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となる。ジュール熱の量は、抵抗 <math>R</math> と電流 <math>I</math> の二乗の積に[[比例]]する。これは[[イギリス]]の[[物理学者]]、[[ジェームズ・プレスコット・ジュール]]が[[実験]]によって[[発見]]した[[物理法則]]で、'''[[ジュールの法則]]'''(ジュールのほうそく、{{lang-en-short|Joule's law}})と呼ばれる。 |
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上の式は[[オームの法則]]を用いることによって次式のように変形することができる。 |
上の式は[[オームの法則]]を用いることによって次式のように変形することができる。 |
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==ジュール熱の利用== |
==ジュール熱の利用== |
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ジュール熱の大きさは、抵抗に印加する電力によって変化させることができる。 |
ジュール熱の大きさは、抵抗に[[印加]]する[[電力]]によって変化させることができる。 |
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制御が容易であるため、古くから暖房や調理器具などに利用されている。 |
[[制御]]が容易であるため、古くから[[暖房]]や[[調理器具]]などに利用されている。 |
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* [[調理]]器 - [[炊飯器]]、[[焜炉#電気コンロ(電熱器)|電気こんろ]]、[[電気ポット]]、[[トースター]] |
* [[調理]]器 - [[炊飯器]]、[[焜炉#電気コンロ(電熱器)|電気こんろ]]、[[電気ポット]]、[[トースター]] |
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* [[暖房]]器具 - 電気[[あんか]]、電気[[こたつ]]、[[電気ストーブ]]、[[電気毛布]] |
* [[暖房]]器具 - 電気[[あんか]]、電気[[こたつ]]、[[電気ストーブ]]、[[電気毛布]] |
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* [[乾燥機]] - [[衣類乾燥機]]、電気[[食器乾燥機]]、電気[[布団乾燥機]]、[[ヘアドライヤー]] |
* [[乾燥機]] - [[衣類乾燥機]]、電気[[食器乾燥機]]、電気[[布団乾燥機]]、[[ヘアドライヤー]] |
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* その他 - [[アイロン]]、[[はんだごて]]、[[電力ヒューズ|ヒューズ]]、電気温水器 |
* その他 - [[アイロン]]、[[はんだごて]]、[[電力ヒューズ|ヒューズ]]、[[給湯器|電気温水器]] |
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== ジュール熱による損失 == |
== ジュール熱による損失 == |
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ジュール熱を利用する電気器具があるが、一般的な電気製品ではジュール熱はあまり歓迎されない。[[電動機]]や[[発電機]]、[[変圧器]]といった、おおむね大きな電力を扱う装置やこれらを繋ぐ配線類も[[超伝導]]技術でも使わない限り導体中の抵抗によって無用なジュール熱が生じてしまう。また、[[照明器具]]を含む家庭電気製品や事務用の電気を扱う機器類のすべてもまた、無用なジュール熱によってエネルギーを無駄に消費してしまう。こうした機器においてジュール熱は'''損失'''として見なされる。配線はできるだけ短くしながら流れる電流に応じてワイヤの太さを適切なものを選ぶことでジュール熱の発生は最小限に抑えることができる<ref>大電流が流れる電線では、発生した熱が過大であると被覆や導体が溶けて事故の元になる。このため、電線の仕様には[[許容電流]]が定められている。</ref> |
ジュール熱を利用する電気器具があるが、一般的な電気製品ではジュール熱はあまり歓迎されない。[[電動機]]や[[発電機]]、[[変圧器]]といった、おおむね大きな電力を扱う装置やこれらを繋ぐ配線類も[[超伝導]]技術でも使わない限り[[導体]]中の抵抗によって無用なジュール熱が生じてしまう。また、[[照明器具]]を含む[[家庭用電気機械器具|家庭電気製品]]や[[事務]]用の電気を扱う機器類のすべてもまた、無用なジュール熱によって[[エネルギー]]を無駄に[[消費]]してしまう。こうした機器においてジュール熱は'''損失'''として見なされる。配線はできるだけ短くしながら流れる電流に応じて[[ワイヤ]]の太さを適切なものを選ぶことでジュール熱の発生は最小限に抑えることができる<ref>大電流が流れる電線では、発生した熱が過大であると被覆や導体が溶けて事故の元になる。このため、電線の仕様には[[許容電流]]が定められている。</ref> |
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。また、生じた熱も適切に放熱することが求められる。 |
