ABUロボコン

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2009年のベトナムチーム
2010年のインドのチーム

ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト: ABU Asia-Pacific Robot Contest, ABU Robocon)、略称ABUロボコンとは、アジア太平洋放送連合(ABU)が主催する、大学生が製作したロボットによる競技会である[1]1988年日本放送協会が主催する日本国内向けのアイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテストが始まり[2]1991年NHK大学ロボコン(アイデア対決・ロボットコンテスト 大学部門)が開催されるようになった[3]1993年、NHK大学ロボコンにタイの大学が参加するようになったのを皮切りに参加国が少しずつ増加した。一時はアメリカ合衆国の大学が参加したこともあったが、次第にアジア太平洋各国が参加するようになり、2002年アジア太平洋放送連合が主催するABUロボコンとして生まれ変わった[4]NHKが地上波で放送する[5]ため、一般への認知度が高いロボット競技会の一つである。この種の競技としてはロボカップに匹敵する世界有数の国際大会である。

なお、NHK大学ロボコンは第10回を最後に海外チームの参加ができなくなり、ABUロボコンの日本代表選考会となった。

対戦方法[編集]

毎年競技課題は変更され、ホスト国のABU加盟局が中心に作成される[6]競技内容は開催国の文化、風習を反映した競技になる場合が多い[7]ボールを運んだり、投げたり、ブロックを運んだりして、いかに速く目的を達成するかを競う。相手の妨害も可能な場合もあり、大会によっては2台以上のロボットを使用することがある。基本的に、3チーム以上の複合戦はなく、1チーム対1チームの対決である。まず、6~7グループ程度に分けたリーグ戦形式の予選を行い、各グループの1位及びワイルドカードを含めた計8チームでトーナメント形式の決勝を行い、優勝が決定される。

参加国・地域[編集]

ABUに加盟する放送局を通じて、各国・地域の大学、工科大学、高専生(4年生以上)、高専専攻科生の学生によるチームが出場する。開催年度によって参加数には変動がある。原則各国・地域より1チームが出場し、さらに開催国・地域からは2チーム出場する[8]

日本からはNHKを担当放送局として、第1回の2002年より毎年ABUロボコンに出場している。他、全ての年度(2015年まで)のABUロボコンに出場している国を以下に示す。カッコ内は担当放送局である。

開催履歴[編集]

