佯狂者

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佯狂者(ようきょうしゃ、ロシア語юро́дивый(男性)/ юро́дивая(女性), 英語:yurodivy or "holy fool for Christ")は、正教会における聖人の称号。

俗世に心を煩わされずに専ら神に仕え、祈祷と(ものいみ)のうちに功を積んだ正教会の聖人は勤行者と呼ばれるが、そうした人々のうち、世を離れず、昼は市井にあってボロをまとって徘徊し、寒さ・暑さ・飢え・辱めを忍び、夜は聖堂の軒下などに野宿して祈る聖人がこの称号で呼ばれる。「佯」とは見せかけの意であり馬鹿を装いハリストス(キリスト)の真理を明らかにする者であるとされる[1]

佯狂者には、モスクワ聖ワシリイ大聖堂の名の由来となっている聖ワシリイ・ブラジェンヌィなどがいる。

佯狂者は、「至福者」「聖愚者」「瘋癲行者」との別称で呼ばれる場合もある。

脚注[編集]

  1. ^ 高橋保行『ギリシャ正教』137頁、講談社学術文庫 1980年 ISBN 978-4-06-158500-3 (4061585002)

参考文献[編集]

  • 『曙光 長司祭牛丸康夫遺稿集』発行:牛丸忍、編集:及川信(同遺稿集内収録の『正教会の聖人について』)

関連項目[編集]