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狂歌百物語

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『狂歌百物語』より「豆腐小僧

狂歌百物語』(きょうかひゃくものがたり)は、1853年嘉永6年)に刊行された日本妖怪絵本。

題名のとおり狂歌絵本仕立てであり、編纂は天明老人(狂歌号:尽語老人/尽語老内匠じんごろうたくみ、本名:本田甚五郎[注 1])、挿絵は竜閑斎(竜斎閑人正澄)による[2][3]

概要

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狂歌は天明時代に隆盛を極め、狂歌に彩色版の挿絵を添えた狂歌絵本が多数刊行された。妖怪もまた狂歌の題材として楽しまれており、狂歌師として名高い大田南畝を中心として、百物語怪談会の手法を真似、計百種類の妖怪について狂歌を詠むという催しが行われていたが、それを再び行うという意図のもとに狂歌を募集し、その中でも優秀な歌のみ編纂したものが本書である[4][5]

全96体の妖怪をテーマとした狂歌を、各妖怪ごとに分類・収集し、それぞれに彩色版の妖怪画を添えて収録しており、妖怪図鑑というべき性格も帯びている[6]。本書における妖怪は、狂歌の題材として滑稽な存在、諧謔な存在として扱われており、かつて怪談の主人公として恐怖・畏怖の対象であった妖怪が、江戸中期にかけては娯楽的なキャラクターへと変化していったことが見て取れる[3][5]

小泉八雲も本書を所有しており、この中から気に入った狂歌48首を英訳して『ゴブリン・ポエトリー』の題で発表している。この草稿には後に八雲自身による妖怪画を添え、『妖魔詩話』の題で複製出版された[3]

脚注

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注釈

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  1. ^ “当人の本名は本田甚五郎、傳説で名高い彫刻の名人と同名であるところから、狂歌號を盡語樓內匠と呼んでゐた”との考察がある[1]

出典

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  1. ^ 小島烏水「廣重晚年の狂歌繪本(上)」『浮世絵』第9号、1916年2月、1頁、NDLJP:1499140 
  2. ^ 森末義彰他編 編『国書総目録』 第2巻、岩波書店、1964年、498頁。 NCID BN00399062https://books.google.com/books?id=L6bSAAAAMAAJ&q=狂歌百物語 
  3. ^ a b c 京極夏彦多田克己編著『妖怪画本 狂歌百物語国書刊行会、2008年、272–274頁。ISBN 978-4-3360-5055-7https://books.google.com/books?id=hagqAQAAIAAJ&q=狂歌百物語 
  4. ^ 兵庫県立歴史博物館京都国際マンガミュージアム 編『図説 妖怪画の系譜河出書房新社〈ふくろうの本〉、2009年、62頁。ISBN 978-4-309-76125-1https://books.google.com/books?id=3KEpAQAAIAAJ&q=狂歌百物語 
  5. ^ a b 湯本豪一江戸の妖怪絵巻光文社光文社新書〉、2003年、79–83頁。ISBN 978-4-334-03204-3https://books.google.com/books?id=zqQqAQAAIAAJ&q=狂歌百物語 
  6. ^ 京極 & 多田 2008, pp. 5–15.

参考文献

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