フィリップ・シュロット

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フィリップ・アンドリュー・"フィル"・シュロット(Philip Andrew "Phil" Schrodt、1951年7月24日 - )は、政治ニュースの自動データ化とイベントコーディングの研究で知られる政治学者である。

2013年8月1日、ペンシルベニア州立大学教授[1]を辞め、フルタイムのコンサルタントになることを発表した[2][3]。シュロットは現在、統計コンサルティング会社パラス・アナリティカル・システムズ社のシニア・リサーチ・サイエンティストである[4]

経歴[編集]

1976年にインディアナ大学で数学の修士号と政治学の博士号を取得した。ノースウェスタン大学で12年、カンザス大学で21年、ペンシルベニア州立大学で4年勤務した後、学術界を離れ、民間企業であるパラス・アナリティカル・システムズ社に就職した[2][4]

学術研究[編集]

シュロットの研究は、主に政治ニュースのイベントデータの自動コーディングに集中している。1994年にカンザス・イベント・データ・システム(Kansas Event Data System、KEDS)を作成し、1995年にアメリカ政治学会から「優秀コンピュータ・ソフトウェア賞」を受賞した[4][5][6]。2000年には、KEDSを改良したTABARI(Textual Analysis by Augmented Replacement Instructions)ソフトウェアを作成した[5]。さらに、デボラ J.ガーナー(Deborah J. Gerner )らとともに、Conflict and Mediation Event Observations英語版(CAMEO)データコーディングフレームワークを開発した。TABARIソフトウェアは、CAMEOフレームワークに従ってイベントデータを自動的にコーディングすることができた。

JABARI-NLPと呼ばれるTABARIの改良版は、ロッキード・マーティン先端技術研究所英語版によるIntegrated Conflict Early Warning System英語版(ICEWS)データベースに使用された[7]。TABARIとCAMEOは、シュロットがカレフ・リータルらと共同で作成したGDELT プロジェクト英語版(Global Database of Events, Language, and Tone)のイベントコーディングにも使用されている[8]

シュロットが作成したロジスティック回帰モデルは、ロッキード・マーティンがICEWSのために使用した予測アルゴリズムに組み込むことにも成功した[9][10]

研究と見解の影響[編集]

シュロットの学術的業績と見解(学術的業績やブログ記事で表明されたものを含む)は、ジェイ・ウルフェルダー英語版のブログ[11]、予測ヒューリスティクス(Predictive Heuristics)ブログ[12]、バッド・ヘッシアン(Bad Hessian)[13]など、政治学におけるデータサイエンスや予測分析に関する他のブログからも頻繁に参照され、フォーリン・ポリシーでも引用されている[14]

脚注・参考文献[編集]

  1. ^ Philip Schrodt”. Department of Political Science, Pennsylvania State University. 2014年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月24日閲覧。
  2. ^ a b Schrodt (2013年8月1日). “Going Feral! Or "So long, and thanks for all the fish…"”. 2014年6月24日閲覧。
  3. ^ Voeten (2013年8月1日). “Philip Schrodt "Goes Feral"”. 2014年6月24日閲覧。
  4. ^ a b c About”. A Second Mouse. 2014年6月24日閲覧。
  5. ^ a b Conflict and Mediation Event Observations (CAMEO): A New Event Data Framework for the Analysis of Foreign Policy Interactions”. 2023年12月4日閲覧。
  6. ^ Gerner. “Conflict and Mediation Event Observations (CAMEO): A New Event Data Framework for the Analysis of Foreign Policy Interactions”. 2023年12月4日閲覧。
  7. ^ Schrodt (2011年1月20日). “Automated Production of High-Volume, Near-Real-Time Political Event Data”. 2014年6月12日閲覧。
  8. ^ About (Creation)”. Global Database of Events, Language, and Tone. 2014年6月24日閲覧。
  9. ^ O'Brien, Sean P. (March 9, 2010). Crisis Early Warning and Decision Support: Contemporary Approaches and Thoughts on Future Research. 
  10. ^ Meier (2010年3月20日). “DARPA's Crisis Early Warning and Decision Support System”. Conflict Early Warning and Early Response. 2014年6月21日閲覧。
  11. ^ Ulfelder. “Phil Schrodt (tag)”. 2014年6月24日閲覧。
  12. ^ Phil Schrodt (Tag)”. Predictive Heuristics. 2014年6月24日閲覧。
  13. ^ Google Search for Schrodt on badhessian.org”. 2014年6月24日閲覧。
  14. ^ Ulfelder (2012年11月8日). “Why the World Can't Have a Nate Silver. The quants are riding high after Team Data crushed Team Gut in the U.S. election forecasts. But predicting the Electoral College vote is child's play next to some of these hard targets.”. 2014年6月3日閲覧。

外部リンク[編集]