各年度における優勝、準優勝大学、ABUロボコン大賞受賞大学ならびに日本代表大学の成績を示す。

回(年) 開催国、開催地 大会テーマ 優勝、準優勝、ABUロボコン大賞 日本代表
第1回
(2002年)
日本の旗 日本
東京
Reach for the Top of Mt. Fuji
「富士山頂をめざせ」[9]
ベトナムの旗 ベトナムホーチミン市工科大学
中華人民共和国の旗 中国中国科学技術大学
日本の旗 日本金沢工業大学
豊橋技術科学大学
金沢工業大学
(共にベスト4)
第2回
(2003年)
タイ王国の旗 タイ
バンコク
Takraw Space Conqueror
「タクローの覇者」[10]
タイ王国の旗 タイスワンデンディン技術専門学校
タイ王国の旗 タイキングモンクット工科大学
大韓民国の旗 韓国チュンナム大学
愛知工科大学
(ベスト4)
第3回
(2004年)
大韓民国の旗 韓国
ソウル
Reunion of Separated Lovers, Gyeonwoo & Jiknyeo
「織姫と彦星」[11]
ベトナムの旗 ベトナムホーチミン市工科大学
中華人民共和国の旗 中国西南科学技術大学
モンゴル国の旗 モンゴルモンゴル科学技術大学
東京大学
(予選リーグ敗退)
第4回
(2005年)
中華人民共和国の旗 中国
北京
Climb on the Great Wall Light the Holy Fire
万里の長城を照らせ!」[12]
日本の旗 日本東京大学
中華人民共和国の旗 中国北京科学技術大学
エジプトの旗 エジプトテンス オブ ラマダンシティ工科大学
東京大学
(優勝)
第5回
(2006年)
マレーシアの旗 マレーシア
クアラルンプール
Building the World’s Tallest Twin Tower
ツインタワー・ビルダー」[13]
ベトナムの旗 ベトナムホーチミン市工科大学
タイ王国の旗 タイサムットソンクラーン技術大学
マレーシアの旗 マレーシアマレーシア工科大学
東京農工大学
(ベスト8)
第6回
(2007年)
 ベトナム
ハノイ
Halong Bay Discovery
ハロン湾の伝説」[14]
中華人民共和国の旗 中国西安交通大学
インドネシアの旗 インドネシアスラバヤ電子工学ポリテクニック
エジプトの旗 エジプト10月6日大学
金沢工業大学
(ベスト8)
第7回
(2008年)
インドの旗 インド
プネ
Govinda
「ゴヴィンダ」[15]
中華人民共和国の旗 中国西安交通大学
エジプトの旗 エジプトテンス オブ ラマダンシティ工科大学
中華人民共和国の旗 中国西安交通大学
豊橋技術科学大学
(ベスト4)
第8回
(2009年)
日本の旗 日本
東京
Travel Together for the Victory Drums
「旅は道づれ 勝利の太鼓を打て」[16]
中華人民共和国の旗 中国ハルビン工業大学
香港の旗 香港香港大学
中華人民共和国の旗 中国ハルビン工業大学
豊橋技術科学大学
(ベスト4)
金沢工業大学
(ベスト8)
第9回
(2010年)
 エジプト
カイロ
Robo-Pharaohs Build Pyramids
「ロボ・ファラオ ピラミッドを築け」[17]
中華人民共和国の旗 中国電子科技大学
ベトナムの旗 ベトナムラクホン大学
中華人民共和国の旗 中国電子科技大学
金沢工業大学
(予選リーグ敗退)
第10回
(2011年)
タイ王国の旗 タイ
バンコク
Loy Krathong, Lighting Happiness with Friendship
ロイ・クラトンの火をともせ!」[18]
タイ王国の旗 タイトゥラキット・バンディット大学
タイ王国の旗 タイカンペンペット工科大学
日本の旗 日本東京大学
東京大学
(ベスト8)
第11回
(2012年)
香港の旗 香港 In Pursuit of Peace and Prosperity
平安大吉」(ペンオンダイガ)[19]
中華人民共和国の旗 中国電子科技大学
ベトナムの旗 ベトナムラクホン大学
日本の旗 日本東京大学
東京大学
(ベスト4)
第12回
(2013年)
 ベトナム
ダナン
THE GREEN PLANET
「グリーン・プラネット」[20]
日本の旗 日本金沢工業大学
ベトナムの旗 ベトナムラクホン大学(チーム1)
インドネシアの旗 インドネシアスラバヤ電子工学ポリテクニック
金沢工業大学
(優勝)
第13回
(2014年)
インドの旗 インド
プネ
A SALUTE TO PARENTHOOD[21] ベトナムの旗 ベトナムラクホン大学
日本の旗 日本名古屋工業大学
ベトナムの旗 ベトナムラクホン大学
名古屋工業大学
(準優勝)
第14回
(2015年)
インドネシアの旗 インドネシア
ジョグジャカルタ
ROBOMINTON: BADMINTON ROBO-GAME[22] ベトナムの旗 ベトナム フンイエン技術師範大学
香港の旗 香港 香港科技大学
ベトナムの旗 ベトナム フンイエン技術師範大学
早稲田大学
(ベスト8)
第15回
(2016年)
タイ王国の旗 タイ
バンコク
Clean Energy Recharging the World[23] マレーシアの旗 マレーシア マレーシア工科大学
中華人民共和国の旗 中国 東北大学
日本の旗 日本 東京大学
東京大学
(ベスト4)
第16回
(2017年)
日本の旗 日本
東京
The Landing Disc ベトナムの旗 ベトナム ラクホン大学
マレーシアの旗 マレーシア マレーシア工科大学
ベトナムの旗 ベトナム ラクホン大学
東京工業大学
(ベスト4)
東京大学
(ベスト8)
第17回
(2018年)
 ベトナム
ニンビン市
“NÉM CÒN” ベトナムの旗 ベトナム ラクホン大学(ベトナム2 LH-Galaxy)
中華人民共和国の旗 中国 東北大学
日本の旗 日本東京大学
東京大学

(ベスト4)

第18回
(2019年)
モンゴルの旗 モンゴル
ウランバートル
GREAT URTUU 香港の旗 香港香港中文大学
モンゴル国の旗 モンゴルモンゴル科学技術大学
京都大学

(ベスト8)

第19回
(2020年)
フィジーの旗 フィジー
スバ
ABU ROBOCON FESTIVAL 日本の旗 日本東京大学
香港の旗 香港 香港科技大学
東京大学
(優勝)

豊橋技術科学大学
(3位)

第20回
(2021年)
中華人民共和国の旗 中国 - インドの旗 インドセプル ノベンバー工科大学
モンゴルの旗 モンゴルモンゴル科学技術大学
中華人民共和国の旗 中国 武漢大
-
第21回
(2022年)
インドの旗 インド - 香港の旗 香港 香港中文大学
インドネシアの旗 インドネシアセプル ノベンバー工科大学
中華人民共和国の旗 中国中国電子科学技術大学
-
第22回
(2023年)
カンボジアの旗 カンボジア
プノンペン
Casting Flowers over Angkor Wat 日本の旗 日本 豊橋技術科学大学

香港の旗 香港

豊橋技術科学大学
(優勝)

2020フィジー大会について

  • ABU ロボコン2020フィジー大会は新型コロナウイルス感染拡大の収束が見込めないため、代替イベントとしてオンラインによる「ABU ROBOCON FESTIVAL」が2020年12月12日に開催された。結果は1位が東京大学、2位が香港科技大学、3位が豊橋技術科学大学であった[24]

出典・参照[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]