バクー・ノヴォロシースクパイプライン

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バクー・ノヴォロシースクパイプライン
バクー・ノヴォロシースクパイプラインの位置図(青)
位置
アゼルバイジャンロシア
方向 東北西
起点 バクー(アゼルバイジャン)
終点 ノヴォロシースクロシア
一般情報
輸送 原油
完成 1997年
技術的情報
全長 1,330 km (830 mi)
最大流量 年間500万t

バクー・ノヴォロシースクパイプライン: Baku–Novorossiysk pipeline)は、アゼルバイジャンバクーからロシアノヴォロシースクを結ぶ、全長1,330キロメートル(830マイル)の原油パイプライン。アゼルバイジャン側はアゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)、ロシア側はトランスネフチによって運営されている[1]

歴史[編集]

1996年2月18日、ロシアを経由して黒海のノヴォロシースク港にアゼルバイジャン産原油を輸送する契約が、アゼルバイジャン国際事業会社英語版、SOCAR、トランスネフトの三社間で締結され、1997年10月25日から原油輸送が開始された[2]

2006年12月6日、ロシアからの天然ガス供給をめぐる論争後、アゼルバイジャンは2007年1月1日からバクー・ノヴォロシースクパイプラインを通じたアゼルバイジャン産原油の輸出を停止すると発表した[3]。2007年4月1日にアゼルバイジャン側運営企業がアゼルバイジャン国際事業会社からSOCARに変更された[4]。 SOCARは、トランスネフチとの原油価格不一致によって2008年2月にパイプラインを介した石油供給を一時的に停止すると発表した[1]。同年後半に価格不一致は解決され、SOCARは古い合意条件に基づき、原油の供給を再開した。2008年8月、トルコでの妨害行為と南オセチア紛争の影響で、バクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインバクー・スプサパイプラインが一時的に閉鎖されたため、バクー・ノヴォロシースクパイプラインでの石油輸送量が大幅に増加した。2012年、SOCARはすべての供給ルートで合計2,500万トンの石油を輸出、うち、バクー・ノヴォロシースクパイプラインを通じて輸出されたのはわずか200万トン、残りはバクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインが2,000万トン、バクー・スプサパイプラインが300万トンとなっていた[5]

バクー・ノヴォロシースクパイプラインを介して輸送される原油は、アゼリ・チラグ・グネシュリ油田英語版(ACG)計画の第一段階である、Early Oil Projectの枠組みで開発されている[6]

供給ルート[編集]

バクー・ノヴォロシースクパイプラインは全長1,330キロメートル(830マイル)のうち231キロメートル(144マイル)がアゼルバイジャンに敷設されている[2]。ロシア側パイプラインはダゲスタン共和国を通過する。元のルートでは、既存のグロズヌイ・バクーパイプラインおよびグロズヌイ・ノヴォロシースクパイプラインを利用したため、チェチェン共和国も通過したが[7][8][9]第二次チェチェン紛争でチェチェン側パイプラインが閉鎖されたため、トランスネフチはチェチェンバイパスループを建設した[10]

関連項目[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b S. Aliyev, V. Sharifov (2008年2月6日). “SOCAR Becomes Operator of Azerbaijani Section of Baku-Novorossiysk Pipeline”. Trend Capital. http://en.trend.az/capital/pengineering/1128666.html 2008年6月8日閲覧。 
  2. ^ a b “Transport routes of Azerbaijani oil (Baku-Novorossiysk, Baku-Supsa)”. Azerbaijan Portal. http://www.azerbaijan.az/_Economy/_OilStrategy/oilStrategy_05_e.html 2008年6月8日閲覧。 
  3. ^ “Confirmed: Azerbaijan to stop using Baku-Novorossiysk pipeline”. Mosnews. (2006年12月6日). http://eurasiablog.wordpress.com/2006/12/08/confirmed-azerbaijan-to-stop-using-baku-novorossiysk-pipeline/ 2008年6月8日閲覧。  [リンク切れ]
  4. ^ “Azerbaijan decreases oil exports via Baku-Novorossiysk pipeline”. Regnum. (2007年9月20日). http://www.regnum.ru/english/887804.html 2008年6月8日閲覧。 
  5. ^ “В 2012 году SOCAR экспортировала 25 млн. тонн нефти по всем маршрутам”. 1NEWS.AZ. http://www.1news.az/economy/oil_n_gas/20130108013158626.html 2013年1月10日閲覧。 
  6. ^ Embassy of Azerbaijan in Georgia Archived 2009-01-26 at the Wayback Machine.
  7. ^ Karagiannis, Emmanuel (2013). Energy and Security in the Caucasus. Routledge. p. 27. ISBN 9781134547425. https://books.google.com/books?id=MeWOAQAAQBAJ&pg=PA27 
  8. ^ Stulberg, Adam N. (2007). Well-Oiled Diplomacy. Strategic Manipulation and Russia's Energy Statecraft in Eurasia. State University of New York Press. p. 147. ISBN 9780791470633. https://books.google.com/books?id=0Lw6fssZU7sC&pg=PA147 
  9. ^ Marriott, James; Minio-Paluello, Mika (2012). The Oil Road: Journeys From The Caspian Sea To The City Of London. Verso Books. p. 100. ISBN 9781844679270. https://books.google.com/books?id=OMmFBGXeLf8C&pg=PA100 
  10. ^ Kandiyoti, Rafael (2012). Pipelines: Flowing Oil and Crude Politics. I.B. Tauris. p. 165. ISBN 9781848858398. https://books.google.com/books?id=PPM2AQQvFnIC&pg=PA165