「パームボール」の版間の差分

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== 投げ方 ==
== 投げ方 ==
「パーム」とは「手のひら」の意味で、[[指]]を伸ばした状態で[[手]]の平と親指、小指で(或いは薬指も使用して)ボールを支えて、手の平で押し出すように投げる。その為、手の平の柔らかい人や指が短い人などに向いている。但し、投げる際の指の形が他の球種と大きく違う為、打者に判別されやすい球種である。また、パームボールの投げ方は大きな力が集中し、肘に負担がかかりやすい。
「パーム」とは「手のひら」の意味で、[[指]]を伸ばした状態で[[手]]の平と[[親指]][[小指]]で(或いは[[薬指]]も使用して)[[ボール]]を支えて、手の平で押し出すように投げる。その為、手の平の柔らかい人や[[]]が短い人などに向いている。但し、投げる際の指の形が他の球種と大きく違う為、[[打者]]に判別されやすい球種である。また、パームボールの投げ方は大きな力が集中し、[[]]に負担がかかりやすい。


== 変化 ==
== 変化 ==
球速は遅く回転も少なく、リリースの直後から落ち始め、縦に大きく落ちる。リリースの瞬間は手のひらを転がるため、高めに投げ出されるような錯覚を覚え、高めから落ちる事で[[カーブ (球種)#ドロップ|ドロップ]]のように打者は視線を上下に振られる。回転が少なく[[ナックルボール]]のように揺れて落ちるパームや横回転して[[スライダー (球種)|スライダー]]気味に変化するパームもある。不安定になりやすいリリースのために投げる度に違う変化を見せる事もある。また、ボール自体の勢いが弱いため、風や湿度といった天候状態により変化の度合いが大きく左右される。早い[[直球]]や変化球の後に、緩急を付ける役割で使用される事が多い。しかし、[[カーブ (球種)|カーブ]]や[[チェンジアップ]]と同様に球速が遅い為にタイミングを合わせられれば痛打されやすい球種である。
球速は遅く[[回転]]も少なく、[[リリース]]の直後から落ち始め、縦に大きく落ちる。リリースの瞬間は手のひらを転がるため、高めに投げ出されるような錯覚を覚え、高めから落ちる事で[[カーブ (球種)#ドロップ|ドロップ]]のように打者は視線を上下に振られる。回転が少なく[[ナックルボール]]のように揺れて落ちるパームや横回転して[[スライダー (球種)|スライダー]]気味に変化するパームもある。不安定になりやすいリリースのために投げる度に違う変化を見せる事もある。また、ボール自体の勢いが弱いため、[[]][[湿度]]といった[[天候]]状態により変化の度合いが大きく左右される。早い[[直球]]や変化球の後に、緩急を付ける役割で使用される事が多い。しかし、[[カーブ (球種)|カーブ]]や[[チェンジアップ]]と同様に球速が遅い為にタイミングを合わせられれば痛打されやすい球種である。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
考案者については幾つかの説があるものの、[[近藤貞雄]]が独特の3本指で投げた当時に言う「疑似チェンジアップ」であるという説が近藤亡き後も未だに高い。ちなみに、近藤のそれは右手中指の神経の損傷がきっかけで生まれたものである。その後、[[小山正明]]が[[1964年]]にパームボールを駆使して30勝を挙げ注目されるようになった。パームボールを決め球として使用する投手は多くないが、[[2009年]]現在で決め球として使用する投手としては[[帆足和幸]]が有名である。
考案者については幾つかの説があるものの、[[1948年]]に[[近藤貞雄]]が独特の3本指で投げた当時に言う「疑似チェンジアップ」であるという説が近藤亡き後も未だに高い。ちなみに、近藤のそれは右手中指の[[神経]]の損傷がきっかけで生まれたものである。その後、[[小山正明]]が[[1964年]]にパームボールを駆使して30勝を挙げ注目されるようになった。パームボールを決め球として使用する投手は多くないが、[[2009年]]現在で決め球として使用する投手としては[[帆足和幸]]が有名である。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==

2009年6月29日 (月) 05:58時点における版

パームボールの握りの例

パームボール (Palm ball)とは、野球投手が投げる変化球の一つ。単にパームとも呼ばれる。

投げ方

「パーム」とは「手のひら」の意味で、を伸ばした状態での平と親指小指で(或いは薬指も使用して)ボールを支えて、手の平で押し出すように投げる。その為、手の平の柔らかい人やが短い人などに向いている。但し、投げる際の指の形が他の球種と大きく違う為、打者に判別されやすい球種である。また、パームボールの投げ方は大きな力が集中し、に負担がかかりやすい。

変化

球速は遅く回転も少なく、リリースの直後から落ち始め、縦に大きく落ちる。リリースの瞬間は手のひらを転がるため、高めに投げ出されるような錯覚を覚え、高めから落ちる事でドロップのように打者は視線を上下に振られる。回転が少なくナックルボールのように揺れて落ちるパームや横回転してスライダー気味に変化するパームもある。不安定になりやすいリリースのために投げる度に違う変化を見せる事もある。また、ボール自体の勢いが弱いため、湿度といった天候状態により変化の度合いが大きく左右される。早い直球や変化球の後に、緩急を付ける役割で使用される事が多い。しかし、カーブチェンジアップと同様に球速が遅い為にタイミングを合わせられれば痛打されやすい球種である。

歴史

考案者については幾つかの説があるものの、1948年近藤貞雄が独特の3本指で投げた当時に言う「疑似チェンジアップ」であるという説が近藤亡き後も未だに高い。ちなみに、近藤のそれは右手中指の神経の損傷がきっかけで生まれたものである。その後、小山正明1964年にパームボールを駆使して30勝を挙げ注目されるようになった。パームボールを決め球として使用する投手は多くないが、2009年現在で決め球として使用する投手としては帆足和幸が有名である。

参考文献