群発頭痛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
群発頭痛
PET3.jpg
PETスキャンによる、群発頭痛の発生中に活発化した脳の部分を示す画像。
分類および外部参照情報
ICD-10 G44.0
ICD-9-CM 339.00,339.01,339.02,
DiseasesDB 2850
MedlinePlus 000786
eMedicine EMERG/229 NEURO/67
Patient UK 群発頭痛
MeSH D003027

群発頭痛(ぐんぱつずつう、Cluster headache)は、強烈な痛みを生じる頭痛発作を特徴とする、一次性の(ほかが原因ではない)頭痛のひとつである。痛みの特徴としては一側性で眼窩部を中心とする激痛が、一定期間(群発期)に集中しておこり1日の間に発作を何回も繰り返すことにある。視床下部の機能異常が関与していると考えられている。群発頭痛発作期に三叉神経血管系に働くCGRPなどのニューロペプチドやNOの変化をきたすと考えられている。『国際頭痛分類第2版』では、群発頭痛およびその他の三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)に分類されている。

治療には発作の予防薬と、発作の抑制を目的とした薬がある。イギリスのガイドラインでは予防にベラパミル、抑制に経鼻トリプタン酸素を推奨している[1]。治療は限られており、ハーバード大学の研究者はLSD等が発作を抑制するという知見から、幻覚作用がない2-Bromo-LSD英語版(BOL-148)による基礎研究を経て、薬として承認されるための研究資金をつのっている[2]

特徴[編集]

診断上重要な臨床所見[要出典]
  • 一次性頭痛の中では最も痛みの強い頭痛である。
  • 頭痛は決まった片側に出現する。
  • 頭痛発作は数日に1回、乃至1日に数回の出現頻度である。
  • 1日あたりの頭痛発作時間は30分から数時間である。
  • 頭痛発作を反復する期間は1ヶ月弱から数ヶ月続き、これを群発期という。
  • 群発期は数年に1回乃至1年に数回現れる(慢性群発頭痛を除く)
  • 発作中は同速で流涙、鼻汁分泌、鼻づまり、縮瞳、流汗、眼瞼下垂などが認められる。
  • 群発期の非頭痛時間帯に飲酒すると頭痛を誘発し、非群発期には誘発なし
  • 発作中、頭痛に耐える時に力を入れている。
診断上参考となる臨床所見[要出典]
  • 頭痛発作直前に前ぶれが出現することが多い。
  • 男性、高身長、血圧低め、愚痴っぽい性格ではないことが多い。
  • 女性は妊娠中、頭痛が出現しにくい。
  • 若年期に発症するが、中年期乃至初老期に発症する例もある。
  • 年代と伴に症状が不鮮明となり高齢化で消失する。

治療[編集]

群発頭痛の治療は予防薬の意義が極めて高い。これは予防薬が効果的であること、頭痛が連日続くため抑制薬のトリプタン連用となり有効性が低下するためである。また群発頭痛は治療薬のプラセボ効果が出にくいとされている。

予防治療[編集]

一般的な予防薬としてはベラパミル(240~360mg)[1]炭酸リチウム(600~900mg)、バルプロ酸(400~600mg)、トピラマート(75mg)、ステロイド(PSL20mgから漸減)、ボツリヌス毒素などが知られている。

英国国立医療技術評価機構のガイドラインでは予防にベラパミルを勧告し、これが効果を示さなかった場合には専門家の支援を求めるべきだとしている[1]

抑制治療[編集]

抑制治療で用いられるのは経鼻トリプタン[1]酸素[1]エルゴタミンである。トリプタンは頭痛が出現したら早期投与しないと効果がないことが多く注射薬がよいとされる。点鼻薬の場合は前兆の時点で投与すると効果がある場合がある。酸素は純酸素7~8lで15分ほどで効果が出る場合が多い。酸素ボンベの常備が必要となる。

英国国立医療技術評価機構のガイドラインでは突発性の群発頭痛に対し、アセトアミノフェンNSAIDsオピオイドエルゴタミン・経口トリプタンは処方してはならないとしている[1]

研究段階にあるもの[編集]

ハーバード大学の研究者であるジョン・ハルパーン英語版が調査を行っている。2006年には、彼らは群発頭痛患者に聞き取りを行い、シロシビン使用者の19人中18人が、LSDの使用者の5人中4人が、寛解(収まっている)の期間を延長したなど、調査のための正当な理由となる可能性を得た[3]。2010年には、幻覚作用がないが化学構造が似ている2-Bromo-LSD英語版(BOL-148としても知られる)を用いた症例研究を行った[4]。研究では、例えばある患者では30年にわたり1週間に40の発作があったが、週に0回にまで減った[2]。彼の取り組みは、科学雑誌や「ナショナルジオグラフィックチャンネル」でも言及されたが、大手の製薬会社からの関心を得ず、entheogen社を立ち上げ、2-Bromo-LSDが承認されるための研究資金をつのっている[5]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 英国国立医療技術評価機構 2012.
  2. ^ a b “Harvard’s headache cure: LSD?”. Boston Business Journal. (2010年12月5日). http://www.bizjournals.com/boston/news/2010/11/05/harvards-headache-cure-lsd.html 2016年4月10日閲覧。 
  3. ^ Sewell, R. A.; Halpern, J. H.; Pope, H. G. (2006). “Response of cluster headache to psilocybin and LSD”. Neurology 66 (12): 1920–1922. doi:10.1212/01.wnl.0000219761.05466.43. PMID 16801660. 
  4. ^ Karst, M.; Halpern, J. H.; Bernateck, M.; Passie, T. (2010). “The non-hallucinogen 2-bromo-lysergic acid diethylamide as preventative treatment for cluster headache: An open, non-randomized case series”. Cephalalgia 30 (9): 1140–1144. doi:10.1177/0333102410363490. PMID 20713566. 
  5. ^ entheogen

参考文献[編集]