デンドロキラム・コビアヌム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
デンドロキラム・コビアヌム
デンドロキラム・コビアヌム
Dendrochilum cobbianum
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: Coelogyneae
: デンドロキラム属 Dendrochilum
: デンドロキラム・コビアヌムD. cobbianum
学名
Dendrochilum cobbianum
Rchb.f.1880

デンドロキラム・コビアヌム Dendrochilum cobbianumラン科植物の1つ。長い柄の先に垂れ下がる花序をつけ、花序には50程の小さな白い花を並べる。

特徴[編集]

多年生草本[1]。偽鱗茎は長円錐形で高さ5cm程、先端に一枚だけ葉をつける。葉は長さ15~18cmで革質をしている。

花期は秋から冬で、新芽の展開に伴ってその真ん中から出てくる。花茎は細くて針金状。長く伸びた花序の柄は斜め上に伸びるが、その先端の花序は急角度で下向きになって垂れ下がり、釣り糸を垂らしたように見え、そこに2列に整然と並んだ花が最大で50個程もつく[2]。花は径1.5cm程で、横向きに咲くかやや斜め下向きに咲き、香りがある。側花弁と萼片はほぼ同じ形をしており、淡黄白色。唇弁はやや大きくて下向きに垂れ、濃い黄色をしておりよく目立つ。

分布と生育環境[編集]

フィリピンを原産地とする[2]

標高は中程度の森林や路頭に見られ、しばしば渓流の側に見られ、大きな株を作り、よく茂った林冠から日当たりのよい岩頭まで広く見られる[2]

分類[編集]

デンドロキラム属は250種程を含む大きな属で、セロジネ属 Coerogyne と近縁とされてきた[2]。ただし2022年に本属はセロジネ属に含まれる、との判断が出ており、それに依れば本種もセロジネ属となる[3]:8。その際の学名はセロジネ・コビアナ Coerogyne cobbiana になることとなる。

利用[編集]

洋ランの一つとして栽培されることがある。本種は本属中ではもっとも知られた種、とも言われる[2]

花の配置に造形美を見せる[4]

出典[編集]

  1. ^ 以下、主として小学館(1994) p.2848-2849
  2. ^ a b c d e チェイス, クリステンフース & ミレンダ 2020, p. 206
  3. ^ JOGAレビューNo.29”. 日本洋蘭農業協会. 2023年1月7日閲覧。
  4. ^ 宇陀川(1997) p.174

参考文献[編集]

  • 『園芸植物大辞典 2』、(1994)、小学館
  • 宇陀川芳雄、「セロジネ」:『朝日百科 植物の世界 9』、(1997)、朝日新聞社、:p.172-174
  • チェイス, マーク、クリステンフース, マーテン、ミレンダ, トム『世界のラン大図鑑』三省堂、2020年。ISBN 9784385162461