貯食行動

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貯食行動(英語:Hoarding、caching)とは、動物行動学において動物を隠すなどを行い貯蔵する行動である。

餌が足りなくなる冬の前に行われることも多いが、熟成させるために行われることもある[1]

主に貯食行動が見られる種は、貯め込むというドイツ語:hamstern が名称の語源といわれるハムスターリスなどのネズミ目や、カラスキツツキなどの鳥に見られるが、ジャガーが獲物を横取りされないよう木に吊るしたり、犬猫等が土に隠したりするなど他の動物でも見られる。

貯蔵する方法は二種類あり、(1)一か所に大量にため込む larder-hoarding 型、(2)細かく分散させる scatter-hoarding 型がある。

熟成させる例
食肉類のタイラと呼ばれる中央アメリカイタチは、プランテンと呼ばれるバナナを隠し、熟成したころに食べる習性が確認されている[1]
発酵させる例
キノコシロアリ類は葉を巣内に持ち込み真菌で発酵させてから食す。
早贄
モズという鳥は、捕らえた獲物を木の枝股に挟む習性をもつ。これは保存の他に、なわばりの主張がされているという説もある。

関連行動

確認
多くの種は、保存した場所を確認し、きちんと秘密が保たれ保存されていることを確認する[2][3][4]。例外として、先に述べたモズという鳥は、秘密にせず見せびらかすように保存する。
隠蔽
隠した場所を他の動物に荒らされないように石などを置いて隠す。また、隠したところを見つかった場合は、隠す場所を変えたりなどが行われる。
共有
アメリカビーバーは、餌が付いた枝等を冬期の食料として水底に沈め共有利用する。ドングリキツツキは群れで枯れ木に大量の穴を開けて、ドングリを隠す習性を持ち、この貯蔵木は代々受け継がれ、共同で利用される[5]
盗難、相互盗難
他の動物や同じ種に盗まれることがある。盗まれたものは、盗んだ動物によって再度管理下の保管場所に置かれる場合がある。

出典

  1. ^ a b Soley, F. G.; Alvarado-Díaz, I. (2011). “Prospective thinking in a mustelid? Eira barbara (Carnivora) cache unripe fruits to consume them once ripened” (英語). Naturwissenschaften 98 (8): 693–698. doi:10.1007/s00114-011-0821-0. ISSN 0028-1042. PMID 21739130. 
  2. ^ Dally, Joanna M.; Emery, Nathan J.; Clayton, Nicola S. (2006). “Food-Caching Western Scrub-Jays Keep Track of Who Was Watching When”. Science 312 (5780): 1662–1665. doi:10.1126/science.1126539. PMID 16709747. 
  3. ^ Heinrich, B. & Pepper, J. W. (1998) Influence of competitors on caching behavior in the common raven, Corvus corax. Anim. Behav. 56:1083-1090
  4. ^ Emery, N. J.; Clayton, N. S. (2001). “Effects of experience and social context on prospective caching strategies by scrub jays”. Nature 414 (6862): 443–446. doi:10.1038/35106560. PMID 11719804. 
  5. ^ 数理科学 1990年11月号 P70. 著:石田 健

参考文献

  • Jenkins, Stewart H. and Breck, Stewart W. (1998) Differences in food hoarding among six species of heteromyid rodents. J Mammal. 79:1221-1233.

関連項目

  • 食料保存 - ある種の動物の他、人間はいろんな食料を保存する技術を発展させた。
  • 渡り鳥 - ある種の鳥は、冬の時期に餌を貯めずに餌を得やすい環境に移動することで解決した。
  • 冬眠 - クマなどの動物は、冬の時期にエネルギーの消費を減らす状態になる事で冬を凌いだ。
  • ペットフード