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PLEKHG2

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PLEKHG2
識別子
記号PLEKHG2, ARHGEF42, CLG, LDAMD, pleckstrin homology and RhoGEF domain containing G2, CTB-60E11.4
外部IDOMIM: 611893 MGI: 2141874 HomoloGene: 16341 GeneCards: PLEKHG2
遺伝子の位置 (ヒト)
19番染色体 (ヒト)
染色体19番染色体 (ヒト)[1]
19番染色体 (ヒト)
PLEKHG2遺伝子の位置
PLEKHG2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点39,412,669 bp[1]
終点39,428,415 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
7番染色体 (マウス)
染色体7番染色体 (マウス)[2]
7番染色体 (マウス)
PLEKHG2遺伝子の位置
PLEKHG2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点28,359,604 bp[2]
終点28,372,599 bp[2]
遺伝子オントロジー
分子機能 血漿タンパク結合
guanyl-nucleotide exchange factor activity
細胞の構成要素 細胞質基質
生物学的プロセス regulation of Rho protein signal transduction
regulation of small GTPase mediated signal transduction
positive regulation of apoptotic process
regulation of actin filament polymerization
Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_022835
NM_001351693
NM_001351694

NM_001083912
NM_001290542
NM_138752

RefSeq
(タンパク質)

NP_073746
NP_001338622
NP_001338623

NP_001077381
NP_001277471
NP_620091

場所
(UCSC)
Chr 19: 39.41 – 39.43 MbChr 19: 28.36 – 28.37 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

ヒト19番染色体に存在するpleckstrin homology and RhoGEF domain containing G2 (PLEKHG2) タンパク質をコードする遺伝子。ARHGEF42、FLJ00018と表記されることもある。

PLEKHG2タンパク質は、約1300アミノ酸、130 kDaあまりの巨大なタンパク質で、その構造のN末端付近に、Dbl homology (DH) ドメイン及びpleckstrin homology (PH) ドメインを有する。DHドメインは、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質 (RhoGTPase) 上のGDPをGTPに変換するグアニンヌクレオチド交換活性を担うドメインであり、このドメインを持つPLEKHG2もRho特異的なグアニンヌクレオチド交換因子 (RhoGEF) として作用する。

RhoGTPaseの活性化により、アクチン細胞骨格が再構築され、細胞の形態が変化することから、PLEKHG2が、RhoGTPase及びアクチン再構築を介して、細胞の運動性や神経細胞のニューロンネットワークの発達に寄与しているのではないかと考えられている (後述参照)。

なお、FLJ00018という表記は、NEDOによる「完全長cDNA構造解析プロジェクト」によってクローニングされた際に付された。FLJ00018のFLJは、Full-length and long Japanの略であり、018はゼロイチハチと読み、新元号「令和 (レイワ; 018) 」とは一切関係がない。

クローニング

PLEKHG2の活性制御機構とPLEKHG2によるRhoの活性化

レトロウイルス導入によって突然変異誘発されたBXH2およびAKXD組換え近交系マウスは、骨髄性白血病、B細胞・T細胞白血病を高頻度で発症することが知られている[5]

2002年、Himmelらは、この急性骨髄性白血病のモデルを用いて、Evi24と呼ばれるレトロウイルスの取り込み部位の下流に新規Dblファミリーグアニンヌクレオチド交換因子遺伝子が含まれることを示し、Clgと名付けた[6]

HemmelらはClgをクローニングし、ヒト19番染色体19q13.1領域に含まれるPLEKHG2と相同性があることを示し、急性骨髄性白血病との関連を指摘した。

機能

Hemmelらは2002年に発表した論文中において、ClgのDH-PHドメインを含むコンストラクトが、Cdc42のグアニンヌクレオチド交換を促進するが、Rac1やRhoAのグアニンヌクレオチド交換は促進しないことを示した。また、全長ClgおよびClgのDH-PHドメインをNIH3T3細胞に導入し形質転換が生じることを示した。

後に、Uedaらは、完全長ヒトPLEKHG2の発現コンストラクトをHEK293細胞に導入し、in vitroにおいて、PLEKHG2が三量体Gタンパク質共役型受容体 (GPCR) に共役する三量体Gタンパク質のGβγサブユニットによって活性化される事を示した。またUedaらは、PLEKHG2が、RhoGTPaseのうち、Rac1、Cdc42を活性化し、細胞形態変化に寄与することを示した[7]

2013年、RunneらによってPLEKHG2が、Jurkat T細胞を含むいくつかの白血病細胞株において発現上昇していることを示した。また、Runneらは同論文中において、GPCRシグナル依存的にRacおよびCdc42を活性化すること、アクチン重合を介してリンパ球の走化性を調節することを示し、PLEKHG2が細胞運動の重要な制御因子だと考えられた[8]

さらに近年、PLEKHG2は細胞内の様々なシグナルによってリン酸化などの修飾や他のタンパク質との相互作用を介して活性調節を受けることが明らかとなっている (相互作用・修飾の項参照) が、生体内での機能は不明な点が多い。

疾患関連性

精神遅滞、ジストニア、出生後小頭症の患者においてPLEKHG2遺伝子のArg204Trp変異が見つかっており、疾患との関連も示唆されている[9]

相互作用

PLEKHG2は、以下のタンパク質と結合することが知られている。

・Gβγ[10]

三量体Gタンパク質のGβγとPLEKHG2とが直接相互作用する事でPLEKHG2が活性化される。

・β-アクチン[11]

