する。取ると「SKIP」と表示され、現在のステージから4つ先のステージへワープする。ボルテージやチェス同様、出現後に攻撃を当てると"白い傘"に変わり無効となる。

ゴブナス

各ステージ最後に登場するボス敵。それぞれ特徴があり、中には特定のWINGを装備していないと撃破不可能なゴブナスもいる。

AC版におけるゴブナスは弱点部のコアに攻撃を当てれば1発で撃破できるが、FC版では耐久力という概念があり、コアに数十発ヒットさせないと撃破できない。以下FC版における名称と特徴を記載。

生物系以外のゴブナスは色でダメージの度合いがわかるようになっている。通常は黄→緑→青→紫→赤の順で、耐久力の低いゴブナスは黄→赤となる場合もある。

1面と最終面以外のゴブナスは3 - 4回登場する。

  1. ダベルサタン(G011):ステージ1のみに登場する。ゴブナスの中では最も弱く、これといった特徴はない。どのWINGでも撃破可能。
  2. フラグナス(G012):ダベルサタンを少し強化させたようなゴブナス。シールド部分が左右に分かれており、そこを狙わないと撃破は難しい。C-WINGが有効。ステージ2,11,20に登場する。
  3. バキョミラー(G013):前に4枚のシールドを持ち、コアまでの奥行きが長い。C-WINGが有効。ステージ4,13,22に登場する。
  4. ジャイラゲス(G014):前面中央に破壊不可能なパーツを持ち、コアへの正面攻撃を遮断する。他の部分を破壊してパーツとコアの間に潜り込むことは可能。通過攻撃ができるJ-WINGが有効。ステージ5,14,23に登場する。
  5. スパイダナス(G015):コアの全周が覆われており、通常の攻撃を一切受け付けない。ただしコア自体の耐久力は最も低い。J-WINGが必須となる。ステージ7,16,25に登場する。
  6. ゴキュラ(G016):バキョミラーと似たタイプのゴブナス。前に8枚のシールドを持ち、耐久力が高い。C-WINGが有効。ステージ8,17,26に登場する。
  7. ゴービック(G017):前面が完全に覆われており、横方向からの攻撃しか受け付けない。スパイダナスに次いで耐久力が低い。ゴブナスの中では登場回数が多く、終盤では2面連続で登場し耐久力が最も高くなる。横方向に強いS-WINGか、コアを直接狙えるJ-WINGが有効。M-WINGやV-WINGでも撃破は可能だが、前者は安定性に欠け、後者は射程が短く接近しなければならないため難易度が高い。他にはAH-WINGやOB-WINGでも攻略可能。ステージ10,19,28,29に登場する。
  8. デビル・スパイダー:巨大な蜘蛛の化け物。前後に動き、大量の弾を放出してくる。正面から挑めば並みの連射力では太刀打ちできない。一方、デビル・スパイダーが登場する前に自機を最前列に移動させると敵側の攻撃が全く当たらなくなり、こちらから一方的に攻撃ができ、H-WINGまたはSS-WING装備中であれば回転する鉄球で勝手に破壊される。一時攻撃を中断する間が勝負。弾を相殺しつつ貫通攻撃ができるD-WINGが有効。ステージ3,12,21に登場する。
  9. ブル・フロッグ:巨大な蛙の化け物だがへそがある。卵のような弾(設置型で拡散する)を画面内に置き、横方向へ飛び回る。デビル・スパイダー同様、弾を相殺しつつ攻撃できるD-WINGが有効。ステージ6,15,18に登場する。
  10. スペース・スネイク:巨大な蛇の化け物とされるが芋虫のような姿。縦横無尽に動き回り、高速の弾を連射してくる。頭部以外は攻撃を受け付けない。また動きも速いため捉えにくい。「火に弱い」という弱点があり、F-WINGなら瞬時に倒せる。ステージ9,24,27に登場する。
  11. デス・ゴブナス(G018):ラスボス。最終面ステージ30に登場する。耐久力は最も高く、さらにコアの前で開閉するシャッターが開いている間しか攻撃を受け付けない。特定WINGでなければ撃破できないということはないが長期戦は必至となる。C-WINGなどでじっくり撃ち続けるか、短期決戦を狙うならF-WINGでシャッターが開いた時に大ダメージを与える手もある。なお、このステージではF-WINGは出現せず、ブラックダイヤも出現しない。また前のステージから来た場合はS-WINGかJ-WINGでスタートしているはずなので、F-WINGを装備するにはボルテージのWINGセレクトを使う必要がある。倒せばエンディングとなる。

その他

AC版での要素

  • 最終面をクリアすると、点数の全桁数値が9になるまでカウントアップし、9,999,999点となってハイスコア記入(ゲーム終了)となる。
  • WINGの装着の際にボタン2を押すと直ちにWINGを解除しようとするアニメーションが発生するが、そのアニメーションの再生中にさらにボタン2を押すことでWING解除のアニメーションが再発生するとともに2,000点加算がされるため、いたずらに点数稼ぎが可能となっていた。通常設定では40,000点ごとに自機がプラスされたため、特定WINGを必要とするボス前のWING装着シーンなどで、ほぼ無限に点数稼ぎと残機稼ぎとが可能となっていた。「WING稼ぎ」「WING外し稼ぎ」などと言われた。
    • 通常プレイでは最終面クリア後のスコアカウントアップで9,999,999点となるが、「WING稼ぎ」によりスコアを10,000,000点超とした後に最終面をクリアすると、クリア後のスコアカウントアップで99,999,999点まで処理される。「1億点稼ぎ」などと言われた。カウントアップの所要時間は20分を越えるため、ゲームセンターによっては途中で電源を切られ、ハイスコア入力ができなくなる、という情景もよく見られた。

FC版での要素

  • WING装着時、空中敵機や弾に被弾しても即座にミスとはならず、WINGが外れるのみで済む。ただし障害物の接触に対してはWING装着の有無を問わず即1ミスとなる。
  • 敵の攻撃を受けて1ミスとなった時も、やり直しとなるまでの数秒間は弾を発射できる。その数秒の攻撃でゴブナスを撃破すればミスカウントを取られずに次ステージへ進める。例としてH-WINGやSS-WING装備中にスパイダナスなど耐久力の低いゴブナスに体当たりし、やり直しの前に連射と回転する鉄球でコアを撃破できれば、何事もなかったかの様にそのステージをクリアできる。ただし次ステージではWINGが無い状態でのスタートとなる。
  • WINGが無い状態での急降下(一時無敵回避)を60回程すればドクロのようなデザインのWINGを実装できるという裏技が徳間書店ファミリーコンピュータMagazine』に掲載された。しかし、これは同誌の読者プレゼント企画『ウソ技』として創作されたものであり、この手順を踏んでも実際には何も起きない。

脚注

  1. ^ ファミコン時代
  2. ^ a b c ログイン (雑誌)より。
  3. ^ ケイブンシャ著「ケイブンシャ大百科別冊 ファミリーコンピュータゲーム必勝法シリーズ20 B-ウイング」より。

外部リンク