ナガエサカキ属

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ナガエサカキ属
Adinandra lasiopetala
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: ツツジ目 Ericales
: モッコク科 Pentaphylacaceae
: ナガエサカキ属 Adinandra
学名
Adinandra Jack

ナガエサカキ属 Adiandraモッコク科に属する樹木の1群。日本では琉球列島だけに見られる。

特徴[編集]

常緑性高木[1]。葉は革質で互生で時に2列に配置し、あるいは葉枝先に集まり、鋸歯はないか、あるいはごく浅く出る[2]。葉柄はないか、あるいは短い。は両性花でやや大きく、花にはやや長い柄がある。花は葉腋から単生するか短い枝の上に2花を生じる例もある。花梗の先端には萼に似た苞が2個、、時に3個ある。萼は5、基部は多少融合して宿在する。花弁も5で基部が融合する。雄蘂は多数あって花弁の基部内側に癒合する。子房は不完全な3-5室となり、各室に多数の胚珠を含む。柱頭は分岐しないか先端部が3-5に浅く割れるが、基部まで5つに深く割れる例もある。果実は液果で基部は宿在する萼に包まれ、種子は各室に多数が含まれる。やや大きい種子を少数しか含まない例もある。

学名はadinos(密集した)とandros(雄蘂)に由来する[3]

分布と種[編集]

約70種が知られ、ほとんどがアジアの熱帯域から知られる。他にニューギニアに少数種、それにアフリカ東部に1種がある。琉球列島のものは分布の東北端に当たる[2]

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日本では琉球列島からのみ知られ、以下の2種があり、いずれもその地域の固有種である。

利害[編集]

日本では特になにもない。

中国では A. nitida が伝統的にお茶に使われ、また様々な薬効があることでも知られる。現在もその分野の研究が行われている[4]

出典[編集]

  1. ^ 以下、主として初島(1975),p.411
  2. ^ a b 佐竹他(1989),p.144
  3. ^ 永益(1997),p.157
  4. ^ 例えばZang et al.(2006)

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔他編著、『日本の野生植物 木本 I』、(1989)、平凡社
  • 永益英敏、「ヒサカキ」:『朝日百科 植物の世界 7』、(1997)、朝日新聞社:p.156-157
  • Jie Zhang et al. 2006. Separation and identification of compounds in Adinandra nitida By comprehensive two-dimensional liquid chromatography coupled to atmospheric pressure chemical ionization source ion trap tandem mass spectrometry. Anal Bioanal chem. 386:pp.586-593.