ホスホリパーゼC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。権田原 (会話 | 投稿記録) による 2018年10月30日 (火) 09:25個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎外部リンク: 追加)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ホスホリパーゼの切断部位。ホスホリパーゼC酵素はR3部分に付いているリン酸エステルの直前を切る。

ホスホリパーゼC(ホスホリパーゼ・シー、: phospholipase C, PLC)は、リン酸エステル基の直前でリン脂質を切断する酵素群の総称である。真核生物細胞生理学、とりわけシグナル伝達経路において重要な役割を果たしている。13種類のほ乳類ホスホリパーゼCは構造に従って、6種類のアイソタイプ(β, γ, δ, ε, ζ, η)に分類される。

ほ乳類のバリアント

活性化

ホスホリパーゼC経路を活性化する受容体は、主にGαqサブユニット英語版と共役したGタンパク質共役受容体であり以下のものが含まれる。

Gαqよりもマイナーなその他の活性化受容体:

作用

PLCはリン脂質を切断する。ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸 (PIP2) はジアシルグリセロール (DAG) およびイノシトール1,4,5-トリスリン酸 (IP3) へと切断される。DAG は膜に結合したまま留まり、IP3細胞質ゾルへと放出される。次に、IP3は細胞質ゾルを介して拡散し、小胞体 (ER) にある特有のカルシウムチャネルであるイノシトールトリスリン酸受容体に結合する。これによって、カルシウムの細胞質ゾル濃度が上昇し、細胞内変化および活性化のカスケードが引き起こされる[4]。加えて、カルシウムおよびDAGはプロテインキナーゼCを活性化する。プロテインキナーゼCはその他のタンパク質分子をリン酸化し、細胞活性を変化させる[4]。末端効果は味や発がん促進などである[4]

その他の生物

バクテリアトリパノソーマでもホスホリパーゼCが同定されている。EC番号は以下の通りである。

ホスホイノシチドホスホリパーゼC英語版 EC 3.1.4.11
真核生物、特にほ乳類で見られる主な形
亜鉛依存性ホスホリパーゼC英語版 EC 3.1.4.3
α毒素英語版を含むバクテリア酵素ファミリー
ホスファチジルイノシトールジアシルグリセロールリアーゼ EC 4.6.1.13
バクテリアの酵素
グリコシルホスファチジルイノシトールジアシルグリセロールリアーゼ EC 4.6.1.14
トリパソーマの酵素

脚注

  1. ^ a b Walter F., PhD. Boron (2003). Medical Physiology: A Cellular And Molecular Approaoch. Elsevier/Saunders. pp. 1300. ISBN 1-4160-2328-3  Page 104
  2. ^ Michaele Rule (2009年2月21日). “Salvia Divinorum”. 2012年5月17日閲覧。
  3. ^ QIAGEN. “GeneGlobe -> GHRH Signaling”. 2012年5月17日閲覧。
  4. ^ a b c Alberts B, Lewis J, Raff M, Roberts K, Walter P (2002). Molecular biology of the cell (4th ed.). New York: Garland Science. ISBN 0-8153-3218-1 

関連項目

外部リンク