ABC 800

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ABC 800ルクソール ABC 800)シリーズはABC 80ホームコンピュータオフィス向けコンピュータ版である。ABC 800は拡張されたBASICインタプリタ、多少高速化されたCPUと32KBRAMが既に標準であった。ザイログ Z80クロック数は3.58 MHzで、NTSC方式のカラー・サブキャリア(subcarrier)・ディスレイを使用した。ディスプレイは"高"解像度(240x240 ピクセル)にも対応できた。

概要[編集]

ルクソール ABC 802は小型の黄色蛍光体モノクロ・ディスプレイ付のオフィス向けモデル。写真では2基の5.25インチ・フロッピーディスク装置をディスプレイの横に装備。灰茶色は全てのABC 800(とABC 1600)製品に共通の色でベージュ色のABC 80とは異なる。写真はリンシェーピングにあるIT-ceumの展示会でのもの。

ABC 800は80文字幅のモノクロディスプレイと40文字幅のカラー・ ディスプレイが使用できた。後期のABC 806はより多くのメモリと改善されたグラフィックを持っており、ABC 802は小型ディスプレイにマザーボードを内蔵した(ABC 80と800はキーボード内蔵のマザーボードと別体型ディスプレイ)コンパクトモデルであった。ABC 802には高解像度グラフィックは無かった。

補助記憶装置は2基の容量160、320又は640 KBの5.25インチ・フロッピーディスク装置であった。外部ハードディスクドライブは後で利用可能(主にABC 850で容量10 MB)になった。型式名'ABC 800 M'はモノクロ・ディスプレイで'ABC 800 C'はカラーであった。

「誰がIBM PC互換機を必要としているのだろうか?("Who needs IBM-compatibility?")」という問い掛けがルクソール社の宣伝文句であった。しかしコンピュータ購入者の大多数はこれが必要であると考えていた。ABC機環境とPC環境の間で'W ABC'というソフトウェアを介して幾らかの互換性を取ることができた。

ABC 800コンピュータはファシット社からもファシット DTC(Facit DTC)という名称で販売された。

性能[編集]

ルクソール ABC 806

ABC 800の性能が同時代のパーソナルコンピュータと比較してどうであったのかを見るために1982年にスウェーデンのミクロデートルン(Mikrodatorn誌が、米国のキロボード誌(Kilobaud Magazine)が定義した8本の短いBASICプログラム(BM1からBM8という名称)(英国の雑誌パーソナル・コンピュータ・ワールド誌:Personal Computer Worldが新しいマシンをテストするのにいつも使用している)を使用したベンチマーク・テストを実施した。

結果としてABC 800のセミコンパイリングBASICインタプリタは他の人気マシンで使用されているほとんどのBASICよりも速い(特に整数型変数を扱う場合に)ということが分かった。著名なコンピュータとの比較結果は以下の通りである。(時間は秒):

BM1 BM2 BM3 BM4 BM5 BM6 BM7 BM8
ABC 800 整数型 未計測 - おおよその数値は ABC 80 を参照
ABC 800 単精度 0.9 1.8 6.0 5.9 6.3 11.6 19.6 2.9
ABC 800 倍精度 1.2 2.2 10.0 10.6 11.0 17.8 26.4 14.4
IBM PC 1.5 5.2 12.1 12.6 13.6 23.5 37.4 3.5
Apple III 1.7 7.2 13.5 14.5 16.0 27.0 42.5 7.5
VIC-20 1.4 8.3 15.5 17.1 18.3 27.2 42.7 9.9
ZX81 "高速モード" 4.5 6.9 16.4 15.8 18.6 49.7 68.5 22.9

この表からはABC 800が浮動小数点数の計算(20%速いだけのBM8を除く)でIBM PCの約2倍速いことが分かる。この表の結果では整数型変数を扱う場合(このテストでは旧いABC 80の計測値しかないが)の数値は単精度での値よりも約2-3倍低い(言い換えると速さでは2-3倍速い)。

外部リンク[編集]

  • [1] Luxor ABC 800 (英語)