デオバンド派

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デオバンド派(デオバンドは、デーオバンド派とも)とは、19世紀後半に英領インドデーオバンドenウッタル・プラデーシュ州)で興ったスンナ派イスラームの改革運動である。法学派としてはハナフィー学派に属しており、21世紀現在においてもインドパキスタンで有力なウラマー集団を形成している。

ムガル帝国の衰退・滅亡とイギリスの進出という状況のもとに生まれたインドにおける代表的なイスラーム改革運動の一つで、1867年に改革を主張するウラマーたちによってデーオバンドにダールルウルーム・デーオバンド(en)というマドラサが設立されたのが運動の起源となっている。当初は政治運動から比較的距離を置いた運動だったが、20世紀に入るとダールルウルーム・デーオバンドの出身者の中からヒラーファト運動などの政治運動に参加するものも現れ、1919年にはデーオバンド派のウラマーが中心となり、インド・ウラマー連合が結成された。

デーオバンド派は後にパキスタンの分離独立に対する政治的立場の違いにより、インド国民会議派を支持して分離に反対する多数派と、全インド・ムスリム連盟を支持して分離に賛成する少数派に分裂した。多数派はインド・ウラマー連合に残ってインドへ残留し、少数派はイスラーム・ウラマー協会を形成してパキスタンへ移った。なおパキスタン建国後、イスラーム・ウラマー協会は数派に分裂している。

ターリバーンの指導部がパキスタンにおいてデーオバンド派から分離した勢力のマドラサで学んでいたことや、アフガニスタン国境に近い北西辺境州において有力な学派であることもあり、ターリバーンへの思想的影響を指摘する意見が存在する。

参考文献[編集]

  • 浜口恒夫「イスラーム・ウラマー協会」『岩波イスラーム辞典』岩波書店、 2002年
  • 小牧幸代「デーオバンド派」同上
  • 大石高志「デーオバンド学院」同上

外部リンク[編集]