相互作用によって、PLEKHG2の活性が抑制される。β-アクチン、γ-アクチンどちらも相互作用するが、β-アクチンの方が抑制作用が強いと考えられている。

・Four and a Half LIM domain1 (FHL1)[12][13]

FHL1のアイソフォームのうちFHL1A及びFHL1BがPLEKHG2と相互作用する。相互作用によってPLEKHG2が活性化され、細胞突起形成などに寄与すると考えられている。Gβγ、FHL1、及びPLEKHG2が複合体を形成している可能性も示唆されているが、どのシグナルの下流で相互作用が制御されているかは明らかとなっていない。後にNishikawaらによって、この相互作用はFHL1特異的であり、FHL2やFHL3とは結合しないことが示された。

Gαs[14]

GαsがPLEKHG2と直接的に相互作用し、PLEKHG2の活性を抑制することが示された。

修飾

PLEKHG2は以下のタンパク質が関連するシグナルによりリン酸化等の修飾を受けることが知られている。

SRC[15]

SrcシグナルによってPLEKHG2の489番目のチロシン残基がリン酸化されることが示された。

EGFR[16]

EGFRシグナルによってPLEKHG2の680番目のスレオニン残基がリン酸化される事が示された。リン酸化により、PLEKHG2が活性化され、細胞の神経突起様構造が増加する。

参考文献

  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000090924 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000037552 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference:
  5. ^ Li J, Shen H, Himmel KL, Dupuy AJ, Largaespada DA, Nakamura T, Shaughnessy JD Jr, Jenkins NA, Copeland NG. (1999) Leukaemia disease genes: large-scale cloning and pathway predictions. Nat Genet. 23, 348-53.
  6. ^ Himmel KL, Bi F, Shen H, Jenkins NA, Copeland NG, Zheng Y, Largaespada DA. (2002) Activation of clg, a novel dbl family guanine nucleotide exchange factor gene, by proviral insertion at evi24, a common integration site in B cell and myeloid leukemias. 277, 13463-72
  7. ^ Ueda, H., Nagae, R., Kozawa, M., Morishita, R., Kimura, S., Nagase, T., Ohara, O., Yoshida, S., and Asano, T. (2008) Heterotrimeric G protein βγ subunits stimulate FLJ00018, a guanine nucleotide exchange factor for Rac1 and Cdc42. J. Biol. Chem. 283, 1946–1953
  8. ^ Runne, C., and Chen, S. (2013) PLEKHG2 promotes heterotrimeric G protein βγ-stimulated lymphocyte migration via Rac and Cdc42 activation and actin polymerization. Mol. Cell. Biol. 33, 4294–307
  9. ^ Edvardson, S., Wang, H., Dor, T., Atawneh, O., Yaacov, B., Gartner, J., Cinnamon, Y., Chen, S., and Elpeleg, O. (2016) Microcephaly-dystonia due to mutated PLEKHG2 with impaired actin polymerization. Neurogenetics. 17, 25–30
  10. ^ Ueda, H., Nagae, R., Kozawa, M., Morishita, R., Kimura, S., Nagase, T., Ohara, O., Yoshida, S., and Asano, T. (2008) Heterotrimeric G protein βγ subunits stimulate FLJ00018, a guanine nucleotide exchange factor for Rac1 and Cdc42. J. Biol. Chem. 283, 1946–1953
  11. ^ Sato, K., Handa, H., Kimura, M., Okano, Y., Nagaoka, H., Nagase, T., Sugiyama, T., Kitade, Y., and Ueda, H. (2013) Identification of a Rho family specific guanine nucleotide exchange factor, FLJ00018, as a novel actin-binding protein. Cell. Signal. 25, 41–9
  12. ^ Sato, K., Kimura, M., Sugiyama, K., Nishikawa, M., Okano, Y., Nagaoka, H., Nagase, T., Kitade, Y., and Ueda, H. (2016) Four-and-a-half LIM domains 1 (FHL1) protein interacts with the Rho guanine nucleotide exchange factor PLEKHG2/FLJ00018 and regulates cell morphogenesis. J. Biol. Chem. 291, 25227–25238
  13. ^ Nishikawa, M., Sato, K., Nakano, S., Yamakawa, H., Nagase, T., and Ueda, H. (2017) Specific activation of PLEKHG2-induced serum response element-dependent gene transcription by four-and-a-half LIM domains (FHL) 1, but not FHL2 or FHL3. Small GTPases. 0, 1–6
  14. ^ Sugiyama, K., Tago, K., Matsushita, S., Nishikawa, M., Sato, K., Muto, Y., Nagase, T., and Ueda, H. (2017) Heterotrimeric G protein Gαs subunit attenuates PLEKHG2, a Rho family-specific guanine nucleotide exchange factor, by direct interaction. Cell. Signal. 32, 115–123
  15. ^ Sato, K., Suzuki, T., Yamaguchi, Y., Kitade, Y., Nagase, T., and Ueda, H. (2014) PLEKHG2/FLJ00018, a Rho family-specific guanine nucleotide exchange factor, is tyrosine phosphorylated via the EphB2/cSrc signaling pathway. Cell. Signal. 26, 691–696
  16. ^ Sato, K., Sugiyama, T., Nagase, T., Kitade, Y., and Ueda, H. (2014) Threonine 680 phosphorylation of FLJ00018/PLEKHG2, a Rho family-specific guanine nucleotide exchange factor, by epidermal growth factor receptor signaling regulates cell morphology of Neuro-2a cells. J. Biol. Chem. 289, 10045–56

外部リンク