テンナンショウ属

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テンナンショウ属
テンナンショウ.jpg
ミミガタテンナンショウ(東京都八王子市・2005年5月)
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: オモダカ目 Alismatales
: サトイモ科 Araceae
: テンナンショウ属 Arisaema
  • 本文参照

テンナンショウ属 (Arisaema) は、被子植物単子葉類サトイモ科に属する植物有毒なものがある。テンナンショウは天南星の意で、この中の1種で日本列島から朝鮮半島にかけて分布する Arisaema serratum (Thunb.) Schott のこと、あるいはこの類の球茎の漢方生薬名である。

湿潤な熱帯や温帯に見られ、東アジア、東南アジア、北米、メキシコ、アフリカ東部などに分布する。世界で約150種があり、日本では約30種ほどが見られる。詳細な分類は難しく、現在も学名が変わることがある。

英語では Cobra lily や Jack-in-the-Pulpit の別名がある。

特徴[編集]

多年草で球根(球茎・塊茎)を持つ。葉は複葉で1~2枚つき、葉柄の根元は葉鞘となって筒状に重なり、一見茎のように見えるため偽茎と呼ばれる。小葉は種によって3枚から20数枚が鳥趾状や掌状につく。葉柄の上に花柄を延ばし、仏炎苞を付ける。仏炎苞が葉よりも高く伸びるか低いかは種による。

ムサシアブミなど一部を除き、多くは雌雄異株であるが、栄養状態によって性転換することが知られている。春に咲く花にはサトイモ科の特徴である肉穂花序と仏炎苞を持つが、仏炎苞の形状が特徴的で様々なものがあり、森の木陰に咲く紫色の仏炎苞は不気味な印象を与えるものもある。この仏炎苞は肉穂花序をぐるりと一周してラッパ状になるものが多い。肉穂花序の上部は様々な形の付属体となり、付属体の下端はスカート状になって仏炎苞の内面との間に狭い隙間を形成する。花序の花がつく部分では仏炎苞との間に隙間があって、付属体の下部に上をふさがれた部屋を形成している。この花にはキノコバエ科ノミバエ科などの小昆虫が誘引され、付属体と仏炎苞の間の隙間を通過して花の周囲の部屋に閉じ込められる。雄花ではこの部屋の下部に雄しべから出た花粉が溜まっており、閉じ込められた小昆虫は花粉まみれになる。雄花の仏炎苞の合わせ目の下端には小さな孔状の隙間があって、花粉をつけた小昆虫はここから脱出する。雌花ではこの穴がないため、閉じ込められた小昆虫は外に出られず、いずれ死亡する。この雌花に閉じ込められた小昆虫の中に花粉を体につけて雄花を脱出してきたものがいたときに受粉が成立する。

秋に仏炎苞は枯れて朱色や赤の熟した果実が目立つようになる。果実はトウモロコシのように軸の周りに集合してつく液果で赤く、種子を0~数個ずつ持つ。種子散布は鳥類に摂食されるか、その場に倒伏することにより行われる。

利用[編集]

球茎の細胞はシュウ酸カルシウムの針状結晶などをもち有毒で、そのまま食べると口の中が痛くなって腫れあがるが、デンプンなどの栄養素を多く含むため、アイヌ伊豆諸島、ヒマラヤ東部の照葉樹林帯ではシュウ酸カルシウムの刺激を避けながら食用とする工夫がなされてきた。例えばアイヌの食文化ではコウライテンナンショウの球茎の上部の毒の多い黄色の部分を取り除き、蒸したり、炉の灰の中で蒸し焼きにしたりして刺激を弱めて食用にし、伊豆諸島の三宅島では古くはシマテンナンショウの球茎を蒸し煮にして団子にしたものをなるべく噛まずに丸飲みして、刺激を避けて食べたと伝えられている[要出典]

また、球茎を漢方生薬、「天南星」としても利用する。

目立つ花色を持つムサシアブミやユキモチソウは山野草として栽培されることもある。

代表的な種[編集]

