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多角形表記(たかくけいひょうき、polygon notation)とは、多角形を用いた巨大数の表記法である。ユゴー・スタインハウス(英語版)によって考案され、後にレオ・モーザー(英語版)によって拡張された。
スタインハウスの多角形表記
スタインハウスの多角形表記は、次のように定義される。
- = nn
- = 「n 重の三角形の中の n 」
- = 「n 重の四角形の中の n 」
この表記を用いて、スタインハウスは次の数を定義した。
- をメガ(Mega)という。
- をメジストン(Megiston)という。
モーザーの多角形表記
モーザーの多角形表記は、スタインハウスのものを拡張し、一般の多角形を用いるようにした。
- 、はスタインハウスのものと同じ。
- = 「n 重の四角形の中の n 」 (= )
- 一般に「m 角形の中の n 」 = 「n 重の m - 1 角形の中の n 」
「角形の中の2」 をモーザー数と言う。
ブラケットでの表記
ヨーク大学のSusan Stepney教授は、自らのサイトで次の代用表記を使っている。
- p 角形の中の n を と表す。
- は必要なだけ繰り返せる。たとえば、p 角形の中の q 角形の中の n は と表す。
- k 重の p 角形の中の n を と表す。つまり、 である。
これを使えば多角形表記の定義は次のようになる。
-
-
-
- 一般に
ここで、↑はクヌースの矢印表記である。
他の例としては:
-
スタインハウスとモーザーが定義した巨大数は次のように表せる。
- (メガ)
- (メジストン)
- モーザー数 =
計算
簡単な例
- 2[3] = 22 = 4
- 2[4] = 2[3]2 = 4[3] = 44 = 256
スタインハウスのメガ
= 2[5]
- = 2[4]2
- = 2[4][4]
- = 256[4]
- = 256[3]256
256[3]nを順に見ていくと、
- ,
となる。ここで、きわめて大雑把な「近似」
を導入する。しかし近似といっても実際は
であり、通常の感覚ではまったくかけ離れていることに注意。
同様に、
と「近似」できる。したがって、
-
である。
さらに大雑把な「近似」を認めれば、
-
と表せる。ただし実際は、
-
である。
具体的な値は
-
に近く、したがって
-
の範囲にある。
スタインハウスのメジストン
= 10[5] = 10[4]10 = 10[4][4]9 = (10[4]9)[4]
スタインハウスのメガの時と似た「近似」によって、およそ
- (*)
であるとすると、
ここで、一般のa,b,nについて次のような式を考える。a↑b = ab に注意すれば、
a,bが十分に大きければ
だから、
と近似してよい。
これを n が 1 になるまで繰り返せば、
したがって、 ならば
- (**)
と近似してよい。
(**)を用いて、改めて 10[4]2 を近似すると
である。以下同様に(*)と(**)を使えば
したがって、
であるので、大ざっぱには
-
である。ただし、実際はメガと同様に、
-
である。
モーザー数
モーザー数は 2[ ]である。先に示したようには相当な巨大数であるので、角形はほとんど円も同然であり、忠実な多角形の図による表記は事実上不可能である。
よりはるかに大きいことは自明で、またよりもはるかに大きい。
しかし、グラハム数よりは圧倒的に小さいことが Tim Chow によって1998年に証明された。[1] この証明によれば、モーザー数 M はチェーン表記を用いて
である。
モーザー数をクヌースの矢印表記で厳密に表すのは事実上不可能であるが、およそ3↑↑↑…(②-2本)…↑↑↑3に近似すると考えられる。
関連項目
外部リンク