化石海水

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化石海水(かせきかいすい、英語:fossil salt water)とは、昔の海水地層の隙間などに閉じ込められたもの。帯水層中に貯留する液体が昔の海水であるもの[1][2]化石(生物等の遺骸)とは無関係で、比喩的な表現である。

成因[編集]

  • 海底で地層ができるとき、などある程度大きい粒の間には隙間があり、そこに海水が取り残される(海底堆積物間隙水[3])。通常はその上に堆積した地層の重さで押し出されるなどしてほとんどなくなると考えられているが、なんらかの条件が揃うと堆積当時の海水がそのまま閉じ込められたり、あるいは成分が砂などに張り付く形で残留することがある。地層が陸化した後も淡水地下水とほとんど混ざることなく成分が保存される場合や、更に地下深くのマントル由来の水の上昇に伴い地表に湧出する事もある[4]
  • 帯水層中に塩水くさびとして進入した海水、または堆積盆地形成期における海底下の堆積層中の海水帯水層、これらが地質構造運動等のきっかけで陸化し、それらが帯水層中に貯留したままの状態となって形成される。

水質[編集]

貯留された海水は、貯留している地層や、その深度による圧力温度、これらと化学反応を起こす[5]。また地質時代を経ていることから、現在見られる成分(水質)は貯留された当時の海水そのままではなく変化したものである。多くの化石海水の成分は現在の海水の成分とは異なる。

年代評価[編集]

溶け込んでいる物質の放射性同位体比を分析することにより、封じ込められた時代を調べる事が可能である[3]

利用される物質例、


産出[編集]

海から離れた場所の温泉が海水に似て塩分が多い場合、その成分の起源は化石海水である場合もある[8][9]原油天然ガス[10]の採掘に伴って付随水として産出することがある。

脚注[編集]

  1. ^ 地層と地下水の関係 日本原子力研究開発機構
  2. ^ 高村弘毅、丸井敦尚、地下鹹水の定義と事例 日本海水学会誌 Vol.60 (2006) No.2 p.86-90, doi:10.11457/swsj1965.60.86
  3. ^ a b c 岡部宣章、海水・地下流体におけるヨウ素の化学形態及び同位体比に関する地球化学的研究 学習院大学大学院 博士論文 (2015) 甲第244号, hdl:10959/3692
  4. ^ a b 同位体比から見た松代群発地震地域の深部流体の起源地震 第2輯 Vol.55 (2002-2003) No.2 P207-216,doi:10.4294/zisin1948.55.2_207
  5. ^ 村松容一、岡崎公美、大城恵理 、短報 関東平野中央部の非火山性温泉における深部流体の生成機構 地下水学会誌 Vol.50 (2008) No.3 p.145-162, doi:10.5917/jagh1987.50.145
  6. ^ 藤田嘉彦、火山岩体石油鉱床の起源 地学雑誌 Vol.94 (1985-1986) No.7 P612-619, doi:10.5026/jgeography.94.612
  7. ^ 馬原保典、中田英二、大山隆弘 ほか、論文 化石海水の同定法の提案 -太平洋炭鉱における地下水水質・同位体分布と地下水年代評価- 地下水学会誌 Vol.48 (2006) No.1 p.17-33, doi:10.5917/jagh1987.48.17
  8. ^ 谷口敦行、箕浦幸治、温泉化学組成からみた東北日本北部域における地すべり粘土の化学組成 日本地質学会 第120年学術大会(2013仙台) セッションID: R19-O-3, doi:10.14863/geosocabst.2013.0_276
  9. ^ 古谷元、渡部直喜、小松原岳史 ほか、新潟県東頸城地域の地すべり土塊内における高濃度Na-Cl型地下水の分布とその起源 応用地質 Vol.45 (2004-2005) No.6 P.281-290, doi:10.5110/jjseg.45.281
  10. ^ 杉崎隆一、吉本泰介、加藤喜久雄 ほか、南関東ガス田の地球化学的考察:とくにガス成分と鉱床の存在状態との関連について 地質学雑誌 Vol.69 (1963) No.809 P 67-81, doi:10.5575/geosoc.69.67

関連項目[編集]