<日本に自生>

  • ツルギテンナンショウ (Arisaema abei Seriz)
    • 四国に自生する稀少種。仏炎苞は緑色で細い。
  • ヒガンマムシグサ (Arisaema aequinoctiale Nakai & F. Maek)
    • 関東以西の本州と四国に自生。花序は葉よりも高く直立。仏炎苞の開口部がやや広い。
  • ホソバテンナンショウ (Arisaema angustatum Fr. et Sav.)
    • 関東~近畿地方にかけて自生。
  • オドリコテンナンショウ (Arisaema aprile J. Murata)
    • 伊豆半島に自生。仏炎苞は緑色。五枚の小葉をもつ。
  • マイヅルテンナンショウ (Arisaema heterophyllum Bl.)
    • 緑色の仏炎苞と長く直立する付属体をもつ。左右に広がる複葉と合わせ、鶴が舞っている様に例えて舞鶴と呼ばれる。
  • イシヅチテンナンショウ (Arisaema ishizuchiense )
    • 四国に自生。
  • オモゴウテンナンショウ (Arisaema iyoanum )
    • 「面河天南星」、緑色の仏炎苞をもつ。四国(愛媛県)と広島県西部のみに自生。
  • ヒメウラシマソウ (Arisaema kiushianum)
  • ミミガタテンナンショウ (Arisaema limbatum Nakai var. ionostemma (Nakai et F. Maek.) Ohashi et J. Murata)
    • マムシグサに似るが、仏炎苞の口辺部が広く張り出して耳たぶのように見えることからこう呼ぶ(写真)。
  • ヒトツバテンナンショウ (Arisaema monophyllum Nakai)
  • シマテンナンショウ (Arisaema negishii Makino)
    • 「島天南星」、伊豆諸島の固有種。
  • コウライテンナンショウ (Arisaema peninsulae Nakai)
  • ムサシアブミ (Arisaema ringens (Thunb.) Schott)
    • 武蔵鐙の名は仏炎苞の形状から。2枚の3出複葉をもつ。
  • ヒロハテンナンショウ (Arisaema robustum Maxim. subsp. robustum (Engler) Ohashi et J. Murata)
  • キリシマテンナンショウ (Arisaema sazensoo)
    • 九州南部に自生。
  • マムシグサ (Arisaema serratum (Thunb.) Schott) - 英名:Jack in the pulpit|Jack in the pulpit
    • 偽茎の紫の斑模様がマムシの胴体の模様に似るのでこうよばれる。仏炎苞は緑のものや紫のものがあり、葉よりも上に出る。棒状の付属体を持つ。
  • ユキモチソウ (Arisaema sikokianum Franch. et Savat.) - 英名:Gaudy jack
    • 仏炎苞は筒部の外側が紫、内側は白。舷部は紫地に白いすじが入る。付属体は柔らかい球形で白いため、餅に例えて名づけられた。
  • ミツバテンナンショウ (Arisaema ternatipartitum)
    • 四国、九州、静岡県に自生。
  • ウラシマソウ (Arisaema thunbergii Blume subsp. urashima (H.Hara) H.Ohashi et J.Murata)
    • 仏炎苞は褐色の舌状の舷部を持ち、葉の下につく。付属体の先が長く糸状に伸びて垂れ下がるため、浦島太郎の釣り竿の連想からこの名を持つ。
  • スルガテンナンショウ (Arisaema yamatense (Nakai) Nakai subsp. sugimotoi (Nakai) Ohashi et J. Murata) - 英名:Jack in the pulpit

<外国種>

  • Arisaema agasthyanum Savid. & C. S. Kumar
    • ケララ州(南インド)に自生。仏炎苞は茶褐色。鳥足状の小葉をもつ。
  • Arisaema album N. E. Br.
    • 北東インドに自生。仏炎苞は薄い緑色で細い。小葉は三枚。別名「White Indian Cobra Lily」。
  • Arisaema amurense Maxim. アムール・テンナンショウ
    • 中国東北部、朝鮮半島、ロシアの極東地方に自生。日本のヒロハテンナンショウの近縁種。小葉は鳥足状、仏炎苞は緑色で斑点がある。中国名は「東北南星」。
  • Arisaema anomalum Hemsl.
    • マレイ半島に自生。仏炎苞は茶褐色で細い。小葉は三枚。
  • Arisaema aridum H. Li
    • 中国の雲南省、四川省に自生。仏炎苞は緑色、小葉は五枚以上。中国名は「旱生南星」。
  • Arisaema asperatum N. E. Br.
    • 中国南部、ミャンマー、東ヒマラヤに自生。仏炎苞の上部はやや開いている。小葉は三枚。中国名は「刺柄南星」。
  • Arisaema balansae
    • ラオス、タイ、ヴェトナム、南中国に自生。先端が房状になった肉穂花序をもつ。
  • Arisaema barnesii
    • 南インド、スリランカに自生。
  • Arisaema bottae
    • イエメンの山岳地帯に自生。
  • Arisaema candidissimum W. W. Smith - 英名:White jack 桃花テンナンショウ
    • 雲南、チベットに自生。
  • Arisaema consanguineum (L.) Schott
    • ヒマラヤ地方に自生。
  • Arisaema drancontium (L.) Schott - 英名:Green dragon
    • 北米に自生。
  • Arisaema filiforme
    • ボルネオ、ジャワ、マレイシア、スマトラに自生。仏炎苞は褐色。
  • Arisaema flavum
    • ネパール、パキスタン、アフガニスタンに自生。仏炎苞は黄色。
  • Arisaema griffithii Schott
    • シッキムに自生。横に張り出した仏炎苞をもつ。
  • Arisaema jacquemontii
    • アフガニスタン、チベット、ヒマラヤ地方に自生。学名はフランスの植物学者ヴィクトル・ジャックモンにちなむ。
  • Arisaema mildbraedii
    • ザイール、ケニア、ウガンダに自生。
  • Arisaema nepenthoides
    • ヒマラヤ地方に自生。仏炎苞に独特の斑紋がある。
  • Arisaema speciosum (Wall) Martius in Schott - 英名:Jack in the pulpit
    • ヒマラヤ地方に自生。
  • Arisaema taiwanense
    • 台湾に自生。仏炎苞は茶褐色。
  • Arisaema tortuosum
    • 中国、インド、ミャンマー、ヒマラヤ地方に自生。
  • Arisaema triphyllum (L.) Schott - 英名:Jack in the pulpit, Indian turnip
    • 北米に自生。

外部リンク[編集]

日本語[編集]

英語[編集]