群発頭痛

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群発頭痛
PET3.jpg
PETスキャンによる、群発頭痛の発生中に活発化した脳の部分を示す画像。
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
神経学
ICD-10 G44.0
ICD-9-CM 339.00,339.01,339.02,
DiseasesDB 2850
MedlinePlus 000786
eMedicine EMERG/229 NEURO/67
Patient UK 群発頭痛
MeSH D003027

群発頭痛(ぐんぱつずつう、Cluster headache)は、強烈な痛みを生じる頭痛発作を特徴とする、一次性の(ほかが原因ではない)頭痛のひとつである。痛みの特徴としては一側性で眼窩部を中心とする激痛が、一定期間(群発期)に集中しておこり1日の間に発作を何回も繰り返すことにある。視床下部の機能異常が関与していると考えられている。群発頭痛発作期に三叉神経血管系に働くCGRPなどのニューロペプチドやNOの変化をきたすと考えられている。『国際頭痛分類第3版beta版』では、三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)に分類されている[1]

治療には発作の予防薬と、発作の頓挫を目的とした急性期治療薬がある。本邦のガイドラインでは、急性期治療薬としてはスマトリプタン皮下注射、純酸素吸入が、反復性群発頭痛の予防薬としてはベラパミル、副腎皮質ステロイドが推奨されている[2]

特徴[2][編集]

診断上重要な臨床所見
  • 一次性頭痛の中では最も痛みの強い頭痛である。
  • 頭痛は決まった片側に出現する。
  • 頭痛発作頻度は1回/2日~8回/日である。
  • 1回あたりの頭痛発作時間は15~180分である。
  • 頭痛発作を反復する期間は1ヶ月弱から数ヶ月続き、これを群発期という。
  • 群発期は数年に1回~1年に数回現れる(慢性群発頭痛を除く)
  • 発作中は頭痛と同側に結膜充血、流涙、鼻閉(鼻づまり)、鼻漏(鼻汁分泌)、眼瞼浮腫、前頭部および顔面の発汗、前頭部および顔面の紅潮、耳閉感、縮瞳、眼瞼下垂などが認められる。
  • 群発期の非頭痛時間帯に飲酒すると頭痛が誘発されるが、寛解期(非群発期)には誘発されない。
  • 発作中、落ち着きのない、あるいは興奮した様子となる。
診断上参考となる臨床所見
  • 男性に多い。
  • 女性は妊娠中、頭痛が出現しにくい。
  • 20~40歳の発症が多い。本邦の報告では平均発症年齢は男性29~40歳、女性24~40歳である。。
  • 群発期はアルコール飲料、ニトログリセリン、ヒスタミンで発作が誘発される。
  • 大酒家、ヘビースモーカーが多い。

治療[編集]

群発頭痛の治療は予防薬の意義が極めて高い。これは予防薬が効果的であること、頭痛が連日続くため抑制薬のトリプタン連用となり有効性が低下するためである。また群発頭痛は治療薬のプラセボ効果が出にくいとされている。

予防治療[編集]

一般的な予防薬としてはベラパミル(240~360mg)[3]炭酸リチウム(600~900mg)、バルプロ酸(400~600mg)、トピラマート(75mg)、ステロイド(PSL20mgから漸減)、ボツリヌス毒素などが知られている。

英国国立医療技術評価機構のガイドラインでは予防にベラパミルを勧告し、これが効果を示さなかった場合には専門家の支援を求めるべきだとしている[3]

抑制治療[編集]

抑制治療で用いられるのは経鼻トリプタン[3]酸素[3]エルゴタミンである。トリプタンは頭痛が出現したら早期投与しないと効果がないことが多く注射薬がよいとされる。点鼻薬の場合は前兆の時点で投与すると効果がある場合がある。酸素は純酸素7~8lで15分ほどで効果が出る場合が多い。酸素ボンベの常備が必要となる。

英国国立医療技術評価機構のガイドラインでは突発性の群発頭痛に対し、アセトアミノフェンNSAIDsオピオイドエルゴタミン・経口トリプタンは処方してはならないとしている[3]

研究段階にあるもの[編集]

ハーバード大学の研究者であるジョン・ハルパーン英語版が調査を行っている。2006年には、彼らは群発頭痛患者に聞き取りを行い、シロシビン使用者の19人中18人が、LSDの使用者の5人中4人が、寛解(収まっている)の期間を延長したなど、調査のための正当な理由となる可能性を得た[4]。2010年には、幻覚作用がないが化学構造が似ている2-Bromo-LSD英語版(BOL-148としても知られる)を用いた症例研究を行った[5]。研究では、例えばある患者では30年にわたり1週間に40の発作があったが、週に0回にまで減った[6]。彼の取り組みは、科学雑誌や「ナショナルジオグラフィックチャンネル」でも言及されたが、大手の製薬会社からの関心を得ず、entheogen社を立ち上げ、2-Bromo-LSDが承認されるための研究資金をつのっている[7]

脚注[編集]

  1. ^ 日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会.国際頭痛分類第3版beta版.東京:医学書院;2014.p.28-35.
  2. ^ a b 慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会編集.慢性頭痛の診療ガイドライン2013.東京:医学書院;2013.p. 215-238.
  3. ^ a b c d e 英国国立医療技術評価機構 2012.
  4. ^ Sewell, R. A.; Halpern, J. H.; Pope, H. G. (2006). “Response of cluster headache to psilocybin and LSD”. Neurology 66 (12): 1920–1922. doi:10.1212/01.wnl.0000219761.05466.43. PMID 16801660. 
  5. ^ Karst, M.; Halpern, J. H.; Bernateck, M.; Passie, T. (2010). “The non-hallucinogen 2-bromo-lysergic acid diethylamide as preventative treatment for cluster headache: An open, non-randomized case series”. Cephalalgia 30 (9): 1140–1144. doi:10.1177/0333102410363490. PMID 20713566. 
  6. ^ “Harvard’s headache cure: LSD?”. Boston Business Journal. (2010年12月5日). http://www.bizjournals.com/boston/news/2010/11/05/harvards-headache-cure-lsd.html 2016年4月10日閲覧。 
  7. ^ entheogen

参考文献[編集]