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{{生物分類表
''ブッソウゲ'''は[[アオイ科]][[フヨウ属]]の低木。もともと雑種植物であるために変異に富み、近年[[ハワイ]]での交雑種を含めて呼ばれるようになり[[州花]]にもなっている。
| 名称 = ブッソウゲ
| 色 = lightgreen
| 画像 = [[Image:Hibiskus rosa-sinensis - Kwiat.JPG|250px]]
| 界 = [[植物界]] [[:w:Plantae|Plantae]]
| 門 = [[被子植物門]] [[:w:Magnoliophyta|Magnoliophyta]]
| 綱 = [[双子葉植物綱]] [[:w:Magnoliopsida|Magnoliopsida]]
| 亜綱 = [[ビワモドキ亜綱]] [[:w:Dilleniidae|Dilleniidae]]
| 目 = [[アオイ目]] [[:w:Malvales|Malvales]]
| 科 = [[アオイ科]] [[:w:Malvaceae|Malvaceae]]
| 属 = [[フヨウ属]] ''[[:w:Hibiscus|Hibiscus]]''
| 種 = ブッソウゲ ''[[:w:Hibiscus rosa-sinensis|rosa-sinensis]]''
| 英名 = Chinese hibiscus
}}
'''ブッソウゲ'''は[[アオイ科]][[フヨウ属]]の低木。もともと雑種植物であるために変異に富み、近年[[ハワイ]]での交雑種を含めて呼ばれるようになり[[州花]]にもなっている。

'''ハイビスカス'''とも言うが、英語 Hibiscus はフヨウ属の英名であることから、この名前は類似のフヨウ属植物を漠然と指すこともあって、複雑なアオイ科の園芸種群の総称ともなっている。
'''ハイビスカス'''とも言うが、英語 Hibiscus はフヨウ属の英名であることから、この名前は類似のフヨウ属植物を漠然と指すこともあって、複雑なアオイ科の園芸種群の総称ともなっている。
沖縄では'''赤花'''ともいう。


==特徴==
==特徴==
[[画像:玉取崎ハイビスカス石垣島P1222667.jpg|thumbnail|280px|[[沖縄]]では[[雑草]]のように当たり前に見られる(ハイビスカス[[石垣島]]玉取崎)]]
ブッソウゲ (''Hibiscus rosa-sinensis'', rose of China, Chinese hibiscus) は'''仏桑花'''、'''扶桑花'''、'''朱槿'''、'''桑槿'''とも書く。

極めて変異に富み、8000以上の園芸品種や雑種が知られているが、一般的には高さ2-5mに達する熱帯性低木で、全株無毛ときに有毛、葉は広卵形から狭卵形あるいは楕円形で先端は尖る。
花は戸外では夏から秋に咲くが、[[温室]]では温度が高ければ周年開花する。花は小さいものでは直径5cm、大きいものでは20cmに及び、らっぱ状または杯状に開き、花柱は突出する。花が垂れるもの、横向きのもの、上向きのものなど変化に富む。花色は白、桃、紅、黄、橙黄色など様々である。通常、不稔性で結実しないことが多い。
5裂の[[萼]]の外側を、色のついた苞葉が取り巻いているので、萼が2重になっているように見える。よく目立つ大きな[[花]]は[[花弁]]が5枚で、筒状に合体した[[雄蕊]]の先にソラマメのような形の葯がついていて、[[雌蕊]]は5裂する。[[果実]]は5室の豆果で、多数の[[種子]]が入っている。
5裂の[[萼]]の外側を、色のついた苞葉が取り巻いているので、萼が2重になっているように見える。よく目立つ大きな[[花]]は[[花弁]]が5枚で、筒状に合体した[[雄蕊]]の先にソラマメのような形の葯がついていて、[[雌蕊]]は5裂する。[[果実]]は5室の豆果で、多数の[[種子]]が入っている。


