公正競争規約

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公正競争規約(こうせいきょうそうきやく)とは、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第31条の規定に基づき、公正取引委員会および消費者庁長官から認定を受けた事業者または事業者団体が、表示または景品類に関する事項について自主的に設定する業界のルールである[1]

一般消費者の利益を保護するためには、商品やサービスの選択に必要な情報が正しく提供されること、過大な景品類が提供されないことが重要である[1]。公正競争規約は業界の商品特性や取引実態に即し、広告等に表示すべき内容、特定の表現を表示する場合の基準、景品類の提供制限などを定めるものである[1]。業界大多数の良識を「商慣習」として明文化することで、不当表示や過大な景品類の提供による競争を防止することを目的とする[1]

概要[編集]

公正競争規約とその施行規則は、公聴会を経て公正取引委員会と消費者庁の認定を受け、公正取引委員会告示をもって成立する。2013年3月時点で、82の公正取引協議会によって104件の公正競争規約が制定されており、表示関係は68件(食品43件、その他25件)、景品関係は37件(食品18件,その他19件)である[2]

表示に関する公正競争規約の場合、公正競争規則及び公正競争規約施行規則の中に、表示に使用される用語やロゴ、広告の方法、違反した場合の罰則などが規定され、これが公正取引委員会及び消費者庁長官により認定されたときに告示がなされる[3]。表示方法についてはこの他、食品表示法食品衛生法家庭用品品質表示法製造物責任法などによる規定もある。

景品類に関する公正競争規約の場合、実際には、当該業種に属する大部分の事業者が景品付き販売の自主規制を定め、これが公正取引委員会により公正競争規約として認定されたときに、併せて業種別景品制限告示がなされる。様々な懸賞キャンペーン広告で「当選者は、同時期に実施される同一商品を対象としたキャンペーンと重複して当選することはできない場合があります」と注意書きがされている場合があるが、これは本規約に基づくもので、特定企業による不当な客寄せを防ぐためである。

なお、運用は公正取引協議会が行っており、違反した場合は協議会からの警告や、当局からの差止など措置命令の対象となる。

公正競争規約の一覧[編集]

2013年3月時点で存在する公正競争規約は以下のとおり。

食品産業[編集]

野菜類製品[編集]

穀類製品[編集]

豆類製品[編集]

肉類[編集]

魚介類[編集]

乳製品[編集]

缶詰[編集]

調味料・調理加工食品類[編集]

甘味類製品[編集]

菓子類[編集]

嗜好飲料類[編集]

酒類[編集]

  • 果実酒製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(日本ワイナリー協会
  • ビールの表示に関する公正競争規約、ビール製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(ビール酒造組合
  • 輸入ウイスキーの表示に関する公正競争規約、酒類愉入販売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約、輸入ビールの表示に関する公正競争規約(日本洋酒輸入協会
  • ウイスキーの表示に関する公正競争規約、洋酒製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(日本洋酒酒造組合
  • 単式蒸留しょうちゅうの表示に関する公正競争規約、・清酒製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約、単式蒸留しょうちゅう製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(日本酒造組合中央会
  • 合成清酒及び連続式蒸留しょうちゅうの製造業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(日本蒸留酒酒造組合
  • 酒類小売業におけるi酒類の表示に関する公正競争規約(全国小売酒販組合中央会

製造業関連[編集]

身のまわり品[編集]

文化・スポーツ用品[編集]

医療関連[編集]

機械製品[編集]

サービス業[編集]

不動産[編集]

銀行[編集]

  • 銀行業における表示に関する公正競争規約、銀行業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(全国銀行正取引協議会

メディア[編集]

教習所[編集]

旅行[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 前身は日本ドッグフード工業会(1965年設立)とドッグフード公正取引協議会(1991年設立)。また外資系企業も加入している。本好茂一大木富雄監修『ペットフード・ペットビジネスの動向』(シーエムシー出版、2007年、ISBN 978-4-88231-698-5)を参照。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]