AN/AWG-10

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国立航空宇宙博物館に展示されているAN/AWG-10

AN/AWG-10は、ウェスティングハウス・エレクトリック社が開発した火器管制レーダー・システム[1]。レーダー部分はAN/APG-59と称される[2]アメリカ海軍F-4 ファントムII艦上戦闘機に搭載されており、パルスドップラー処理によって初の実用的なルックダウン能力を備えたレーダーとなった[2]

概要[編集]

1963年、ウェスティングハウスはF-4用のAWG-10ミサイル・コントロール・システムの製造を受注し[2]、1966年より引き渡しが開始された[1]

AWG-10は要撃機用レーダーとして初めて回路をトランジスタ化していると称されている[1]。全天候性を備え、スパローおよびサイドワインダー空対空ミサイルを誘導するための索敵と追跡データを提供する[2]。これは、パルスドップラー処理によるルックダウン能力と包括的なビルトイン・テスト(BIT)システムを含む最初のマルチモード・レーダー・セットであった[1][2]

1973年、ウェスティングハウスはAWG-10の能力向上・信頼性向上改修を受注し、これによって開発されたシステムはAN/AWG-10Aと称された[1]。送信機は固体化され、クライストロンを用いた増幅器が導入された[1]。またデジタルコンピュータも導入された[1]列線交換ユニット(LRU)のうち3つのみがAWG-10と同一であり、6つが新規導入、7つが削除された[1]

またイギリス向けのAWG-10の派生型として、F-4Kおよび-4Mへの搭載用にAN/AWG-11およびAWG-12が派生した[1]。後にAWG-10Aが開発されると、これに準じた改良が施された[1]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

参考文献[編集]

  • Blake, Bernard (1989), Jane's Radar and Electronic Warfare Systems 1989-90, Jane's Information Group, ISBN 978-0710608833 

関連項目[編集]

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