日本では南部を除き戸外で越冬できないため、鉢植えとして冬は温室で育てる。鉢植えの土は砂、ピートなどを多く混ぜた軽いものを用い、ときに液肥をあたえる。繁殖は通常、挿木で行い、梅雨期に一年枝を砂にさし、発根後土に植える。大輪種は在来種に接木を行う必要がある。[[沖縄]]では庭木、生垣とするが、通常、鉢植えで観賞する。中国では赤花種の花を食用染料としてシソなどと同様に用い、また熱帯アジアでは靴をみがくのに利用するといわれ、shoe flowerの別名がある。沖縄南部では後生花と呼ばれ、死人の後生の幸福を願って墓地に植栽する習慣がある。
==主要な種==

===ブッソウゲ===
ブッソウゲは原産地が不明であるが、[[中国]]南部原産の説や[[インド洋]]諸島で発生した雑種植物であるとの説もある。本土への渡来は、[[慶長]]年間([[1610年]]頃)に[[薩摩藩]]主[[島津家久]]が[[琉球]]産ブッソウゲを[[徳川家康]]に献じたのが最初の記録として残っているという。
[[画像:玉取崎ハイビスカス石垣島P1222667.jpg|thumbnail|280px|[[沖縄]]では[[雑草]]のように当たり前に見られる(ハイビスカス[[石垣島]]玉取崎)]]
ブッソウゲ (''Hibiscus rosa-sinensis'', rose of China, Chinese hibiscus) は'''仏桑花'''、'''扶桑花'''、'''朱槿'''、'''桑槿'''とも書く。極めて変異に富み、8000以上の園芸品種や雑種が知られているが、一般的には高さ2-5mに達する熱帯性低木で、全株無毛ときに有毛、葉は広卵形から狭卵形あるいは楕円形で先端は尖る。花は戸外では夏から秋に咲くが、[[温室]]では温度が高ければ周年開花する。花は小さいものでは直径5cm、大きいものでは20cmに及び、らっぱ状または杯状に開き、花柱は突出する。花が垂れるもの、横向きのもの、上向きのものなど変化に富む。花色は白、桃、紅、黄、橙黄色など様々である。通常、不稔性で結実しないことが多い。日本では南部を除き戸外で越冬できないため、鉢植えとして冬は温室で育てる。鉢植えの土は砂、ピートなどを多く混ぜた軽いものを用い、ときに液肥をあたえる。繁殖は通常、挿木で行い、梅雨期に一年枝を砂にさし、発根後土に植える。大輪種は在来種に接木を行う必要がある。[[沖縄]]では庭木、生垣とするが、通常、鉢植えで観賞する。中国では赤花種の花を食用染料としてシソなどと同様に用い、また熱帯アジアでは靴をみがくのに利用するといわれ、shoe flowerの別名がある。沖縄南部では後生花と呼ばれ、死人の後生の幸福を願って墓地に植栽する習慣がある。ブッソウゲは原産地が不明であるが、[[中国]]南部原産の説や[[インド洋]]諸島で発生した雑種植物であるとの説もある。本土への渡来は、[[慶長]]年間([[1610年]]頃)に[[薩摩藩]]主[[島津家久]]が[[琉球]]産ブッソウゲを[[徳川家康]]に献じたのが最初の記録として残っているという。


