立ち幅跳び
立ち幅跳び(たちはばとび)は、跳躍競技に属する陸上競技。また、全身の瞬発力を評価する体力測定項目の一つ[1]。
陸上競技
[編集]踏切り板に両足を揃えた直立姿勢から助走をせずに、身体の屈伸運動のみで反動をつけて[2]遠くへ跳ぶ能力を競う種目である[3][4]。走幅跳同様、競技は普通記録がしやすく、また競技者にとっても安全であるため砂場で行われる。指定の位置から跳躍し、着地の際できた足跡の最も跳躍した位置側の部分までの距離を測る[2]。また、足跡よりも後ろに手や尻を突いてしまった場合、その地点までの距離を記録とする[2]。基本的な跳躍能力はもちろん反動を付ける際の柔軟性、着地の際の平衡感覚など身体全体を上手く使う巧緻性が求められる[2]。
かつてはオリンピック種目だったが[5]、陸上競技として競われることは現在ではほとんどない[6]。
公式世界記録
[編集]2015年2月23日にNFLスカウティングコンバインでバイロン・ジョーンズが記録した3m73cmが世界記録である[6]。
オリンピック種目
[編集]立ち幅跳びは1900年のパリオリンピックから1912年のストックホルムオリンピックまでの4大会ではオリンピックの正式種目だった。アメリカのレイ・ユーリーは1900年のパリオリンピックから1908年のロンドンオリンピックまで3連覇(1906年のアテネ中間大会も含めると4連覇)という記録も残している。またユーリーが1904年のセントルイスオリンピックで記録した347cmは当時の世界記録だった[7]。
類似競技
[編集]- トーキック - ワールド・エスキモー・インディアン・オリンピックの競技の1つ。
体力測定
[編集]意義
[編集]全身の瞬発力、特に脚(下肢)の瞬発力の測定に用いられる[1][8]。反面走り幅跳びと違い特有な技術はほとんど必要としないため、純粋な跳躍能力を測る種目として小・中学校の体力測定などに主に用いられる[3]。
測定法
[編集]着地の衝撃を和らげるため砂場あるいは体操用マットを利用し、踏切線には白線引きかガムテープを用いる[8]。反動動作や上肢の振り込み動作は自由に行ってよい[8]。ただし、一回の踏切動作で前方に跳ぶ必要があり、二段ジャンプになることは避ける[8]。
踏切地点と着地点の直線距離を巻き尺で計測するが、踏切地点は踏切時の両つま先を結んだ線分の中点、着地点は踏切地点からの最短距離(踏切線に着地した身体の中で一番近いところ)である[8]。尻餅をつくなど意図しない失敗試技であるときは1回まで再計測を認めるが、複数回計測しても同じ傾向を示すときはその結果が記録となる[8]。
出典
[編集]- ^ a b “体力測定の実践”. 埼玉県スポーツ推進委員協議会. 2025年4月10日閲覧。
- ^ a b c d 赤松喜久. “立ち幅跳びの方法・ポイント”. 大阪教育大. 2019年12月19日閲覧.
- ^ a b 大辞林 第三版. “立ち幅跳び・立幅跳び”. コトバンク. 2019年12月19日閲覧.
- ^ デジタル大辞泉. “立(ち)幅跳び”. コトバンク. 2019年12月19日閲覧.
- ^ 河尻定 (23 October 2015). “60m走やハト撃ち、都市計画… 驚きの五輪競技”. NIKKEI STYLE. 2019年12月19日閲覧.
- ^ a b Byron Jones obliterates the Combine broad jump record PFT NBCsport 2019年12月19日閲覧
- ^ Athletics at the 1904 St. Louis Summer Games:Men's Standing Long Jump sports-references.com 2019年12月19日閲覧
- ^ a b c d e f “立幅跳 (無酸素性パワー)”. 日本スポーツ振興センター. 2025年9月19日閲覧。