ACOS-6

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ACOS-6(エイコスシックス)は日本電気メインフレーム及びOSであるACOSの一系列である。同社のメインフレーム事業草創期にハネウェル社から導入した技術が元となっている。ただし、元にしたハネウェルの技術の内訳には、ハネウェルがGEから買収したコンピュータ部門の所有していたものが多く含まれている(たとえば、GEのマシンを使用してMITの開発していたMulticsの技術の一部を含む)。

2003年現在の名称はACOS-6/NVX PX、対象となるハードウェアはパラレルACOS PX7900である。

アーキテクチャ[編集]

数少ないワードマシンである。1バイト=9ビットで処理をし、1ワード=36ビットである。

初期のアーキテクチャと後期のアーキテクチャではかなり構造が異なる。

システム構成[編集]

コンピュータの中心にSCU(システム制御ユニット)があり、この配下に演算部(EPU)、メモリ、入出力プロセッサ(IOP)が繋がる。パラレルACOS以前は、初期の機種を除き、1つのSCUに最大2つのEPUを繋げることが出来る。システム2000では、SCPを2つ繋げて、1つのシステムとして4EPUをサポートしている。

2つのモード[編集]

RモードとVモードという2つのモードがある。

Rモード[編集]

Rモードは、18ビットのメモリ空間(256Kワード=1Mバイト)の中で処理をする。その範囲でフラットなメモリ空間を提供する。アドレス空間が18ビットしかないので、最大256Kワード(=1Mバイト)しかアクセスできない。しかし、アドレスマッピングのためのレジスタがあり、256Kワード以上のメモリ空間をアクセスできる仕組みが用意されている。 アドレスマッピング機能はVモードでは無効になる。

Vモード[編集]

Vモードは、セグメントを多用し、各種の保護機能を付加し、さらにメモリ空間を拡張したモードである。80386のプロテクトモードのようなもの、と思うと理解が早い。アドレスレジスタがセグメントのポインタ+オフセットとなり(名前もデータレジスタと変わる)、セグメント記述子に指定されたメモリ空間、保護機能等が有効に働くようになる。1つのプログラムは、複数のセグメントから構成されるようになる。システム1000以降は、アドレス空間が拡張され、72ビットになる。ただし、Vモードは、ごく初期のマシン(システム600など)では利用できない。また、システム2000以降では、命令空間も拡張される。PentiumプロセッサのEM-64Tモードのようなもの、と思うと理解が早い。

統合アレイプロセッサ[編集]

システム1000から取り入れられた機能である。ベクトル演算を実行する命令群である。システム2000からは、マスク制御付きベクトル演算が可能になり、FORTRANで、IF文を含むDOループがベクトル化可能になっている。1つのベクトル命令で処理可能な要素は、S1000では2の18乗個、S2000では2の36乗個である。

拡張仮想計算機システム[編集]

システム2000から取り入れられた機能である。ハードウェアが仮想計算機機能をサポートするようになった。このため、同時に複数のOSを動作させることが出来るようになった。

レジスタ構成[編集]

レジスタが、他のアーキテクチャに比べて少ないのも特徴である。演算が可能なレジスタは A レジスタ と Q レジスタの2つしかない(それぞれ36ビット)。そのほかにインデックスレジスタ(18ビット)とアドレスレジスタが存在する。インデックスレジスタ、アドレスレジスタともに、実効アドレスを生成する際にアドレスを修飾する際に使われる。Vモードではアドレスレジスタの機能が変わる。

アドレスレジスタを使う場合には、命令語(36ビット)のアドレスレジスタを使用するためのビットをonにする。この時、インデックスフィールド(18ビット)の先頭3ビットがアドレスレジスタのレジスタ番号を指定するようになる。

命令体系[編集]

命令体系は比較的COBOL向けである。COBOLのMOVE、ADD、SUBTRACT等の演算命令をほぼ機械語レベルで1命令に対応可能である。そのため、データ部分の修飾機能が豊富で、パック/アンパック十進数を直接操作可能である。さらに、COBOLの文字列編集機能(PIC で指定するもの)をそのまま機械語に変換する機能もある。

最近のCPUのような、スタックの概念は(Rモードには)ない。関数コールを行うときには、飛び先で戻りアドレスを保存するような処理が必要である。Vモードではスタックセグメントが存在する。

特権モードがある。特権モードに遷移する命令で特権モードに移行する。特権モードには複数のランク付けがされている。

サービスプロセッサ[編集]

専用のサービスプロセッサがある。メインのOSが稼働するプロセッサとは別に、ファームウェアが動作するプロセッサがある。そのプロセッサに対して操作を行なうことで、メインのOSの起動等を行なえる。

文字コード[編集]

内部で使うコードは、6ビットの文字コードおよびJISコード(JIS X 0201)である。6ビットの文字コードは、BCDコードと呼ばれ、英数字のみ(かつ、大文字のみ)のコードであり、1ワード中に6文字を詰め込んで処理をしている。内部処理ルーチン等で使われている。JISコードは、通常の(COBOL等の)文字処理を行なうときに利用されている。メインフレームではあるが、EBCDICを使っていない。日本語(漢字)は、JIPS(J)コードと呼ばれるコード体系を使っている。このコードにはACOS-4系で使われるJIPS(E)や、A-VXで使われるNEC内部コード(E)への変換手段が用意されている。

OSの特徴[編集]

ACOS-6はMulticsの流れを汲むOSである。UNIXの遠い親戚とも言える。そのため、UNIXに似た(というようりも、Multics風の、と言うべきだろう)機能がある。

ファイルシステム[編集]

  • FMSというファイルシステムは、UNIXのような階層構造ディレクトリを提供する。ただし、rootディレクトリは1つではなく、複数のトップディレクトリがあり得る。1ファイル名は12文字までである。使用できる文字は、英文字、数字文字と、"-"(ハイフン)などの一部の特殊記号。英文字に大文字と小文字の区別はない(そもそも基本となるキャラクタコードが6ビットのため、小文字用のコードを定義する場所が確保できなかった)。ディレクトリやファイルの間を区切る文字は、UNIX系OSと同じく"/"(スラッシュ文字)である。
  • 入出力が標準化されている。標準形式で書くのであれば、テープだろうがディスク上のファイルだろうが、細かなパラメータを指定しなくても簡単に入出力が行なえる。実デバイス(ファイル)とプログラム上の入出力の切り替え作業は、実行用のJCLを修正するだけで完了する。
  • TSSがUNIXのようなコマンドベース(初期のもの)である。TSS上で簡単にファイルの作成等が行える。UNIX上のedのような行指向エディタが用意されている。

歴史[編集]

  • ACOS-6
  • ACOS-6/MVX
  • ACOS-6/NVX
  • ACOS-6/NVX PX

関連項目[編集]

参考文献[編集]

草創期のACOS-6開発の元となったOS技術情報の出自等について:

外部リンク[編集]

  • 日本電気株式会社 (2007年). “ACOS Club ACOS-6(nec.co.jp)” (日本語). ACOS Club ACOSシリーズポータルサイト(ホーム>製品>ACOSシリーズ). 日本電気株式会社. 2007年2月19日閲覧。
  • Groupe Bull (2001年7月11日). “from GECOS to GCOS8” (英語). Groupe Bull. 2007年2月19日閲覧。 -GEやハネウェル(HIS)のコンピュータ部門を最終的に買収・手中に収めたBullから見たGCOSの歴史
  • 【日本電気】 ACOS-6 - コンピュータ博物館(情報処理学会