経木
経木(きょうぎ)とは、薄い木の板である。材質は主にスギ、ヒノキが用いられる。通常は柾目で削られている。経木はその厚さによって、「厚づき(0.5mm~1.0mm)」、「薄づき(0.1mm~0.3mm)」、「会敷(0.1mm~0.05mm)」に分類できる[1]。包装材としては「へぎ」と読む場合がある。
概要
経木は、仏教と共にインドから朝鮮を経て日本へ伝来したものであり、当初は経典を写す目的で用いられた[2]。紙が高価な時代には記録媒体として用いられた[2]。仏教行事においては、経木を五輪の塔の形に模し、塔婆の一種である経木塔婆、水塔婆として用いる[2]。
日本では大和時代から使われてきた包装材であり、昭和30年代までは包装材料として一般的に使用され[1]、マッチ箱の材料としても利用された[3]。ポリエチレンやスチロールが広まったために衰退した[1]が、現代でも駅弁の折箱として、鹿児島本線折尾駅にある東筑軒の「かしわめし」、山陽本線宮島口駅にあるうえのの「あなごめし」、東海道新幹線新横浜駅などで販売される横浜工場産の崎陽軒シウマイ弁当などに使用されている。近年、殺菌・抗菌効果や使用後の堆肥化、バイオマス利用など、環境に優しい製品として再評価の動きがある[4][5]。
島根県浜田市では、薄く加工した経木を用いた経木帽子が生産されている[6]。また、経木の軽くて柔らかい性質から、煮崩れをしやすい軟らかい食材で煮物料理を作る際の落とし蓋として使われることも多かった[7]。
出典
- ^ a b c 中川重年 (2011-03). “丹沢の経木作りについて”. 神奈川県林業試験場研究報告 (神奈川県林業試験場) 11: 39-43 .
- ^ a b c “経木”. WEB版新纂浄土宗大辞典. 2020年12月8日閲覧。
- ^ “マッチの世界”. 日本燐寸工業会 2014年12月19日閲覧。
- ^ “伝統の食品包装材「経木」見直す動き プラゴミ問題、テークアウト需要高まる” (jp). Mainichi Daily News. (2020年8月4日) 2020年12月8日閲覧。
- ^ “廃プラ・コロナ… 経木、再び身近に テークアウト定着、受注増” (jp). Mainichi Daily News. (2020年8月28日) 2020年12月8日閲覧。
- ^ “経木帽子 | しまね浜田市の特産品ガイド”. hamadanoippin.com. 2020年12月8日閲覧。
- ^ “実は凄かった!木の食品包装「経木」の天然パワー”. ダイヤモンド・オンライン. 2020年12月8日閲覧。