環境犯罪学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

環境犯罪学(かんきょうはんざいがく)は、犯罪の「原因」ではなく、犯罪を取り巻く具体的な「環境」ならびに犯罪の分布及びパターンに着目することにより[1]、客観的な犯罪の理解の下、効果的な犯罪の予防を目的とする学問。講学上、合理的選択理論日常活動理論犯罪機会論などの統合理論であると位置づけられる。具体的な予防策との親和性が高い。環境犯罪学に基づく対策として、例えば、玄関の鍵の数を増やす、公園の植込みの高さを低くする、犯罪多発地帯に有能な監視者を置く、などが挙げられる。

19世紀ヨーロッパのゲリーやアドルフ・ケトレー、1930年代のシカゴ学派の研究成果に源流があるとされる[2]。本格的な理論構築は1970年代のC・R・ジェフェリーやオスカー・ニューマンに始まる[3]。用語はブランティンハム夫妻が1981年の著書で提唱した。

参考文献[編集]

  1. ^ Brantingham, P. J. & Brantingham, P. L.. Environmental Criminology (Reissued edition ed.). IL: Waveland Press. ISBN 0-88133-539-8 
  2. ^ 守山正「環境犯罪学とは何か―犯罪環境を考える―」『季刊社会安全』第33号、社会安全研究財団、1999年6月、pp.10-18。 
  3. ^ 谷岡一郎『こうすれば犯罪は防げる―環境犯罪学入門』新潮社、東京、2004年、5頁。ISBN 4-10-603536-7 

関連項目[編集]