分子病理学
分子病理学(ぶんしびょうりがく、英: Molecular pathology)とは、臓器、組織、または体液内の分子の検査を通じて分子構造,遺伝子構造の異常にまで掘り下げて疾患の研究および診断を行う病理学の中で新たな学問分野である。分子病理学は、解剖学的病理学、臨床病理学、分子生物学、生化学、プロテオミクスおよび遺伝学に基く研究や実践のいくつかの側面を共有し「クロスオーバー」分野と見なされることがある。本質的に学際的であり、主に病気の超顕微鏡的側面、組織の形態学的変化(従来の解剖学的病理学)と分子検査の両方に基づいている場合はより正確な診断へのアプローチが可能である。様々な分野のアプローチを持ちいて病変の本態を明らかにする学問分野。
病気の診断と分類への分子的および遺伝的アプローチの開発、薬物治療効果、放射線治療効果、病気の進行予測のバイオマーカーの設計と検証、様々な遺伝的背景の個人が病や障害を発症する感受性を含む科学分野。
分子病理学は、がんや感染症の診断によく使用される。テクニックは多数あるが代表的なものとして、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、マルチプレックスPCR、DNAマイクロアレイ、in situハイブリダイゼーション、in situ RNAシーケンス、DNAシーケンス、抗体ベースの免疫蛍光組織アッセイ、病原体の分子プロファイリング、抗菌薬耐性の細菌遺伝子の分析などがあげられる。
「分子病理学」と「疫学」の統合により、「分子病理学疫学」(MPE)と呼ばれる学際的な分野が生まれ、統合分子生物学および人口健康科学が代表される。
参考文献
新しい病理学の世界―細胞病理学から分子病理学へ 単行本 – 2004/8 妹尾 左知丸 (著)