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チロキシン結合グロブリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2021年10月3日 (日) 16:58; Utataneko (会話 | 投稿記録) による版(日時は個人設定で未設定ならUTC

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SERPINA7
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

2CEO, 2RIV, 2RIW, 2XN3, 2XN5, 2XN6, 2XN7, 4X30, 4YIA

識別子
記号SERPINA7, TBG, serpin family A member 7, Thyroxine-binding globulin,TBG, TBGQTL
外部IDOMIM: 314200 MGI: 3041197 HomoloGene: 20113 GeneCards: SERPINA7
遺伝子の位置 (ヒト)
X染色体
染色体X染色体[1]
X染色体
SERPINA7遺伝子の位置
SERPINA7遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点106,032,435 bp[1]
終点106,038,727 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
X染色体 (マウス)
染色体X染色体 (マウス)[2]
X染色体 (マウス)
SERPINA7遺伝子の位置
SERPINA7遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点137,980,006 bp[2]
終点137,985,985 bp[2]
遺伝子オントロジー
分子機能 serine-type endopeptidase inhibitor activity
細胞の構成要素 エキソソーム
細胞外領域
細胞外空間
生物学的プロセス thyroid hormone transport
negative regulation of endopeptidase activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_000354

NM_177920
NM_001382371
NM_001382372

RefSeq
(タンパク質)

NP_000345

NP_808588
NP_001369300
NP_001369301

場所
(UCSC)
Chr X: 106.03 – 106.04 MbChr X: 137.98 – 137.99 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

チロキシン結合グロブリン(Thyroxine-binding globulin、TBG)は、グロブリンタンパク質の一種で、ヒトではSERPINA7 遺伝子によってコードされている。TBGは、血中の甲状腺ホルモンと結合する。TBGは、トランスチレチン、血清アルブミンと共に、甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)およびトリヨードチロニン(T3)を血液に乗せて運ぶ3つの運搬体タンパク質の1つである。これら3つのタンパク質のうち、TBGはT4とT3に最も高い親和性を持つが、血中のT3とT4に結合するトランスチレチンやアルブミンに比べて最も低濃度で存在する。TBGはその低濃度にも拘わらず、血漿中のT4の大部分を運んでいる。血中のT4とT3の濃度が非常に低い為、TBGがそのリガンドで25%以上飽和する事は殆どない。トランスチレチンやアルブミンとは異なり、TBGはT4/T3との結合部位が1つである。TBGは主に肝臓で54kDaのタンパク質として合成される。ゲノムの観点からは、TBGはセルピンの一種であるが、このクラスの他の多くのタンパク質の様な阻害機能は持っていない。

診断上の意義

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甲状腺ホルモンの濃度が高くなったり低くなったりする原因を調べる為に、甲状腺結合グロブリン検査が行われる事がある。これは、放射線標識された甲状腺ホルモンの樹脂への結合(標識された甲状腺ホルモンが遊離している時にのみ起こる)を測定する事で行われる。

患者の血清と標識された甲状腺ホルモンを混合し、次に混合物全体に樹脂を加えて、遊離の標識甲状腺ホルモンの量を測定する。例えば甲状腺ホルモンの濃度が低い患者が本当に甲状腺機能低下症で、TBG濃度が正常であれば、総甲状腺ホルモン濃度が低いので、TBGに結合できる部位が多く空いている。その為、標識ホルモンを添加すると、殆どがTBGに結合し、樹脂に結合する分子は殆ど残らない。一方、甲状腺ホルモンの濃度が高い患者が患者が本当に甲状腺機能亢進症で、TBG濃度が正常な場合は、患者の内因性ホルモンがTBGの結合部位をより飽和させ、標識ホルモンの入る余地が少なくなる為、樹脂への結合がより多くなる。

本当に甲状腺機能低下症甲状腺機能亢進症である患者では、TBG検査はあまり役に立たない。しかし、症状を伴わないのに総甲状腺ホルモン濃度が甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症を示している場合は、TBG検査の有用性がより明らかになる。何故なら、TBGの産生はエストロゲン濃度、副腎皮質ホルモン濃度、あるいは肝不全などの他の因子によって変化する可能性が有るからである。例えば、エストロゲン高値に伴ってTBG濃度が高い場合、TBGはより多くの甲状腺ホルモンと結合し、血液中で利用可能な遊離ホルモンを減少させ、TSHが刺激され、より多くの甲状腺ホルモンが産生される事になる。この場合、総甲状腺ホルモン値は高くなる。そこに標識ホルモンを添加すると、TBGが非常に高いので、内因性甲状腺ホルモンと標識ホルモンの結合の平衡が得られれば、樹脂に取り込まれる遊離の標識ホルモンが少なくなる。逆に、TBG濃度を下げる副腎皮質ホルモンの存在下では、血中の総甲状腺ホルモン(結合型と遊離型)が少なくなる。このように、標識ホルモンを添加すると、血中のTBGは非常に少ないので、平衡状態になった後、僅かにしかTBGと結合せず、樹脂に取り込まれる標識ホルモンが多くなる。

関連文献

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外部リンク

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  • Overview of all the structural information available in the PDB for UniProt: P05543 (Thyroxine-binding globulin) at the PDBe-KB.
  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000123561 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000031271 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference: