加法的関数

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数学における加法的関数(かほうてきかんすう、: additive function)には、用いられる分野によって異なる二つの意味が存在する。

数論の分野における加法的関数とは、正の整数 n についての数論的関数 f(n) であって、任意の互いに素ab に対し、その積の関数と、それらの関数の和が等しいようなもの、すなわち

f(ab) = f(a) + f(b)

を満たすようなもののことを言う[1]

代数学の分野における加法的関数(あるいは加法的写像英語版)とは、加法保存性

f(x + y) = f(x) + f(y)

を、定義域内の任意の2つの元 x および y に対して満たすような関数 f のことを言う。例えば、任意の線型写像や、任意のアーベル群準同型は加法的である。定義域が実数空間である場合、上の式はコーシーの関数方程式英語版である。加法的多項式英語版も参照。

この記事の残りの部分では、上述の第一の定義である、数論における加法的関数について扱う。

完全加法性[編集]

加法的関数 f(n)完全加法的 (completely additive, totally additive) であるとは、すべての(互いに素でない場合も含む)正の整数 ab に対して f(ab) = f(a) + f(b) が成立することを言う。f が完全加法的関数であるならば、f(1) = 0 である。

すべての完全加法的関数は加法的であるが、その逆は成立しない。

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完全加法的な数論的関数の例を以下に挙げる:

  • 素因数 pn における重複度 (multiplicity)、すなわち n を割り切るような pm の最大のべき指数 m
  • a0(n)n の重複も含めた素因数の和(オンライン整数列大辞典の数列 A001414)。sopfr(n), n のポテンシー (potency)、あるいは n の整対数 (integer logarithm) と呼ばれることがある。例:
a0(4) = 2 + 2 = 4
a0(20) = a0(22 ⋅ 5) = 2 + 2 + 5 = 9
a0(27) = 3 + 3 + 3 = 9
a0(144) = a0(24 ⋅ 32) = a0(24) + a0(32) = 8 + 6 = 14
a0(2,000) = a0(24 ⋅ 53) = a0(24) + a0(53) = 8 + 15 = 23
a0(2003) = 2003
a0(54032858972279) = 1240658
a0(54032858972302) = 1780417
a0(20802650704327415) = 1240681
Ω(1) = 0, なぜならば 1 は素因数を持たないから
Ω(20) = Ω(2 ⋅ 2 ⋅ 5) = 3
Ω(4) = 2
Ω(27) = 3
Ω(144) = Ω(24 ⋅ 32) = Ω(24) + Ω(32) = 4 + 2 = 6
Ω(2000) = Ω(24 ⋅ 53) = Ω(24) + Ω(53) = 4 + 3 = 7
Ω(2001) = 3
Ω(2002) = 4
Ω(2003) = 1
Ω(54032858972279) = 3
Ω(54032858972302) = 6
Ω(20802650704327415) = 7

続いて、加法的であるが完全加法的ではない数論的関数の例を挙げる:

ω(4) = 1
ω(20) = ω(22 ⋅ 5) = 2
ω(27) = 1
ω(144) = ω(24 ⋅ 32) = ω(24) + ω(32) = 1 + 1 = 2
ω(2000) = ω(24 ⋅ 53) = ω(24) + ω(53) = 1 + 1 = 2
ω(2001) = 3
ω(2002) = 4
ω(2003) = 1
ω(54032858972279) = 3
ω(54032858972302) = 5
ω(20802650704327415) = 5
a1(1) = 0
a1(4) = 2
a1(20) = 2 + 5 = 7
a1(27) = 3
a1(144) = a1(24 ⋅ 32) = a1(24) + a1(32) = 2 + 3 = 5
a1(2000) = a1(24 ⋅ 53) = a1(24) + a1(53) = 2 + 5 = 7
a1(2001) = 55
a1(2002) = 33
a1(2003) = 2003
a1(54032858972279) = 1238665
a1(54032858972302) = 1780410
a1(20802650704327415) = 1238677

乗法的関数[編集]

任意の加法的関数 f(n) を用いて、乗法的関数 g(n), すなわち、互いに素な ab に対して

g(ab) = g(a) × g(b)

を満たすような関数を作ることは簡単である。例えば、g(n) = 2f(n) とおけばよい。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Erdös, P., and M. Kac. On the Gaussian Law of Errors in the Theory of Additive Functions. Proc Natl Acad Sci USA. 1939 April; 25(4): 206–207. online
  • Janko Bračič, Kolobar aritmetičnih funkcij (Ring of arithmetical functions), (Obzornik mat, fiz. 49 (2002) 4, pp. 97–108) (MSC (2000) 11A25)