安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律

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安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 血液事業新法、血液法、血液新法
法令番号 昭和31年6月25日法律第160号
効力 現行法
種類 公衆衛生法
主な内容 血液製剤の安全性の向上、売血の禁止等
関連法令 医薬品医療機器等法採血の業務の管理及び構造設備に関する基準
条文リンク 総務省法令データ提供システム
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安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(あんぜんなけつえきせいざいのあんていきょうきゅうのかくほとうにかんするほうりつ、昭和31年6月25日法律第160号)は、日本法律の一つ。最終改正は平成25年12月13日法律第103号。旧題は採血及び供血あつせん業取締法で、2002年の改正の際に改称された。

目的[編集]

;第一条
この法律は、血液製剤の安全性の向上、安定供給の確保及び適正な使用の推進のために必要な措置を講ずるとともに、人の血液の利用の適正及び献血者等の保護を図るために必要な規制を行うことにより、国民の保健衛生の向上に資することを目的とする。

定義[編集]

血液製剤[編集]

;第二条第1項
この法律で「血液製剤」とは、人血漿その他の人体から採取された血液を原料として製造される医薬品医薬品医療機器等法に規定する医薬品をいう。以下同じ。)であつて、厚生労働省令で定めるものをいう。

つまり血液製剤とは人の血液から作られた医薬品を総称して呼び、輸血用血液製剤血漿分画製剤に大別される。このうち輸血用血液製剤はそのすべてが献血によって確保されている。ここで参考として血液製剤の種類と適応症の一例を記載しておく。

血液製剤の種類
分類 種類 適応症
輸血用血液製剤 全血製剤 新生児の交換輸血、循環血液量以上の大量の出血
赤血球製剤 造血器疾患に由来する貧血、慢性出血等
血漿製剤 肝障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)溶血性尿毒症症候群(HUS)
血小板製剤 活動性出血、外科手術時の術前状態、大量輸血時、播種性血管内凝固症候群(DIC)、血液疾患等
血漿分画製剤 アルブミン製剤 出血性ショック、ネフローゼ症候群
免疫グロブリン製剤 無または低グロブリン血症等
血液凝固因子製剤 血液凝固因子欠乏患者(血友病など)に対する凝固因子の補充等

献血者等[編集]

;第二条第2項
この法律で「献血者等」とは、献血をする者その他の被採血者をいう。

採血事業者[編集]

;第二条第3項
この法律で「採血事業者」とは、人体から採血することについて第十三条第一項の許可を受けた者をいう。

製造販売業者、製造業者、販売業者[編集]

;第二条第4項
この法律で「製造販売業者」、「製造業者」又は「販売業者」とは、それぞれ薬事法第十二条第一項 の医薬品の製造販売業の許可を受けた者、同法第十三条第一項 の医薬品の製造業の許可を受けた者又は同法第二十四条第一項 の医薬品の販売業の許可を受けた者をいう。

基本理念[編集]

;第三条
  1. 血液製剤は、その原料である血液の特性にかんがみ、その安全性の向上に常に配慮して、製造され、供給され、又は使用されなければならない。
  2. 血液製剤は、国内自給(国内で使用される血液製剤が原則として国内で行われる献血により得られた血液を原料として製造されることをいう。以下同じ。)が確保されることを基本とするとともに、安定的に供給されるようにしなければならない。
  3. 血液製剤は、献血により得られる血液を原料とする貴重なものであること、及びその原料である血液の特性にかんがみ、適正に使用されなければならない。
  4. 国、地方公共団体その他の関係者は、この法律に基づく施策の策定及び実施に当たつては、公正の確保及び透明性の向上が図られるよう努めなければならない。

血液事業に携わる関係者の責務[編集]

国の責務[編集]

;第四条
  1. 国は、基本理念にのつとり、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない。
  2. 国は、血液製剤に関し国内自給が確保されることとなるように、献血に関する国民の理解及び協力を得るための教育及び啓発、血液製剤の適正な使用の推進に関する施策の策定及び実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

平たく言うと、

  • 血液製剤の安全性向上・安定供給確保のための施策の策定及び実施
  • 国内自給確保のため、献血に関する国民の理解協力を得る目的の教育・啓発、適正使用推進に関する施策の策定及び実施

