犯罪地図

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

犯罪地図は、主に法執行機関の分析員により作成される、犯罪傾向を示した地図である。 コンプスタットによる犯罪分析での活用が知られており、地理情報システム(以下、GIS)を用いて作成することで特定の傾向に沿った犯罪が発生するホットスポットの特定を容易にしている。

概要[編集]

犯罪調査員はGISを使用して地図上の犯罪発生地域に、質屋学校の位置、国勢調査のような人口統計を重ねあわせるなどにより、犯罪発生の根本的な原因を理解し法執行機関の問題に対処するための戦略を考案している。 また、GISは緊急時に派遣する警察官の割り当てなど、法執行機関の運営に活用されている。

1979年に発明された日常活動理論[1]や1980年代に考案された環境犯罪学[2]1986年に発表された合理的選択理論[3]など犯罪行動に地理的要因が影響していることが示されている。 空間的なデータ分析は犯罪頻発地域の特定のみならず、犯罪発生要因の特定やその防止策を理解するのに役立っている。

コンピュータによる犯罪地図の研究は、1986年に国立司法研究所がシカゴ市警察による自警団への犯罪地図作成に出資したことに端を発する。 この計画の成功が、国立司法研究所による5都市での麻薬市場分析捜査(略称D-MAP)の端緒となり、犯罪地図がニューヨーク市警察のコンプスタットのような国内外の法執行機関に広まる要因となった。

応用事例[編集]

犯罪調査員は、犯罪予測や地理プロファイリングなどの戦術構想や上層部への人的・金銭的資源分配についての提言作成などに活用しており、所属機関により正規警察官または民間人として働いている。

収監者や累犯者の傾向を把握し、割れ窓理論[4]のような犯罪防止策や防犯環境設計など政策の有効性や研究を測る基準として使用されることも多い。

脚注[編集]

  1. ^ Cohen, Lawrence E.; Felson, Marcus (1979). “Social change and crime rate trends: A routine activity approach”. American Sociological Review (American Sociological Association) 44 (4): 588–607. doi:10.2307/2094589. JSTOR 2094589. 
  2. ^ Brantingham, Paul J.; Brantingham, Patricia L., eds (1981). Environmental Criminology. Waveland Press. ISBN 0-88133-539-8. 
  3. ^ Cornish, Derek; Clarke, Ronald V. (1986). The Reasoning Criminal. Springer-Verlag. ISBN 3-540-96272-7. 
  4. ^ Kelling, George; Coles, Catherine (1997) [1996]. Fixing Broken Windows: Restoring Order and Reducing Crime in Our Communities. New York: Simon & Schuster. ISBN 0-684-83738-2.