==近縁種==
===フウリンブッソウゲ===
===フウリンブッソウゲ===
フウリンブッソウゲ (''H. schizopetalus'', fringed hibiscus, cut-petaled hibiscus, coral hibiscus) は[[ザンジバル島]]あるいは[[ケニア]][[モンバサ]]付近原産の高さ1-3mの非耐寒性常緑低木であるブッソウゲの近縁種で、大型の5弁花には細く深い切れ込みがあり、後ろに反っている。花柄は風鈴のように下に長く伸び、先端付近に筒状の雄蕊がついている。葉は互生し葉柄の基部には托葉がある。ブッソウゲが通常一日花なのに対して何日も咲く。学名のスキゾペタルスとはラテン語で切れ込みのある花弁という意味である。別名のコーラル・ハイビスカスとは花色や形がサンゴに似ていることから付けられた。
フウリンブッソウゲ (''H. schizopetalus'', fringed hibiscus, cut-petaled hibiscus, coral hibiscus) は[[ザンジバル島]]あるいは[[ケニア]][[モンバサ]]付近原産の高さ1-3mの非耐寒性常緑低木であるブッソウゲの近縁種で、大型の5弁花には細く深い切れ込みがあり、後ろに反っている。花柄は風鈴のように下に長く伸び、先端付近に筒状の雄蕊がついている。葉は互生し葉柄の基部には托葉がある。ブッソウゲが通常一日花なのに対して何日も咲く。学名のスキゾペタルスとはラテン語で切れ込みのある花弁という意味である。別名のコーラル・ハイビスカスとは花色や形がサンゴに似ていることから付けられた。


===ローゼル===
[[Image:Bissap.jpg|thumb|200px|right|ハイビスカス・ティー(乾燥したローゼルの花)]]
ハイビスカスの一種である[[ローゼル]] (''H. sabdariffa'') は、花と果実(正確には肥大した[[萼]])が[[ハーブティー]](いわゆる'''ハイビスカスティー''')として利用されることがある。ティーは赤く酸味があり、[[ビタミンC]]が多い。
日本においては清涼飲料水の原料としても使用され、1990年「クレオパトラが飲んだ」とのコピーをつけてハイビスカスドリンクが発売されたことがある。

===その他===
ハイビスカスと総称されるフヨウ属には他にも草本で観賞用に栽植される種や交配種が多数ある。[[フヨウ属]]を参照されたい

==別属種==
===ヒメブッソウゲ===
===ヒメブッソウゲ===
ヒメブッソウゲ (''Malvaviscus arboreus'') は別属の植物で、中南米原産の観賞用低木である。花は小さく直径2-3cm、赤花で花弁は開かない。この属の植物は花柱の上部で10本に分岐し、果実は液果を結ぶなどの点がフヨウ属とは異なる。
ヒメブッソウゲ (''Malvaviscus arboreus'') は別属の植物で、中南米原産の観賞用低木である。花は小さく直径2-3cm、赤花で花弁は開かない。この属の植物は花柱の上部で10本に分岐し、果実は液果を結ぶなどの点がフヨウ属とは異なる。

ハイビスカスと総称されるフヨウ属には他にも草本で観賞用に栽植される種や交配種が多数ある。


<!---特定の商用サイトへのリンクのため、コメントアウト
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==食用==
[[Image:Bissap.jpg|thumb|200px|right|ハイビスカス・ティー(乾燥したローゼルの花)]]
ハイビスカスの一種である[[ローゼル]] (''H. sabdariffa'') は、花と果実(正確には肥大した[[萼]])が[[ハーブティー]]として利用されることがある。ティーは赤く酸味があり、[[ビタミンC]]が多い。

日本においては清涼飲料水の原料としても使用され、1990年「クレオパトラが飲んだ」とのコピーをつけてハイビスカスドリンクが発売されたことがある。


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==雑==

 沖縄では沖縄に多いハイビスカスのことを単純に赤花ともいう。

2009年8月1日 (土) 00:44時点における版

ブッソウゲ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: アオイ目 Malvales
: アオイ科 Malvaceae
: フヨウ属 Hibiscus
: ブッソウゲ rosa-sinensis
英名
Chinese hibiscus

ブッソウゲアオイ科フヨウ属の低木。もともと雑種植物であるために変異に富み、近年ハワイでの交雑種を含めて呼ばれるようになり州花にもなっている。

ハイビスカスとも言うが、英語 Hibiscus はフヨウ属の英名であることから、この名前は類似のフヨウ属植物を漠然と指すこともあって、複雑なアオイ科の園芸種群の総称ともなっている。 沖縄では赤花ともいう。