地方公共団体の責務[編集]

;第五条
都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、基本理念にのつとり、献血について住民の理解を深めるとともに、採血事業者による献血の受入れが円滑に実施されるよう、必要な措置を講じなければならない。
  • 住民の献血に関する理解を深め、かつ献血受入の円滑な実施のための措置をとる

採血事業者の責務[編集]

;第六条
採血事業者は、基本理念にのつとり、献血の受入れを推進し、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に協力するとともに、献血者等の保護に努めなければならない。
  • 献血受入推進、血液製剤の安全性向上・安定供給確保に協力し、献血者等の保護に努める

血液製剤の製造販売業者等の責務[編集]

;第七条
血液製剤の製造販売業者、製造業者及び販売業者は、基本理念にのつとり、安全な血液製剤の安定的かつ適切な供給並びにその安全性の向上に寄与する技術の開発並びに情報の収集及び提供に努めなければならない。
  • 安全な血液製剤の安定供給確保、安全性向上に寄与する技術開発、情報収集及び提供に努める

医療関係者の責務[編集]

;第八条
医師その他の医療関係者は、基本理念にのつとり、血液製剤の適正な使用に努めるとともに、血液製剤の安全性に関する情報の収集及び提供に努めなければならない。
  • 血液製剤の適正使用、安全性に関する情報収集及び提供に努める

採血の制限[編集]

;第十二条
  1. 次に掲げる物を製造する者がその原料とする目的で採血する場合を除いては、何人も、業として、人体から採血してはならない。ただし、治療行為として、又は輸血、医学的検査若しくは学術研究のための血液を得る目的で採血する場合は、この限りでない。
    一  血液製剤
    二  医学的検査、学術研究等のために必要がある物として政令で指定する物
  2. 何人も、業として、人体から採取された血液又はこれから得られた物を原料として、前項各号に掲げる物(以下「血液製剤等」という。)以外の物を製造してはならない。ただし、血液製剤等の製造に伴つて副次的に得られた物又は厚生労働省令で定めるところによりその本来の用途に適しないか若しくは適しなくなつたとされる血液製剤等を原料とする場合は、この限りでない。

業として行う採血と医業[編集]

;第三十条
業として人体から採血することは、医療及び歯科医療以外の目的で行われる場合であつても、医師法第十七条 に規定する医業に該当するものとする。

業として行う採血の許可[編集]

;第十三条

血液製剤等の原料とする目的で、業として、人体から採血しようとする者は、採血を行う場所(以下「採血所」という。)ごとに、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。ただし、病院又は診療所の開設者が、当該病院又は診療所における診療のために用いられる血液製剤のみの原料とする目的で採血しようとするときは、この限りでない。

有料での採血等の禁止[編集]

第十六条

何人も、有料で、人体から採血し、又は人の血液の提供のあつせんをしてはならない。

採血者の義務[編集]

第二十四条

  1. 血液製剤等の原料たる血液又は輸血のための血液を得る目的で、人体から採血しようとする者は、あらかじめ献血者等につき、厚生労働省令で定める方法による健康診断を行わなければならない
  2. 前項の採血者は、厚生労働省令で定めるところにより貧血者、年少者、妊娠中の者その他採血が健康上有害であるとされる者から採血してはならない。

構成[編集]

  • 第1章 総則(第1条―第8条)
  • 第2章 基本方針等(第9条―第11条)
  • 第3章 採血(第12条―第24条)
  • 第4章 血液製剤の安定供給(第25条―第27条)
  • 第5章 雑則(第28条―第31条)
  • 第6章 罰則(第32条―第39条)
  • 附則

参考文献[編集]

  • 木方 正、安田一郎、佐藤拓夫、神村英利 『わかりやすい薬事関連法規・制度[第2版]』 廣川書店、2012年1月10日ISBN 978-4-567-01650-6
  • 薬学ゼミナール 『薬剤師国家試験対策参考書[改訂第4版] 8 法規・制度・倫理』 薬学ゼミナール、2014年4月14日ISBN 978-4-907368-08-1
  • 薬事衛生研究会 『薬事法規・制度及び倫理 解説』 薬事日報社、2013年4月ISBN 978-4-8408-1234-4

関連項目[編集]