ツラナガコビトザメ

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ツラナガコビトザメ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: ツノザメ目 Squaliformes
: ヨロイザメ科 Dalatiidae
: ツラナガコビトザメ属 Squaliolus
: ツラナガコビトザメ S. aliae
学名
Squaliolus aliae
Teng, 1959
英名
Smalleye pygmy shark
Squaliolus aliae distmap.png
分布

ツラナガコビトザメ Squaliolus aliaeヨロイザメ科に属するサメの一種。日本からオーストラリアにかけて生息し、150-2000mの範囲で日周鉛直移動を行う。最大体長22cmで、同属のオオメコビトザメと共に最小のサメの一つ。体は円筒形で黒、眼は小さく、第一背鰭に棘があるが第二背鰭にはない。腹面に発光器を持つ。餌は遊泳性の小魚無脊椎動物。無胎盤性胎生IUCN保全状況軽度懸念としている。

分類[編集]

最初の捕獲は1958年9月23日、台湾東港鎮沖で獲れた18cmの雌だった。台湾の魚類学者鄧火土により、自身の妻に因んで種小名aliiが付けられた[2]。その後、この名は正しい語尾aliaeに直された。種の有効性を疑う専門家もおり、1977年にJeffrey Alan Seigel等はS. aliiSqualiolus laticaudusオオメコビトザメ)のシノニムとした[3]。1987年、佐々木邦夫と上野輝弥は形態比較により、このサメを再び独立種とした[4]

分布[編集]

西部太平洋に散在し、南日本沖合・フィリピンオーストラリア北部と東部から報告がある。陸地に近い海域の表層から中層、深度150-2,000mに生息。日周鉛直移動を行い、昼間は深部、夜間は浅部に移動する[5]

形態[編集]

捕獲された最大個体は22cmで、現生のサメの中で最小のものの一つである。体型は葉巻型で吻端は丸い。眼は比較的小さく、直径は吻長の43-66%(オオメコビトザメは61-82%)。眼窩の上縁が山型だが、オオメコビトザメは直線。鼻孔隔壁はほとんどない。口はほぼ真横で薄い唇を持つ。上唇に2つの乳頭突起があるが、オオメコビトザメにはない[4][5]。上顎歯列は20-27、下顎は18-23[6]。上顎歯は細長くて直立。下顎歯はより大きくて幅広く、後傾して鋭い咬頭を持ち、全体で一枚の刃となる。5対の鰓裂は小さく同じ形である[5][7]

ツラナガコビトザメ属はサメの属として唯一、第一背鰭に棘があり第二背鰭にない。棘は雄では大抵露出するが、雌では皮膚に覆われる[3]。第一背鰭は小さく、胸鰭の後端より起始する。第二背鰭は長くて低く、腹鰭基底前半の上部に位置する。胸鰭は短くて丸く、腹鰭は長くて低い。臀鰭はない。尾柄は細くわずかな尾柄隆起がある。雄は雌より胴体が短く、尾柄が長い。尾鰭は大きな三角形、ほぼ上下対称で上葉後縁には明瞭な欠刻がある。皮歯は平たく、棘や柄などはない。体色は暗褐色から黒、鰭の縁は少し明るい。腹面は発光器で覆われ、生物発光する[5][7]

生態[編集]

生活史はほとんど知られていない[1]。餌は主に中層のイカオキアミエビ・またはハダカイワシのような小魚[5][6]。腹面の発光器のカウンターイルミネーションにより、捕食者から自身の影を隠す。他のツノザメのように無胎盤性胎生で出生時は10cm以下。雄は15cm程度で性成熟する[5]

人との関連[編集]

まれに漁獲されるが、小さいため経済価値はない。広い分布域を持つため、IUCN保全状況軽度懸念としている[1]

飼育記録は少ないが、2006年5月30日東海大学海洋科学博物館に運び込まれた複数の個体が同年6月2日まで飼育された記録がある[8]

出典[編集]

  1. ^ a b c Heupel, M.R. (2003年). "Squaliolus aliae". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4. International Union for Conservation of Nature. December 9, 2010閲覧. 
  2. ^ Teng H.T. (1959年). “Studeis [sic] on the elasmobranch fishes from Formosa. Pt. 4. Squaliolus alii, a new species of deep sea squaloid shark from Tung-Kang, Formosa”. Report – Laboratory of Fishery Biology, Taiwan Fisheries Research Institute 8: 1–6. 
  3. ^ a b Seigel, J.A., T.W. Pietsch, B.H. Robison and T. Abe (1977年11月25日). “Squaliolus sarmenti and S. alii, Synonyms of the Dwarf Deepsea Shark, Squaliolus laticaudus”. Copeia 1977 (4): 788–791. doi:10.2307/1443196. JSTOR 1443196. 
  4. ^ a b Sasaki K. and Uyeno T. (1987年). “Squaliolus aliae, a dalatiid shark distinct from S. laticaudus”. Japanese Journal of Ichthyology 34 (3): 373–376. 
  5. ^ a b c d e f Last, P.R. and J.D. Stevens (2009). Sharks and Rays of Australia (second ed.). Harvard University Press. p. 104. ISBN 0674034112. 
  6. ^ a b Tanakamaru H., Shibuya T., and Kubota T. (1999年). “Some Biological Aspects of the Spined Pygmy Shark, Squaliolus aliae, from Suruga Bay, Japan”. Journal of the Faculty of Marine Science and Technology, Tokai University (48): 51–67. 
  7. ^ a b Compagno, L.J.V. (1984). Sharks of the World: An Annotated and Illustrated Catalogue of Shark Species Known to Date. Rome: Food and Agricultural Organization. p. 108–109. ISBN 9251013845. 
  8. ^ 海のはくぶつかん、ツラナガコビトザメ