代換法

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代換法(だいかんほう、Hypallage, ギリシャ語υπαλλαγή)とは、「her beauty's face(彼女の美しい顔)」のように、語の統語的関係が逆転している文学的な修辞技法のこと。

代換法の一種で転移修飾語transferred epithet)と呼ばれるものは、文中の修飾語(普通は形容詞)が「間違った」語に用いられる比喩のことである。転移修飾語は、文中で実際に存在するものでも、必然的に暗示されうるものでもありうる。

  • The ploughman homeward plods his weary way(農夫は家に向かって彼の疲れた道をゆっくり進む) -- トマス・グレイ『墓畔の哀歌』。「weary way(疲れた道)」が代換法である。疲れているのは道ではなく農夫である。
  • restless night(眠れない夜) - 夜が眠れないのではなく、夜の間起きている人々が眠れない。
  • happy morning(幸せな朝) - 朝が幸せを感じているわけではなく、朝起きている人々が感じている。
  • female prison(女子刑務所) - 刑務所にはジェンダーはなく、その中にいる人たちが女性である。
  • condemned cell(死刑囚監房。文字通りに訳せば「死刑を宣告された官房」) - 死刑を宣告されたのは監房ではなく、その中にいる人。

代換法は古代ギリシアラテン語詩の中でよく使われた。

  • δίνης πτερωτὸς φθόγγος(旋回の翼ある音) - アリストパネス』。「翼の旋回の音」の代換法。
  • dare classibus Austros(艦隊に風をゆだねよ) - ウェルギリウスアエネイス』3.61。「風に艦隊をゆだねよ」の代換法。

参考文献[編集]

  • Smyth, Herbert Weir (1920). Greek Grammar. Cambridge MA: Harvard University Press, p. 678. ISBN 0-674-36250-0.