テンプスタッフ登録女性派遣労働者容姿ランク付名簿流出事件

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テンプスタッフ登録女性派遣労働者容姿ランク付名簿流出事件(テンプスタッフとうろくじょせいはけんろうどうしゃようしランクつきめいぼりゅうしゅつじけん)とは、1998年に発覚した大手人材派遣会社テンプスタッフ(現・パーソルテンプスタッフ)の個人情報流出事件

概要[編集]

1998年、大手人材派遣会社テンプスタッフ(以下テンプ社とする)から同社に登録している女性9万人分の個人情報がシステム開発を担当した外注業者により流出、「全国津々浦々9万人の女性について、美人度ランキング付きのデーター売ります」という、刺激的なキャッチフレーズでインターネット上で販売された。販売期間は、1998年1月1日~24日と3月24日~31日の2回。流出した個人情報には、派遣労働者の氏名や住所、電話番号、生年月日だけでなく、容姿についてのABC三段階評価まで含まれていた。派遣労働者への対応などを記したテンプ社の「コーディネーターマニュアル」には、容姿基準が次のように示されていたという。A「華があり、すれ違った時、『あ、美人だな』と思うような人(受付向き)」。B「普通」。C「ちょっと」。

この事件は、プライバシー侵害だけでなく、技能や経験を生かして働くという派遣労働の趣旨とは裏腹に、年齢や容姿によって女性派遣労働者を選別している実態、テンプ社自体の従業員の個人情報は一切流出しておらず、派遣労働者の個人情報のみが外部業者に丸投げされずさんに扱われていた実態を明らかにした[1]。また、登録抹消を頼んであったのに、削除の印を付けただけでデータは残っており、結局流出してしまったという事例もあった[2]

テンプ社は容姿ランクについて、「確かに個人別にA、B、Cのマークを付けていたが、それは職能や接遇・マナーなどを評価した分類だった。容姿で派遣の優先度を決めていたら事業は成り立たない。そもそも9万人ものスタッフを誰がどうやって判定するのか。ばかげた話だ。」と主張している[3]

事件経過[編集]

  • 1998年1月1日~24日、容姿ランク付きリストとして神奈川県の個人がインターネット上に開設した会員制ホームページで販売される。テンプ社のシステム関係を担当した外注業者社員がデータベースを作成する練習データ用に自分のノートパソコンのディスクにテンプ社から持ち出したリストを入れ、それをホームページの入会金(一万円)の代わりに渡していた。テンプ社はホームページを閉鎖をさせ、リストを買った数十人に返金の申し出と名簿の回収を求める電子メールを送った[4]
  • 1月28日、旧労働省の記者クラブで篠原欣子社長(当時)の記者会見。「すみません、すみません、すみません」と泣きながら、ひたすら頭を下げ続ける。テンプ社のホームページにおわびと経過説明を掲載し、リストに載った9万人の登録者全員におわびの手紙を送る。
  • 3月24日、まだリストを販売するホームページが発見され、対応する。その後の3次流出はないと主張している[5]
  • 6月、被害にあった派遣労働者のうち6人は計600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に起こし、2000年に和解する[6]

脚注[編集]

  1. ^ どうなる派遣労働/<7>/違法な年齢制限が横行/時給も「交通費込み」が大半2001.01.19 日刊紙 5頁 労働・大衆運動 しんぶん赤旗
  2. ^ 流出問題に女性派遣社員「困った」 個人情報、答えないと仕事が… 1998.03.12 東京夕刊 19頁 朝日新聞
  3. ^ 【わたしの生きる道】~テンプスタッフ創業者の履歴書~vol.72(日本経済新聞朝刊2013年6月25日掲載の『私の履歴書』より引用) テンプグループHP
  4. ^ 女性9万人の個人情報が流出 派遣会社からインターネット上に 1998.01.29 東京朝刊 34頁 朝日新聞
  5. ^ 【わたしの生きる道】~テンプスタッフ創業者の履歴書~vol.70~78テンプグループHP
  6. ^ どうなる派遣労働/<7>/違法な年齢制限が横行/時給も「交通費込み」が大半 2001.01.19 日刊紙 5頁 労働・大衆運動 しんぶん赤旗

関連項目[編集]

外部リンク[編集]