海賊船ナプナコリ号の冒険

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海賊船ナプナコリ号の冒険』(かいぞくせんなぷなこりごうのぼうけん)は、涼元悠一Web小説作品。

作者のサイト『涼元悠一WebPage』で1999年2月1日より不定期連載開始。2003年8月3日までに全11回の掲載が続けられたが、以後は未完のまま休載中になっている。 現在、掲載サイトがリニューアル移転したため、閲覧することは出来ない。

あらすじ[編集]

次回作に対する目処が立たず、スランプに悩む小説家・涼元悠一。彼はある日、空を飛ぶ帆船静岡市[1]を帆走する夢を見る。 そのイメージを元に次回作に着想しようとする涼元だったが、帆船の夢は日に日に鮮明になっていき、やがて彼は船から下りてきた少女・琴に誘われ、海賊船ナプナコリ号に乗り込むことになる。 船上で乗組員たちに、自分は元々この船に乗っていたのだとまったく身に覚えがないことを教えられた涼元は、海賊たちと不思議な空の航海に乗り出すことになる。

登場人物[編集]

涼元悠一(すずもと ゆういち)
本作の主人公。21歳の時、ジュニア小説誌の新人賞をもらい小説家デビューするが、以後は受賞作を超えられないことや、最近発売された文庫本の売り上げが芳しくないことなどの要因によってスランプに陥っている。
琴から電話で地下街の喫茶店soenに呼び出された時にE達の襲撃に遭い、そのまま彼女に連れられ、なし崩し的にナプナコリ号に乗船することになる。
船上では行方知らずになった船員ウィスカーとして扱われるも、その自覚と記憶はない。
やや気が弱く、自分に自信が持てないところがあり、好意を寄せてくる琴に対しても積極的になれない。
趣味は酒を嗜むことで、スコッチ・ウイスキーなどをよく飲んでいる。そのせいか、自分が死ぬ時はアル中か交通事故だと思い込んでいる節がある。
琴(こと)
ナプナコリ号の乗組員である少女で、行方不明になったウィスカーとは恋人関係だった。『琴』という名前もウィスカーがハープから名づけたらしい。
涼元こそがウィスカーであると目星をつけ、船での記憶を持たない彼をナプナコリ号へと誘い、ウィスカーとして扱う。
明るく人懐っこい反面、気が強く小悪魔的なところがある。
船上では長い髪を頭のうしろで編んで垂らし、男物の上着に乗馬用のようなぶかぶかのズボンと茶革のブーツという出で立ちをしているが、涼元との初対面時には、オールドスタイルの白いワンピースに、大きすぎるレースのリボンで長い髪をいっぺんに束ねた外見をしており、似合っているが時代錯誤な感じは否めないと評された。
どちらの服装の時にも、腰には腕の長さほどもある三日月刀(カットラス)をぶら下げており、戦闘時にはそれを用いる。
櫂(かい)
ナプナコリ号の乗組員。飄々とした性格の男で、シニカルな面があり、どこか他人とは一線を引いたような雰囲気をまとっている。
記憶喪失になり、様々な世界を渡り歩いていた時にナプナコリ号に拾われる。その出自ゆえ海賊とEのどちらからも煙たがられている。
船上での記憶を持たない涼元に海賊としてのイロハを教え、行動を共にすることが多くなる。
無口なナプナコリ号の乗組員。身長2メートルを超える大男で、腹巻のような太いベルトに二本の短剣を差し、胸元には入れ墨がある。
行方不明になる前のウィスカーとは親交があったらしく、乗船直後の涼元に対しても親しさを見せた。
船長命令により再び宝箱の在処を探ることになった涼元に同行するため、櫂と共に船を降りる。
船長
最初の海賊の一人と称されるナプナコリ号の船長。海軍士官のような帽子と制服を着用し、右目を黒いアイパッチで覆っている。
小柄な老人であるが、他者を射竦める眼光と、近寄りがたい程の凄味を兼ね備えている。
副長
ナプナコリ号の副長。背が高く、ブラシのような髭を持ち、商船学校の教官のような外見を持つ。
普段は滅多に姿を見せない船長に代わって、船の実務面を取り仕切っている。
カールツァイス製の双眼鏡を愛用している。
猫足(ねこあし)
ナプナコリ号の乗組員である10歳程の少年。以前、自分が乗っていた船が突然いなくなり、途方に繰れていたところをナプナコリ号に拾われた過去がある。
立派な海賊になりたいとウィスカー(涼元)に対しては憧れを示す。
血洗孔(スカッパー)
頬に大きな傷を持つナプナコリ号の乗組員。
長剣を武器にし、短気で喧嘩っ早い性格をしている。
少年/少女
船員が消えた補給船、トーマス・W・ローソン号に取り残されていた5、6歳程の少年と少女。
ナプナコリ号に保護されるが、記憶を失っており事件に関することは何も覚えていなかった。
ウィスカー
かつてナプナコリ号の乗組員だった男。
宝箱の在処をつきとめるために、三人の部下を連れ小船でナプナコリ号から下船したが、消息を絶つ。
長身で、ウィスカー(頬髯)という名前の通りのワイルドな髯を生やした外見。性格は勇敢かつ豪快で、女性にはモテていたらしい。
酒が好きなこと以外には、外見、内面ともに涼元とは共通点はないが、海賊たちにとってはそういったことは些細なことでしかないらしい。
E(イー)
海賊たちが探す宝箱を守るために、彼らと敵対する者たち。
外見上は普通の人間と変わらず年齢や服装もバラバラだが、一様にマネキンのような無表情な顔をしており、言葉を発することがない。
その正体は謎に包まれているが、大型軍艦を用いてナプナコリ号を攻撃したり、戦時中のように大量の探照灯を静岡市内に設置して夜空を照らすなど、底が見えない行動を取る。
櫂曰く『振り子の揺らぎを最後まで見届ける役』。

脚注[編集]

  1. ^ 作品の舞台は静岡県静岡市になっており、市内の様々な場所が実名で登場する。

外部リンク[編集]