。また、生じた熱も適切に放熱することが求められる。 |
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=== ジュール損 === |
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変圧器のような電気コイルを用いた電気部品では、コイルを構成する銅線にジュール熱が生じるだけでなく、コアと呼ばれる鉄芯などにもジュール熱が生じてしまい、エネルギーの損失となる。 |
変圧器のような電気コイルを用いた電気部品では、コイルを構成する銅線にジュール熱が生じるだけでなく、[[コア]]と呼ばれる鉄芯などにもジュール熱が生じてしまい、エネルギーの損失となる。 |
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変圧器やコア付きコイルなどでは、鉄などをコアに用いて磁束の集中と部品サイズの縮小を図っているが、交流電流が流れることでコア内の磁束が生成 |
変圧器やコア付きコイルなどでは、[[鉄]]などをコアに用いて[[磁束]]の集中と[[部品]]サイズの縮小を図っているが、[[交流]]電流が流れることでコア内の磁束が生成と消滅を繰り返し、この過程でコア内に[[渦電流]]が生じてしまう。この渦電流が流れることでジュール熱によるエネルギーの損失が生じ、この損失が「ジュール損」や「渦電流損」と呼ばれる。低[[周波数]]での交流電流ではジュール損はそれほど大きくないため、絶縁された薄い[[ケイ素鋼]][[鋼板|板]]を磁束に沿って多数積層したコアを用いることで、コア内に生じる渦電流を分断し最小化することでジュール損を少なくする手法が一般的に採用されている。高周波数の交流電流ではジュール損が顕著となるため、[[電気抵抗率|比抵抗]]が高いソフト・[[フェライト (磁性材料)|フェライト]]をコアに用いることで、コア内に渦電流が生じないようにされる事が一般的である<ref>谷腰欣司著、『フェライトの本』、日刊工業新聞社、2011年2月25日初版1刷発行、ISBN 9784526066238</ref>。 |
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== 出典・脚注 == |
== 出典・脚注 == |
2012年12月6日 (木) 06:24時点における版
ジュール熱(ジュールねつ、英: Joule heat)は、電流の働きによって生じる熱。
ジュールの法則
電気抵抗 [Ω] の物体に、 [A] の電流を 秒間流したときに発生する熱量、すなわちジュール熱の量 [J] は、
となる。ジュール熱の量は、抵抗 と電流 の二乗の積に比例する。これはイギリスの物理学者、ジェームズ・プレスコット・ジュールが実験によって発見した物理法則で、ジュールの法則(ジュールのほうそく、英: Joule's law)と呼ばれる。
上の式はオームの法則を用いることによって次式のように変形することができる。
(V:電圧)
ジュール熱の利用
ジュール熱の大きさは、抵抗に印加する電力によって変化させることができる。 制御が容易であるため、古くから暖房や調理器具などに利用されている。
- 調理器 - 炊飯器、電気こんろ、電気ポット、トースター
- 暖房器具 - 電気あんか、電気こたつ、電気ストーブ、電気毛布
- 乾燥機 - 衣類乾燥機、電気食器乾燥機、電気布団乾燥機、ヘアドライヤー
- その他 - アイロン、はんだごて、ヒューズ、電気温水器
ジュール熱による損失
ジュール熱を利用する電気器具があるが、一般的な電気製品ではジュール熱はあまり歓迎されない。電動機や発電機、変圧器といった、おおむね大きな電力を扱う装置やこれらを繋ぐ配線類も超伝導技術でも使わない限り導体中の抵抗によって無用なジュール熱が生じてしまう。また、照明器具を含む家庭電気製品や事務用の電気を扱う機器類のすべてもまた、無用なジュール熱によってエネルギーを無駄に消費してしまう。こうした機器においてジュール熱は損失として見なされる。配線はできるだけ短くしながら流れる電流に応じてワイヤの太さを適切なものを選ぶことでジュール熱の発生は最小限に抑えることができる[1] 。また、生じた熱も適切に放熱することが求められる。
ジュール損
変圧器のような電気コイルを用いた電気部品では、コイルを構成する銅線にジュール熱が生じるだけでなく、コアと呼ばれる鉄芯などにもジュール熱が生じてしまい、エネルギーの損失となる。 変圧器やコア付きコイルなどでは、鉄などをコアに用いて磁束の集中と部品サイズの縮小を図っているが、交流電流が流れることでコア内の磁束が生成と消滅を繰り返し、この過程でコア内に渦電流が生じてしまう。この渦電流が流れることでジュール熱によるエネルギーの損失が生じ、この損失が「ジュール損」や「渦電流損」と呼ばれる。低周波数での交流電流ではジュール損はそれほど大きくないため、絶縁された薄いケイ素鋼板を磁束に沿って多数積層したコアを用いることで、コア内に生じる渦電流を分断し最小化することでジュール損を少なくする手法が一般的に採用されている。高周波数の交流電流ではジュール損が顕著となるため、比抵抗が高いソフト・フェライトをコアに用いることで、コア内に渦電流が生じないようにされる事が一般的である[2]。
出典・脚注
- ^ 大電流が流れる電線では、発生した熱が過大であると被覆や導体が溶けて事故の元になる。このため、電線の仕様には許容電流が定められている。
- ^ 谷腰欣司著、『フェライトの本』、日刊工業新聞社、2011年2月25日初版1刷発行、ISBN 9784526066238
参考文献
- 加地正義『標準 電気基礎(上)』オーム社、1994年。