幻覚剤のマイクロドージング

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幻覚剤のマイクロドージングは、ヒトの機能を向上するために、作用閾値以下の用量で幻覚剤を使用することである[1][2]。 科学的な裏付けがあることではないが、LSDマジックマッシュルーム、また他の幻覚剤は問題解決の課題において、創造性と能力の向上のために用いられている[1][3]

その効果は逸話であるが、ジェームズ・ファディマン英語版The Psychedelic Explorer's Guideのような系統だった報告書も存在し、創造性の向上や不安感の軽減が伝えられている[3]。1960年代のファディマンによる実験については『パソコン創世「第3の神話」』に記されているが、国際高度研究財団というLSDの研究財団にて技術者の創造性の向上の実験を行った[4]。ファディマンは、「神の量」と呼ばれる250マイクログラムではなく、10マイクログラムのLSDを数日おきに服用することで健康増進に寄与すると主張しており、2010年代にはこの手法が支持を受けている[5]。ファディマンによる方法は代表的なやり方だとみなされており、LSDはすぐに耐性を生じるため3日ごとに使用する[6]

2017年には、ファディマンは418人のボランティアの報告による研究を発表し、そのためのサイトでは1000人以上がセルフレポートを行っている[7]。通常の娯楽的な使用の5-10%の量であれば、シロシビンなどLSD以外の幻覚剤についても研究対象に含まれており、気分、生産性、活力などを評価して報告がなされている[7]

シロシビンでの通常の量では、治療抵抗性うつ病に役立つことが判明しており、LSDやシロシビンによる治療はおそらくマイクロドーズでも行える可能性がある[8]インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者によって実施されたfMRIによるLSDの脳イメージングの研究では、75マイクログラムと推奨されている10マイクログラムより多いが、それでも実験した研究者が推測すれば、集中と思考の構造を維持しながら柔軟になることができるだろうということである[7]。LSDとシロシビンで実施された脳イメージング研究は、微量投与の効果を部分的に説明するかもしれず、そうした薬物の影響下では、脳の他の領域がより多くやり取りし、固定的な思考や認知から自由になり、創造性を高めたりうつ病の根底にあるものから自由にする[8]。さらにベックリー財団が20人の被験者で、マイクロドーズを含む様々な量の研究を実施する予定である[7]

もうひとつの流行は、コーヒーやカフェインなど離脱症状の原因となる他の飲み物の代わりに、幻覚剤をマイクロドーズで使うことである[9]

幻覚剤のマイクロドージングは、21世紀になりさらに広まっている[10]。2016年のアイェレット・ウォルドマンの著書『本当にいい日』(未訳、A Really Good Day)は、彼女が双極性障害と診断され精神科の薬を何種類も試したが問題を感じ、LSDのマイクロドーズを3日ごとに摂取することに変えた、その回想記である[11]。彼女は服用1日目から気分がよくなった[12]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b Would you take LSD to give you a boost at work? WIRED takes a trip inside the world of microdosing, Wired UK, 2016-8-24. Retrieved: 2017-04-19.
  2. ^ How LSD Microdosing Became the Hot New Business Trip, Rolling Stone, 2015-11-20. Retrieved: 2017-04-19.
  3. ^ a b Erin Brodwin (2017年2月3日). “"幻覚体験"の真実 —— LSDなどの幻覚剤、超微量薬物投与(マイクロドージング)の研究成果”. Business Insider Japan. 2017年4月12日閲覧。, The truth about 'microdosing,' which involves taking tiny amounts of psychedelics like LSD, Business Insider, 2017-2-3. Retrieved: 2017-04-19.
  4. ^ ジョン・マルコフ『パソコン創世「第3の神話」―カウンターカルチャーが育んだ夢』服部桂訳、NTT出版、2007年(原著2005年)。ISBN 978-4-7571-0195-1
  5. ^ Jesse Jarnow (2016-11025). “非合法化から50年 LSDの今:サイケデリック・ルネサンスはLSDをどう変えたのか”. Rolling Ston 日本版. 2017年4月22日閲覧。
  6. ^ Microdosing LSD: Smart Drug or Placebo?”. Psychedelic Frontier (2017年11月14日). 2018年2月1日閲覧。
  7. ^ a b c d Stephie Grob Plante. “LSD microdoses make people feel sharper, and scientists want to know how what we do”. 2017-4-24. 2017年4月27日閲覧。
  8. ^ a b Ben Taub (2017年6月4日). “Here’s Why LSD Microdosing Could Be The Next Major Breakthrough In Mental Healthcare”. IFL Science. 2017年6月24日閲覧。
  9. ^ Forget Coffee, Tiny Doses Of LSD Are The New Alternative To Caffeine, Apparently, unilad.co.uk, 2015. Retrieved: 2017-04-19.
  10. ^ A Brief History of LSD in the Twenty-First Century, Psychedelic Press UK, 2015-7-7. Retrieved: 2017-04-19.
  11. ^ Jennifer Senior (2017年1月11日). “Review: ‘A Really Good Day,’ Ayelet Waldman’s Better Living Through LSD”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2017/01/11/books/review-a-really-good-day-ayelet-waldmans-better-living-through-lsd.html 2017年4月12日閲覧。 
  12. ^ 幻覚剤の少量摂取、米国で広まる「マイクロドージング」”. AFPBB News (2017年5月12日). 2017年6月24日閲覧。

外部リンク[編集]