特徴

沖縄では雑草のように当たり前に見られる(ハイビスカス石垣島玉取崎)

ブッソウゲ (Hibiscus rosa-sinensis, rose of China, Chinese hibiscus) は仏桑花扶桑花朱槿桑槿とも書く。

極めて変異に富み、8000以上の園芸品種や雑種が知られているが、一般的には高さ2-5mに達する熱帯性低木で、全株無毛ときに有毛、葉は広卵形から狭卵形あるいは楕円形で先端は尖る。 花は戸外では夏から秋に咲くが、温室では温度が高ければ周年開花する。花は小さいものでは直径5cm、大きいものでは20cmに及び、らっぱ状または杯状に開き、花柱は突出する。花が垂れるもの、横向きのもの、上向きのものなど変化に富む。花色は白、桃、紅、黄、橙黄色など様々である。通常、不稔性で結実しないことが多い。 5裂のの外側を、色のついた苞葉が取り巻いているので、萼が2重になっているように見える。よく目立つ大きな花弁が5枚で、筒状に合体した雄蕊の先にソラマメのような形の葯がついていて、雌蕊は5裂する。果実は5室の豆果で、多数の種子が入っている。

日本では南部を除き戸外で越冬できないため、鉢植えとして冬は温室で育てる。鉢植えの土は砂、ピートなどを多く混ぜた軽いものを用い、ときに液肥をあたえる。繁殖は通常、挿木で行い、梅雨期に一年枝を砂にさし、発根後土に植える。大輪種は在来種に接木を行う必要がある。沖縄では庭木、生垣とするが、通常、鉢植えで観賞する。中国では赤花種の花を食用染料としてシソなどと同様に用い、また熱帯アジアでは靴をみがくのに利用するといわれ、shoe flowerの別名がある。沖縄南部では後生花と呼ばれ、死人の後生の幸福を願って墓地に植栽する習慣がある。

ブッソウゲは原産地が不明であるが、中国南部原産の説やインド洋諸島で発生した雑種植物であるとの説もある。本土への渡来は、慶長年間(1610年頃)に薩摩藩島津家久琉球産ブッソウゲを徳川家康に献じたのが最初の記録として残っているという。

近縁種

フウリンブッソウゲ

フウリンブッソウゲ (H. schizopetalus, fringed hibiscus, cut-petaled hibiscus, coral hibiscus) はザンジバル島あるいはケニアモンバサ付近原産の高さ1-3mの非耐寒性常緑低木であるブッソウゲの近縁種で、大型の5弁花には細く深い切れ込みがあり、後ろに反っている。花柄は風鈴のように下に長く伸び、先端付近に筒状の雄蕊がついている。葉は互生し葉柄の基部には托葉がある。ブッソウゲが通常一日花なのに対して何日も咲く。学名のスキゾペタルスとはラテン語で切れ込みのある花弁という意味である。別名のコーラル・ハイビスカスとは花色や形がサンゴに似ていることから付けられた。

ローゼル

ハイビスカス・ティー(乾燥したローゼルの花)

ハイビスカスの一種であるローゼル (H. sabdariffa) は、花と果実(正確には肥大した)がハーブティー(いわゆるハイビスカスティー)として利用されることがある。ティーは赤く酸味があり、ビタミンCが多い。 日本においては清涼飲料水の原料としても使用され、1990年「クレオパトラが飲んだ」とのコピーをつけてハイビスカスドリンクが発売されたことがある。

その他

ハイビスカスと総称されるフヨウ属には他にも草本で観賞用に栽植される種や交配種が多数ある。フヨウ属を参照されたい。

別属種

ヒメブッソウゲ

ヒメブッソウゲ (Malvaviscus arboreus) は別属の植物で、中南米原産の観賞用低木である。花は小さく直径2-3cm、赤花で花弁は開かない。この属の植物は花柱の上部で10本に分岐し、果実は液果を結ぶなどの点がフヨウ属とは異なる。