絨毛採取

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絨毛採取(じゅうもうさいしゅ、Chorionic villus sampling:CVS)とは、出生前検査の一つ。

歴史[編集]

1968年のMohrによる報告が最初である.このときは細い内視鏡が妊娠子宮に挿入され,直視下に絨毛が採取された.その後,超音波診断装置の普及により比較的安全かつ確実に絨毛が採取可能となり,80-90年代には胎児由来の組織を得る方法として世界的に広く普及するようになった.

国内でもほぼ同時期に行われるようになった.その後,遺伝子解析のPCR法の普及や流産リスクの高さなどがあいまって,国内ではその後あまり施行されなくなった時期もあったが,この数年で施行数がまた増加してきている.

絨毛組織の特徴[編集]

受精卵は細胞分裂を繰り返しながら桑実胚から胚盤胞となって子宮内膜に着床する.その後,着床胚を包むように形成される栄養膜は増殖して絨毛膜となり,妊娠8週くらいまでは胎嚢全面を覆う.妊娠9週以降では,絨毛膜の一部は厚みをまして肥厚絨毛膜(絨毛膜有毛部)となり,その後胎盤へと発育していく一方で,それ以外の部分は絨毛膜無毛部となり次第に絨毛膜が消失していく.CVSではこの絨毛膜有毛部から絨毛を採取することになる.

施行時期[編集]

妊娠10-12週くらいが一般的である.それより早い時期では流産を起こしやすく,また胎児の四肢切断の合併症を起こすことがあるともいわれる.また妊娠13週以降では絨毛膜有毛部が次第に限局して胎盤を形成するようになり,一般に穿刺が難しくなっていく.

もちろん妊娠13週以降にCVSを行うのは技術的に難しくなるだけで,採取された検体からの検査には差し支えない.胎盤形成後のこの時期での採取を,とくに胎盤生検placental biopsy or placetoncentesisという.Holzgreveら(1)は,羊水過少で羊水穿刺困難例に対して経腹的に胎盤生検を行い,胎盤絨毛によって染色体検査を行う方法を報告している [1]

方法[編集]

妊娠10~12週の妊娠初期に絨毛組織の一部を採取する。アプローチ方法は以下の2通りある.

  • 経腹的採取法

手技の基本は超音波ガイド下臍帯穿刺(purcutaneous umbilical blood sampling; PUBS)と同じであり,プローブに穿刺用アタッチメントを装着し,モニター上のガイドラインにそって穿刺する.絨毛組織を吸引採取するためにはPTC針は18Gとやや太めのものを使用する.注射器を装着し絨毛組織を吸引採取する.一度の穿刺で検査に充分量の絨毛が採取できなかったときは,もう一度同じ操作を繰り返す.妊娠の全期間にわたって施行可能なことが経腟法と比べた利点である.

  • 経膣的採取法

助手に超音波プローブを母体腹壁に把持してもらい,超音波ガイド下に経腟的絨毛生検カニューレを進め,吸引しながら2,3度往復することにより絨毛を採取する.絨毛生検鉗子を使うときは,超音波ガイド下にゾンデと同じイメージで子宮内に生検鉗子を挿入し,絨毛膜有毛部から絨毛を生検する.経腟法では検査後の出血がしばしば認められる.

ますので,事前にそのことを妊婦にきちんと説明しておくことがたいせつです報告がありますが,絨毛の付着位置によっていずれかの安全と思われるアプローチを選択することがもっともリスクを減らすと考えられます.

合併症[編集]

検査施行後の流産率は一般に1%程度とされる.流産率は経腟法の方が若干高いという報告がある.

  • 出血
  • 子宮内感染
  • 四肢末端奇形(LRD):妊娠10週未満に施行すると生じる可能性が高くなるといわれている。

脚注[編集]