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伊予さつま

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2020年8月19日 (水) 11:55; あいさんさん (会話 | 投稿記録) による版(日時は個人設定で未設定ならUTC

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伊予さつま汁定食

伊予さつま(いよさつま)とは、愛媛県の魚と味噌を使った郷土料理。単に、「さつま」や佐妻汁などと呼ぶこともある。手間がかかるため、今日では家庭で作られることは少なくなり、専ら郷土料理店で出される料理となっている。

宇和島市内のほか松山市内でも目玉料理としている飲食店がある。また、手軽に作れるようパッケージ商品化されたものも土産品店や高速道路サービスエリア売店で買い求めることができる。その他にも、既にご飯にかければ出来上がるような商品をスーパーマーケットで買い求めることもできる。

由来

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その名のとおり、薩摩国から伝わったという通説のほか、南宇和郡の漁村に自然発生したという説、江戸時代にかつお漁民が考案したという説などがある。

愛媛県下各地でさまざまな種類があるが、大別すると、冷や汁系とさつま系があるとされ、冷や汁は魚の代わりにイリコを用い、他の具は入れないことが多く、薄味であるなどの特徴を持つことから、「さつま」の原始形と見られている。

備考

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基本的には「さつま」とひらがな表記をするが、これに〔佐妻〕という字をあてたのは、昭和天皇である。

作り方

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大正7年刊 中野常盤著「割烹教科書」による記述は以下。

「薩摩汁 材料 焼き魚 味噌 だし汁 こんにゃく ネギ。 魚は焼いて骨をとり刻んでおく。こんにゃくはゆでて短冊切りとする ネギはごく細く刻んでおく。次に味噌をすり、すり鉢の底へ杓子にて薄く塗りつけコンロにかぶせ焦げつかないように焼く。またすっては焼き、すっては焼きすること3回ほどにして魚を入れすり潰し、擦りつつだし汁にて延ばす。その加減は普通の味噌汁よりは濃くどろどろよりは少し薄くのばすのがよい。これにこんにゃく、ネギを加え熱い飯にかけ食する。あるいは菓子椀に盛るべし。 備考 この薩摩汁に用いる魚は鮎、鯛のごとき脂肪の軽き物をよしとする。 薩摩汁によりては熱き製法もあるが、これは冷やし汁である」

宇和島市ではこずな(アマダイ)を使う料理が最高とされる。家庭では、焼いた身をスリコギですりつぶし作られる。慣れてくるとスリコギの音で出来がわかり、見なくても判断できるようになる。昔はすりつぶすのは子どもの役割であったが、疲れた子どもが止めようとしても、大人はまだ出来上がっていないことがわかるので「まだまだ」という対応をする光景が日常的にあった。