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至聖三者 (ルブリョフによるイコン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『至聖三者』
作者アンドレイ・ルブリョフ
製作年1411年か、1425年から1427年の間
種類テンペラ
寸法142 cm × 114 cm (56 in × 45 in)
所蔵トレチャコフ美術館モスクワ
濃色版

至聖三者』(しせいさんしゃ、ロシア語: «Троица»)は、ロシアに伝わるキリスト教正教会板絵イコンである。アンドレイ・ルブリョフによって15世紀に描かれたとされる[1]

この作品はルブリョフによるイコンの中でも最も有名であり[2]、ロシア芸術の到達点の一つとも看做されている[3]

概要

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『至聖三者』は、マムレのナラの木の下のアウラアム(アブラハム)[4] を訪れた三天使を描いているが、これは至聖三者を象徴するイコンであると解釈される[5]至聖三者三位一体の神)そのものは描けないが、至聖三者を象徴する三天使を描いたイコンであるとされる[6]

エホバ、マムレの橡林にてアブラハムに顕現れたまヘり彼は日の熱き時刻天幕の入口に座しゐたりが  目を挙げて見たるに視よ三人の人其前に立てり彼見て天幕の入口より趨り行て之を迎ヘ
身を地に鞠めて言けるは我が主よ我汝の目のまヘに恩を得たるならば請う僕を通り過すなかれ  
請う少許の水を取きたらしめ汝等の足を濯ひて休憩たまヘ  
我一口のパンを取来たらん汝等心を慰めて然る後過ぎゆくべし汝等僕の所に来ればなり彼等言ふ汝が言るごとく為せ  是においてアブラハム天幕に急ぎいりてサラの許に至りて言けるは速に細き麺三セヤを取り捏てパンを作るべしと  
而してアブラハム牛の群に趨ゆき犢の柔にして善き者を取り来たりて少者に付しければ急ぎて之を調理ふ  
かくてアブラハム牛酪と牛乳および其調理へたる犢を取て彼等のまへに供へ樹の下にて其側に立り彼等乃ち食へり  
彼等アブラハムに言ひけるは爾の妻サラは何処にあるや彼言ふ天幕にあり  
其一人言ふ明年の今頃我必ず爾に返るべし汝の妻サラに男子あらんサラ其後なる天幕の入口にありて聞きゐたり

— 旧約聖書 創世記 第18章1 - 10節

『至聖三者』について知られていることは僅かなものであり、学者達にとっても推測の域を出ない[7]。作者がルブリョフであるということすらも時には疑問符が付けられる。作成年代についても、1408年 - 1425年の間、1422年 - 1423年の間、1420年 - 1427年の間といった推測が、異なる根拠から導き出されている。(教会の)公式見解では1411年か、1425年から1427年の間とされている。1575年には、イヴァン雷帝が金で装飾するよう命じ、1600年にはボリス・ゴドゥノフによって装飾が新しくされた。現在、イコンのオリジナルはトレチャコフ美術館に収められている。かつてはモスクワの近くの至聖三者聖セルギイ大修道院に、ラドネジの聖セルギイに敬意を込めて収められていた。二つの複製品が作られ(1598年から1600年までの間と、1926年から1928年までの間)、二つとも至聖三者聖セルギイ修道院の大聖堂のイコノスタスに嵌め込まれている。

脚注

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  1. ^ Стенограмма расширенного реставрационного совещания в Государственной Третьяковской Галерее по вопросу «Троицы» Рублева 17 ноября 2008 года” ((ロシア語)). 2008年12月22日閲覧。
  2. ^ Trinity by Andrei Rublev” ((ロシア語)). Tretyakov Gallery. 2008年12月22日閲覧。
  3. ^ Explanation of Andrei Rublev's Icon ”. 2008年12月22日閲覧。
  4. ^ 正教会に係る記事のため、日本正教会による転写・表記に基本的に則って記事を作成した。アブラハムの教会スラヴ語表記から、日本正教会ではアウラアムと転写される。
  5. ^ Rublev's Icon of the Trinity”. wellsprings.org.uk. 2008年12月23日閲覧。
  6. ^ 至聖三者(三位一体)のイコン - 大阪ハリストス正教会 のページ
  7. ^ Holy Trinity of Andrei Rublev” ((ロシア語)). AndreiRublev.ru. 2008年12月23日閲覧。

関連文献

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  • Troitca Andreya Rubleva [The Trinity of Andrey Rublev], Gerold I. Vzdornov (ed.), Moscow: Iskusstvo, 1989.
  • Konrad Onasch, Das Problem des Lichtes in der Ikonomalerei Andrej Rublevs. Zur 600–Jahrfeier des grossen russischen Malers, vol. 28. Berlin: Berliner byzantinische Arbeiten, 1962.
  • Eugeny N. Trubetskoi, Russkaya ikonopis'. Umozrenie w kraskah. Wopros o smysle vizni w drewnerusskoj religioznoj viwopisi [Russian icon painting. Colourful contemplation. Question of the meaning of life in early Russian religious painting], Moscow: Beliy Gorod, 2003 [1916].
  • Natalya A. Demina, Troitca Andreya Rubleva [The Trinity of Andrey Rublev]. Moscow: Nauka, 1963.
  • Mikhail V. Alpatov, Andrey Rublev, Moscow: Iskusstvo, 1972.
  • Florensky, Pavel A. Troitse-Sergieva Lavra i Rossiya [The Troitse-Sergiev’s Lavra and Russia]. In Troitsa Andreya Rubleva [The Trinity of Andrey Rublev], Gerold I. Vzdornov (ed.), 52–53, Moscow: Iskusstvo, 1989.
  • Nikolai A. Golubtsov, Presyataya Troitsa I domostroitel’stvo (Ob ikone inoka Andreya Rubleva) [The Holy Trinity and housebuilding (On the icon of Holy Trinity by Andrey Rublev)], Journal of Moscow Patriarchate 7, 32–40, 1960.
  • Sergius Golubtsov, Ikona jivonachal’noy Troitsy [The icon of live-creating Trinity], Journal of Moscow Patriarchate 7, 69–76, 1972.
  • Viktor N. Lazarev, Russkaya srednevekovaya zhivopis’ [Medieval Russian art], In Troitsa Andreya Rubleva [The Trinity of Andrey Rublev], Gerold I. Vzdornov (ed.), 104–110. Moscow: Iskusstvo, 1989.
  • Georgij Yu. Somov, Semiotic systemity of visual artworks: Case study of The Holy Trinity by Rublev. Semiotica 166 (1/4), 1-79, 2007.

関連項目

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外部リンク

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