六尺棒
『六尺棒』(ろくしゃくぼう)は、古典落語の演目。江戸落語・上方落語の両方で演じられる[1][2]。
遊廓通いをやめない商家の若旦那を父親が叱ろうとして起きる騒動を描く。原話は不明だが、文化4年(1807年)には口演記録が残る[3]。
1940年9月に当時の講談落語協会が警視庁に届ける形で口演自粛を決定した禁演落語53演目に含められた[4][5]。
あらすじ
[編集]※以下、東大落語会編『落語事典 増補』掲載の内容に準拠する[2]。
道楽息子の幸太郎が吉原から帰宅して目立たないように家に入ろうとすると、気付いた父親の幸右衛門がわざと幸太郎の友人に話しかける形で「あんな道楽者は勘当したと伝えてくれ」と口にする。幸太郎が「家を他人に取られるのは嫌だから火を付ける」と答えると、驚いた父親は六尺棒を持って表に出たが、すでに逃げた後だった。父親は後を追うものの体力の差で追いつくことができず、町内を一回りした幸太郎は先に自宅に戻り、父親が開けたままの扉から中に入って扉を閉めて心張り棒をかけてしまう。遅れて戻ってきた父親が扉を叩くと幸太郎は、さきほどの父を真似て父の友人に話す体で「あの分だと身上をどんなに大きくするからわからないから、勘当したと伝えてくれ」と答える。それを聞いた父親は「そんなに真似したければ六尺棒を持って追いかけてこい」と返事した。
改作
[編集]3代目三遊亭金馬は、『六尺棒』の改作を『ジャズ息子』と題して演じていた[6]。あらすじや落ちは『六尺棒』と変わらないものの、道楽息子がジャズマニアという設定に変えられている[6]。金馬の『ジャズ息子』は1930年(昭和5年)発売の録音(ニットーレコード 4240)が残っており、2006年発売の『昭和東京面白落語全集 東京篇五』(CD)に再録されている。なお川柳川柳にも『ジャズ息子』という同名の新作落語作品があるが、内容の異なる別演目である。
脚注
[編集]- ^ 前田勇, p. 300.
- ^ a b 東大落語会, p. 463.
- ^ 榎本 1980, p. 504.
- ^ 柏木新『はなし家たちの戦争―禁演落語と国策落語』話の泉社、2010年、pp.10 - 12
- ^ 「低俗と五十三演題の上演禁止」『東京日日新聞』1940年9月21日(昭和ニュース事典編纂委員会『昭和ニュース事典第7巻 昭和14年-昭和16年』本編 毎日コミュニケーションズ、1994年、p.773に転載)
- ^ a b 昭和戦前面白落語全集解説書 2006, p. 112.
参考文献
[編集]- 前田勇『上方落語の歴史 改訂増補版』杉本書店、1966年。NDLJP:2516101。
- 東大落語会 編『落語事典 増補』青蛙房、1973年。NDLJP:12431115。
- 榎本滋民 著「演目解説 六尺棒」、暉峻康隆、興津要、榎本滋民 編『明治大正落語集成: 口演速記』 第6巻、講談社、1980年、504頁。NDLJP:12467112/256。
- 『昭和戦前面白落語全集 東京篇』(CD16枚と別冊解説書)日本音声保存/エニー、2006年9月1日。ISBN 978-4901708968。
- (CD第5巻)『昭和戦前面白落語全集 東京篇五 三代目三遊亭金馬』(CD)日本音声保存/エニー。ANOC-7016。
- (別冊解説書)『昭和戦前面白落語全集 東京篇 解説書』日本音声保存。