糖衣構文

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糖衣構文(とういこうぶん)は、プログラミング言語において、読み書きのしやすさのために導入される構文であり、既に定義されている他の構文の(人間にとってより理解しやすい)書換えとして定義されるもののことである。構文糖(こうぶんとう)あるいは構文糖衣ともいう。

英語の syntactic sugar (シンタクティックシュガー、syntax sugar (シンタックスシュガー)とも)の訳語で、語源は英単語の sweet が、「甘い」の他に「扱いが楽」という意味をもつことから。

解説[編集]

定義上、糖衣構文はプログラムの意味としては同じものを、よりわかりやすい構文で書けるものを指す。ジャーゴンファイルの syntactic sugar の項では、アラン・パリスの "Syntactic sugar causes cancer of the semicolon."(構文糖はセミコロンのガンをひきおこす)という言を引用している。これは同ファイルの syntactic salt の項にある記述 "it tends to raise hackers' blood pressures"(高血圧をひきおこす)と対になっている[1][2]

糖衣構文は、プログラマの意図をコード中に反映させて残すための手段としても活用できることが知られている。

ある目的のためによく用いられる記法が二つ以上ある場合、プログラマはそのどちらかを選ぶことになる。 このとき(初心者でない)プログラマは統一性のある個人的/職場的/言語的なルールに従って記法を選択するのが普通であるため、 どの記法が選択されたかによって、当時コードを記述したプログラマの意図を推し量ることができるのである。

Perl等のスクリプト言語では糖衣構文が数多く言語仕様に定義されているため、こういった活用が成されている状況が多い。[要出典]

糖衣構文の例[編集]

Cでの配列へのアクセス[編集]

C言語では、配列は連続するメモリ領域に要素を並べたものとして定義され、配列の要素へのアクセスは配列の先頭要素のメモリアドレスに要素のインデックスをオフセットとして加えたアドレスの値を参照することで行われる。しかしメモリアドレスを指定するポインタを直接操作することは誤りの原因となることが多い。そこで本来ならば *(a + i) と書くところを、a[i] とも書けるようになっている。この糖衣構文はポインタ演算がより面倒になる多次元配列のアクセスを行うときに特に役に立つ。またこの糖衣構文は、括弧の手前に書かれるものが配列の先頭アドレスで括弧の中がインデックスであるというように、コードの意味をより明確で分かりやすくする。これをi[a]と記述しても構文上エラーにはならず、同じアドレスを差すため動作上も問題がない。しかし、他者(人間)がコードを読む際には誤解を招くだろう。

ポインタを介したメンバ選択演算子[編集]

C言語では、構造体へのポインタと矢印演算子によりメンバを参照できる。

p->member

ここで、pは構造体へのポインタ、memberは構造体の要素名である。

ポインタをデリファレンスする * 演算子と、構造体の値に対しメンバを選択する. 演算子を組み合わせて、次のように等価な式を書くことができる。

(*p).member

C++では演算子をオーバーロードできるため、これらが等価ではないケースもある。

中置記法[編集]

Haskellのような関数型言語では、中置記法a+bは、関数を適用する文(+) a bに対する糖衣構文である。

配列の宣言と初期化[要出典][編集]

Javaの配列の宣言と初期化の記法

String[] strs = new String[3];
strs[0] = "a";
strs[1] = "b";
strs[2] = "c";

String[] strs = { "a", "b", "c" };

と書ける[3]String以外のオブジェクトでも可能である。 後者は「あらかじめ決まったいくつかの文字列から文字列の配列を作りたい」という記述者の思考を、より良く反映している。

Perlにおける条件文[編集]

Perlの条件文の記法

if ($boolean) {
  print "Syntax sugar\n";
}

print "Syntax sugar\n" if $boolean;

と書ける。

Perlの開発者ラリー・ウォールによればこれは(BASIC風に記述できるという意味で)糖衣構文であるが、FORTRANPascalやCやJavaに慣れ親しんだプログラマの中には、これを読みにくいと感じる者も多い。それは、「読み書きのしやすさ」が主観に基づくためである。

参考文献[編集]

  1. ^ http://www.catb.org/jargon/html/S/syntactic-sugar.html
  2. ^ http://www.catb.org/jargon/html/S/syntactic-salt.html
  3. ^ Java Language Specification Third Edition, 10.6