包括的な成長
包括的な成長(ほうかつてきなせいちょう、Inclusive growth)とは、人口の大部分の生活水準が向上するタイプの経済成長を指す。[1][2][3][4]
包括的な成長の支持者らは、不平等な成長が政治的な不平等すらもたらし兼ねないことを警告している。[5]
包括的な成長の定義からすると、その国の経済を決定づける様な、マクロ・ミクロ的要因は経済成長と密接に結び付いていると言えるのだろう。
ミクロ経済的な側面としては、経済的な多様化と競争を引き起こす経済構造の変化が重要とされる。一方のマクロ経済的側面においては、各種経済統計によって経済活動の変化が追われることになる。各種統計についての詳細は、以下の各ページをご参照いただきたい。
持続可能な経済成長のためには、包括的な成長が必要とされる。だが、包括的な成長を達成することは、時として難しい。なぜなら経済成長は負の外部性をもたらしかねないからだ。例えば政治の腐敗は途上国において一般的な問題である。
にも拘わらず、成長を輝かしいものとする為には包括性は強調されなければならない。包括性の達成の為には例えば、市場や資源へのアクセス、或いは偏向的で無い規制などの文脈における、機会の均等性が特別に重要視されている。
包括的な成長には、長期的な展望が必要である。そしてその焦点は生産的な労働にある。労働の生産性が増すことによって、貧困層や社会から排除された人々（マイノリティなどを参照）の収入を改善し、彼らの生活水準を向上させることができるのだ。
障害[編集]
包括的な成長の達成が現実世界において実際には非常に難しいことは広く知られている。[6]
一方では、成長の包摂性を体系的に測定するための網羅的で世界的に認知された基準がないため、データ収集や政策評価が困難になっている。[7]
政策立案者にとって、このような経済目標は、他の目立つ経済目標に比べると、余りに不明確で長期的な視点に立ったものであるため、優先度が下がってしまいがちだ。[8]
しかし一方で、一部の反対論者が指摘するように、成長の負の外部性の多くは、包括性の理想とは根本的に相反するものであり、[9] それがこの状況をより複雑なものにさせてしまっている。多くの場合において、経済の包括性は成長と比べ軽視されがちなのは事実であり、時として完璧に無視されることすらある。[10][11][12]
関連ページ[編集]
参考資料[編集]
- ^ Cerra, Valerie (2021), “An Inclusive Growth Framework” (英語), How to Achieve Inclusive Growth (Oxford University Press): 1–31, doi:10.1093/oso/9780192846938.003.0001, ISBN 978-0-19-284693-8
- ^ Ranieri, Rafael; Ramos, Raquel Almeida (March 2013). Inclusive Growth: Building up a Concept. 104. Brazil: International Policy Centre for Inclusive Growth. ISSN 1812-108X 2015年1月13日閲覧。.
- ^ Anand, Rahul (2013年8月17日). “Inclusive growth revisited: Measurement and evolution”. VoxEU.org (Centre for Economic Policy Research). etal時点におけるアーカイブ。. エラー:
|archivedate=を指定した場合、|archiveurl=の指定が必要です。 2015年1月13日閲覧。 - ^ Anand (2013年5月). “Inclusive Growth: Measurement and Determinants”. International Monetary Fund. 2015年1月13日閲覧。
- ^ Dutzler, Barbara; Johnson, Simon; Muthoora, Priscilla (2021), “The Political Economy of Inclusive Growth”, How to Achieve Inclusive Growth (Oxford University Press), doi:10.1093/oso/9780192846938.003.0015, ISBN 978-0-19-284693-8
- ^ Waite, David; Roy, Graeme (2 November 2022). “The promises and pitfalls of operationalizing inclusive growth” (英語). Regional Studies 56 (11): 1989–2000. Bibcode: 2022RegSt..56.1989W. doi:10.1080/00343404.2022.2050201. ISSN 0034-3404 2024年1月16日閲覧。.
- ^ Sharafutdinov, Rustam Ilfarovich; Akhmetshin, Elvir Munirovich; Polyakova, Aleksandra Grigorievna; Gerasimov, Vladislav Olegovych; Shpakova, Raisa Nikolaevna; Mikhailova, Mariya Vladimirovna (1 April 2019). “Inclusive growth: A dataset on key and institutional foundations for inclusive development of Russian regions”. Data in Brief 23: 103864. Bibcode: 2019DIB....2303864S. doi:10.1016/j.dib.2019.103864. ISSN 2352-3409. PMC 6660622. PMID 31372475.
- ^ Kamran, Muhammad; Rafique, Muhammad Zahid; Nadeem, Abdul Majeed; Anwar, Sofia (2023). “Does Inclusive Growth Contribute Towards Sustainable Development? Evidence from Selected Developing Countries” (英語). Social Indicators Research: An International and Interdisciplinary Journal for Quality-of-Life Measurement 165 (2): 409–429 2024年1月16日閲覧。.
- ^ Devarajan. “The future of inclusive growth”. Brookings. 2024年1月16日閲覧。
- ^ “The case for inclusive growth | McKinsey”. www.mckinsey.com. (2021年4月28日) 2024年1月16日閲覧。
- ^ Demirguc-Kunt, Asli; Klapper, Leora; Singer, Dorothe (April 2017). “Financial Inclusion and Inclusive Growth: A Review of Recent Empirical Evidence”. Policy Research Working Papers. doi:10.1596/1813-9450-8040. hdl:10986/26479 2024年1月16日閲覧。.
- ^ Heshmati, Almas; Kim, Jungsuk; Wood, Jacob (September 2019). “A Survey of Inclusive Growth Policy” (英語). Economies 7 (3): 65. doi:10.3390/economies7030065. hdl:10419/256997. ISSN 2227-7099.