菱川孫兵衛

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菱川 孫兵衛(ひしかわ まごべえ、生没年不詳)とは、江戸時代絵師

来歴[編集]

師系・経歴不明。滋賀県近江八幡市日牟禮八幡宮に「安南渡海船額」という扁額(絵馬)があり、その画面には「正保四年(1647年)丁亥三月吉日」、「菱川孫兵衛筆」などと記されている。画風は狩野派風といわれる。この扁額は近江八幡の商人西村太郎右衛門安南国交趾に渡海して居住の後、人を頼んで九州長崎から日牟禮八幡宮に奉納したもので、長崎には当時「菱川孫兵衛」と名乗る絵師がいたとの伝承があったという。また『古画備考』巻四十五の「禁裡御造営部類」によれば、火事で焼けた京都御所の再建が延宝2年(1674年)から延宝4年にかけて行われ、このとき女御御殿に「菱川孫兵衛」という絵師が枇杷などの絵を描いている。

参考文献[編集]

  • 近松文三郎 『西村太郎右衛門』 西村太郎右衛門顕彰会、1941年 ※国立国会図書館デジタルコレクションに本文あり。18コマ目(国宝絵馬)。
  • 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年 ※129頁
  • 朝岡興禎(太田謹 補) 『増訂古畫備考』(下巻) 思文閣出版、1983年(復刻版)
  • 『大ベトナム展 公式カタログ ベトナム物語』 九州国立博物館、2013年