リーディングシリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

リーディング』は、隼川いさら著、山本佳奈挿絵の日本のシリーズ小説角川ビーンズ文庫角川書店)より、2011年8月から2012年3月にかけて全3冊刊行された。

内容[編集]

リィナ・エナリアは、本をこよなく愛するエルグリッド大陸図書館の新米司書。新人の中で唯一「地階位(ちかい)」に配属され、他階位の司書たちから嫌がらせを受けつつも、同僚のジーンやヴェルネルたちと司書の仕事を楽しんでいた。ある日リィナは、自身が魔染された本を浄化する異能者「リーディング(読解の異能者)」であること、地階位がリーディングの集まりだということを知る。さらに魔染された魔本のためにリィナは失明してしまう。

登場人物[編集]

リィナ・エナリア
エルグリッド大陸図書館の地階位に所属する新米司書。黒い髪と黒い瞳の16歳。本がとにかく大好きで、本を洗浄する地階位に配属され、貴重な本を手に取れると喜んでいる。
病気の子供の思いが込められて魔染された魔本を浄化したことで、目のリーディングの能力を発現させる。
亡き父セネドアも司書で、一緒に暮らす叔母のイメアもまた司書だった。
趣味は豆本作りと読書。豆本同好会や恐怖倶楽部に所属している。
ジーン・ローグ
地階位の司書。リィナの先輩に当たる。金髪とウルトラマリンの瞳の17歳。
敬語だとかそういったことが大嫌いで、先輩や上階位には丁寧にするよう指導されていたリィナを矯正した。
目のリーディングで、魔染を食らいつくす「イーター」。右目は魔染で失ったため隻眼。
ヴェルネル
地階位副司書長。リィナの父セネドアの親しい後輩だった。赤茶の髪とダークブラウンの瞳。
ぼんにゃりしているがリィナにとっては信頼できる上司。
気恥ずかしいことをさらりと言い、この口調で奥さんを口説き落としたらしい。
アニエス
王子様ルックスの好青年。プラチナの髪と深い紫の瞳の20歳。
実は図書館長の孫でエル・ディウスの子孫。
きざなセリフをさらりというところや王子様のようなルックスで、リィナからは「カエル王子」だと思われた。(リィナの愛読書の登場人物。)
エマ
地階位の司書。姉御肌で気風がいい。手のリーディング。
一年前派遣されたヴァルトーグ王国の遺跡で出会った考古学者、エンデ・セフィラと恋に落ち、目下遠距離恋愛中。
イメア・エナリア
リィナの叔母(父の妹)。元第四階位の司書。
リィナと同じくリーディングで、魔染によって失明した。

用語[編集]

エルグリッド大陸図書館
大陸中央に位置する、文字発祥の聖地にして、一国。世界中の書物がそろい、知識神アリアテより使徒ステライエを通して授けられた「聖誕書」が厳重に保管されているという。
敷地内には図書の閲覧、娯楽・観光施設併設の公開館と、研究を主な目的とした非公開館があり、回廊でつながっている。
非公開館の司書たちは階層ごとに区分され、第七階位を頂点とした完全な縦社会。第七階位から第一階位、地階位からなる。
地階位(ちかい)
一般には知られていない司書の地位。左遷や問題を起こした司書のたまり場とされ、司書たちはモグラと呼ばれて憐れみと侮蔑の対象となる。
いろいろと噂があり、新人にかかわらずいきなり地階位に配属されたリィナのことはたちまち司書中に広まった。
リィナ、ジーン、エマ、ヴェルネル以外にもいるが、彼らは旅モグラと呼ばれて現在休職中や他国派遣中。
女性は妊娠中、出産後2・3年は休職しなくてはならない。
魔染・魔本
魔染とは本が魔に染まること、魔本は魔に染まった本。
魔染の深度にもよるが、何も知らない一般人に被害を及ぼすため、リーディングたちが浄化する。
リーディング
魔染された本を浄化する「読解の異能者」。
能力の発言場所はリーディングごとに異なる。(リィナとジーンは目、エマは手、ヴェルネルは鼻、旅モグラたちは耳。)

登場した本[編集]

ソーヴォールの恐怖城
子供向けの恐怖本。最後に袋とじがあり、そこを開くとかなり恐ろしいらしい。
渇愛の王女ゼルシダ
リィナを含む10代から20代の若い女性に大人気の大河恋愛小説。
主人公にして薄幸の王女ゼルシダと、敵国の王子、アリストレアサランサ王子は愛し合いながらも国は敵同士という宿命を負い、王子は王宮の陰謀や思惑の波に呑まれてもなお流されない気高き魂の持主。
最新18巻目で、王子は嵐の大海に落下し行方不明となり、乙女たちの悲鳴とともに続刊が待たれている。
作者は年に3回はこの装飾的かつ舌をかみそうなほど長い王子の名前を、南国のカエル「アリストレ『サア』ランサ」と間違えるため、すでに読者からは「カエル王子」と呼ばれている。

既刊一覧[編集]

  1. 『リーディング 司書と魔本が出会うとき』、2011年8月1日発行
  2. 『リーディング 司書と迷える魔本』、2011年12月1日発行
  3. 『リーディング 司書と祈りの魔本』、2012年3月1日発行