ビッカース硬さ

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ビッカース硬さの測定法の略図。

ビッカース硬さ(ビッカースかたさ、: Vickers hardness)は、工業材料の硬さを表す尺度の一つであり、押込み硬さの一種である。ビッカース硬さを表す記号としてはHVが用いられる[1]

試験法[編集]

ビッカース試験の概要

試験法は1925年に開発された。対面角 α ≒ 136°正四角錐ダイヤモンドで作られたピラミッド形をしている圧子を材料表面に押し込み、荷重を除いたあとに残ったへこみの対角線の長さ d から表面積 S を算出する。試験荷重 F を算出した表面積 S で割った値がビッカース硬さ (HV) であり、以下の式で求められる。荷重の単位は kgf で定義されているため、国際単位系Nを使用する場合は係数 0.102 がつく。

{\it HV} = \frac{F[\mathrm {kgf}]}{S[{\mathrm{mm}^2]}} = \frac{F[9.80665\,\mathrm N]}{S[{\mathrm{mm}^2}]} \approx 0.1020 \frac{F[\mathrm N]}{S[{\mathrm{mm}^2}]}

圧痕の対角線長さd を用いた場合の計算式は、

S = \frac {d^2} {2 \sin (\alpha / 2)} \approx 0.5393 d^2 なので
 {\it HV} \approx 1.8544 \frac {F[\mathrm{kgf}]}{d^2[\mathrm{mm^2}]} \approx 0.1891 \frac {F[\mathrm N]}{d^2[\mathrm{mm^2}]}

ただし、圧痕の2つの対角線長さは実際の試験では一致しないので、2つの対角線長さd1d2の平均値をdとして用いる[1]

ビッカース硬さの特徴は、材料の大小にかかわらず、すべての金属に使用することができて、硬さ試験法の中で最も汎用性が高いことである。これは荷重が変わっても圧痕の形状が相似であるため、異なる種類の材料に対しても、荷重を変更するだけで同一の尺度で硬さが求められ、相互の比較ができる。

微小硬さ[編集]

ビッカース測定により炭素鋼についた圧痕

ビッカース硬さの測定で、荷重を概ね1 kgf以下で測定した際のビッカース硬さとその測定方法を、微小硬さまたはマイクロビッカースと呼ぶ。 微小硬さの場合、その永久窪みはμm単位になるため、窪みは顕微鏡を用いて計測する。 小さな結晶のようなものでも測定が可能で、しかも圧痕(窪み)が非常に小さいため、非破壊試験に区分されることもある[2]

関連する規格[編集]

日本工業規格で規定されている関連する規格

番号 名称
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験-試験方法
JIS B 7725 ビッカース硬さ試験-試験機の検証及び校正

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • 野口徹、中村孝 『機械材料工学』 工学図書、2001年8月10日ISBN 978-4769204190
  • 『JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験-試験方法』 日本工業標準調査会、2009年

関連項目[編集]