ボヘミアン・スポテッド・ドッグ
ボヘミアン・スポテッド・ドッグ(英: Bohemian Spotted Dog)は、チェコ共和国(チェコスロバキア共和国)原産の犬種である。チェコ語ではチェスキー・ストラカティ・ペス(Český strakatý pes)といい[1]、その英訳としては「チェック・スポッテッド・ドッグ」(Czech Spotted Dog)が使われている[2][3]。チェコのケネルクラブ(ボヘミア・モラヴィア犬学連盟)で公認されているが、国際畜犬連盟の公認には至っていない[2]。
歴史
[編集]1950年代に、プラハのチェコスロバキア科学アカデミー生理学研究所において、犬学研究者、フランティシェク・ホラーク(František Horák)によって、気質が穏やかで、多産であり、世話がしやすい実験動物として作出された[2][4]。1954年に作出が開始された。基礎となった犬は両方とも雑種であったが、メス犬はジャーマン・シェパード・ドッグのような容姿を持ち、オス犬はスムース・フォックス・テリアに似ていたという[2]。第3世代ではジャーマン・ショートヘアード・ポインターが交配された[2]。1960年に「ホラーク研究室犬」(Horákův laboratorní pes)として正式に登録された[2]。1961年には、プラハで開催されたドッグショーに初めて出場した[5]。
その後、1970年代にかけて、ボヘミアン・スポッテッド・ドッグは医学実験等に使われた[3]。特にてんかんの研究や、腎移植の実験に使われたという[6]。1980年代に入ると、実験動物として使われることはなくなり、残った約40頭のうちの数頭はアカデミー外に譲渡され[6]、名前も「チェスキー・ストラカティ・ペス」へと変わった[2]。初め、社会からの関心も乏しく、繁殖もあまり成功せずに絶滅寸前となったが、熱心なブリーダーによって繁殖が重ねられ、1990年代に入ると、気立てがよく飼いやすい犬として広まった[6]。1994年には犬種標準が公表された[2]。2015年現在、国際畜犬連盟の公認を目指して活動している[3]。
特徴
[編集]体高40〜50cm、体重15〜20kgの中型犬である。ボディはしっかりとして、均等が取れている。被毛は短毛と長毛の2種類があり、いずれもダブルコートである。毛色はブラック・イエロー・ホワイトもしくはブラウン・イエロー・ホワイトのトライカラーのみが認められる。ホワイトの部分には、隣接する部分の色と同色の斑(スポット)が入っていなければならない[7]。
頭部は長めでやや尖っており、頭頂部は平たい。耳はボタン耳である。尾は垂れ尾で、長毛種は飾り毛がある[7]。
性格は穏やかで忍耐強く、友好的である[2]。従順であり、訓練はしやすい[2]。やや気まぐれな面もあるが、遊び好きで自分よりも小さな家族(子供や仔犬)の相手をすることも好きである[8]。ドッグスポーツにも向いている[2]。スタミナがあり、運動量は非常に多い。一般家庭での飼育は可能だが、長めの散歩が必要となる[1]。自分の体をなめて毛づくろいをする習性があり、このため体臭が少ないという[8]。
脚注
[編集]- ^ a b 藤原尚太郎『日本と世界の愛犬図鑑 2009』辰巳出版、2008年、220ページ。
- ^ a b c d e f g h i j k “Czech breeds”. Ceskomoravske kynologicke unie(ボヘミア・モラヴィア犬学連盟). 2015年9月16日閲覧。
- ^ a b c “Welcome to the website of the Czech Spotted Dog Community!”. Spolek českého strakatého psa. 2015年9月16日閲覧。
- ^ 藤原尚太郎『日本と世界の愛犬図鑑 最新版』辰巳出版、2013年、233ページ。
- ^ “Český strakatý pes”. Klub chovatelů málopočetných plemen psů. 2015年9月16日閲覧。(犬種標準を管理する団体「希少犬種クラブ」のサイト)
- ^ a b c “HISTORIE PLEMENE”. Dana a Zdeňka Vaňourkovy. 2015年9月16日閲覧。(個人サイト)
- ^ a b ボヘミア・モラヴィア犬学連盟による犬種標準
- ^ a b 佐草一優監修『日本と世界の愛犬図鑑 2007』辰巳出版、2006年、232ページ。